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今回、CCP GamesのCEOであるHilmar Veigar Petursson氏、CCP AsiaのマネージングディレクターKjartan Pierre Emilsson氏、そしてマーケティングマネージャーのYuko Ishii氏の三名が極北の地アイスランドから来日し、Game*Sparkスタッフのインタビューにも応じてくれました。
現役EVE Onlineプレイヤーはもちろん、日本語バージョンのサービス開始を心待ちにしているゲーマーにとっては気になる日本版パッケージの詳細から、EVE Onlineの各国におけるローカライズ展開、そしてなぜかコンソールの話題にも飛び火した興味深い話をたくさん聞くことができたので、その内容をさっそくご紹介します。
Game*Spark: まず初めに、EVE Onlineの日本語ローカライズの進行状況を教えてください。
石井氏: 翻訳は大部分が完了しています。しかし、MMORPGという性質上、コンテンツは順次追加されていくので、終わりが無い作業であるといえます。ローカライズのプロセスはやや難航していますが、今年の年末から年明けまでの間(つまり今冬)には、日本のユーザーにEVE Onlineをお届けできると思います。
Game*Spark: 日本版パッケージはどういった形で販売されるのでしょうか?
石井氏: EVE Onlineの日本版パッケージは、パブリッシャーとなるソフトバンクBBよりリリースされます。パッケージ版の価格はまだ未定ですが、月額料金は他の地域と同様14.95ドルとなります。
Game*Spark: 海外ではデジタルディストリビューションのモデルが一般的になりつつありますが、日本のユーザーにはマニュアルが同梱されたパッケージ版がまだ親しまれている印象があります。EVE Onlineの日本版パッケージの内容は、どのようなものになるのでしょうか?
石井氏: 現在と同じEVE Onlineのクライアント(640MBくらい)と、グラフィックがアップデートされたTrinity版(1.5GBくらい)(※)が収録されたDVD-ROM、そして(秘密の)特典がパッケージングされる予定です。
※グラフィックアップデートによるBefore/Afterのデモ映像をPetursson氏のノートPCで確認したところ、戦艦やオブジェクトのテクスチャーが見違えるほどきめ細かく描画され、はっきりと変化が見て取れました。
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Game*Spark: それでは、EVE Onlineの中国での状況を教えてください。
Kjartan Pierre Emilsson氏: 中国では現在4万人程度のユーザーがいます。元々中国では、Sci-Fiのバックグラウンドを持つゲームが一般的ではないため、当初のローンチはゆるやかなものでした。また中国では、インターネットの厳しい法律の問題もあり、他の国とサーバーを共同にすることができませんでした。したがってSerenityという専用サーバー(※)を設け、独自の展開を進めています。
※日本版ではメインとなるTranquilityサーバーを海外ユーザーと共有する予定。
Game*Spark: では、昨年8月にリリースされたドイツ語版の反響は?
Hilmar Veigar Petursson氏: ドイツでEVE Onlienをローンチしてから、全体のユーザーベースは約40%増加しました。しかし、大成功を収めたといえるローカライズではないので、現在様々な調整を進めています。中国でのローカライズも含め、こうした各国でのローンチの経験を生かして、日本での発売に活かしたいと考えています。またEVE Onlineのシステムは、UnicodeやIMEを使った多言語への適応性も非常に高くなっており、様々な地域でのローカライズがより容易なものになっています。
Game*Spark: 現在、英語バージョンのEVE Onlineを日本でプレイしているユーザーは、MMOに遊び慣れたベテランプレイヤーの方が多いように見受けられます。これからEVE Onlineが日本で正式にローンチするにあたって、ライトユーザーや女性ユーザーにアピールできるポイントがあれば教えて下さい。
Hilmar Veigar Petursson氏: アメリカやヨーロッパでも、EVE Onlineのサービスが始まって間もない頃は、コアなPCゲーマーが主流でした。しかし、キャンペーンなどの効果もあって、ハードコアゲーマー達から、次第にカジュアルゲーマーへと広まり、幅広いユーザーベースの取り込みに成功しました。日本でもマーケティング次第では、Sci-Fiのエレメンツを好むゲーマーへのアプローチも十分可能だと思っています。
Game*Spark: 海外サイトでも度々話題に上っているAmbulationプロジェクト(※)の進行状況を教えてください。このフィーチャーが導入されれば、“キャラクター性”を重視する傾向にある日本ユーザーにとっても大変魅力的な要素だと思います。
※プレイヤーが、自身のアバターとなるキャラクターを操作して、戦艦のデッキやStationなどで他のプレイヤーと交流できるようになるソーシャルネットワーキングの要素もある新プロジェクト。
Hilmar Veigar Petursson氏: Ambulationプロジェクトは、来年の終わりごろに導入される予定です。ちょうど、日本語ローカライズの約一年後にあたるので、新しい日本のユーザーが定着した頃に、Ambulationを体験することができるようになれば良いと考えています。
[size=x-small]GDC 2007でお披露目されたAmbulationのデモンストレーション映像[/size]
Game*Spark: 日本では、World of Warcraftがローカライズされていません。PCのオンラインゲームに関しては海外と比べ特殊なユーザーベースを持つ日本では、世界No.1のユーザー数を誇るWoWのようなタイトルでも、ローカライズすることがリスキーだと考えられている可能性もあります。そうした背景の中で、EVE Onlineを日本でローカライズするのは、どのような経緯からでしょうか?
Hilmar Veigar Petursson氏: 2003年にEVE Onlineがリリースされた頃、まだマーケットも存在しない無名の状態であるにも関わらず、一握りの日本人ユーザーが既に参加していました。また、日本ではメカや宇宙船といったSci-Fiの要素を好むユーザーが多いことから、日本にはEVE Onlineにとって潜在的なマーケットのチャンスがあると考えています。
Game*Spark: 最後にCCP Gamesについて教えてください。CCP Gamesは、コンソール向け、家庭用ゲームの開発は何か着手しているのでしょうか?
Hilmar Veigar Petursson氏: シークレット!
(これは触れてはいけない質問だったようで軽く怒られてしまいました……)
Game*Spark: すみません…… それでは最後の最後に、Peturssonさん、Emilssonさん、石井さんが普段プレイしているゲームや興味のあるゲームを教えてください。
Hilmar Veigar Petursson氏: 私はオブリビオンをかなりプレイしています。それからGears of War。PLAYSTATION 3のHeavenly Swordもプレイしてみたいですね。これまでにもっともたくさん遊んだのは、ドリームキャストのソウルキャリバーです。
Kjartan Pierre Emilsson氏: 普段私はコンソールのゲームはほとんどプレイしませんが、子供がいるので、一緒にニンテンドーDSやWiiのゲームをプレイしています。
石井氏: 私もニンテンドーDSと、ニンテンドーWii、あとはXbox 360のGuitar Hero IIもプレイしています。小さい頃からコンソールゲームはとても好きで、ファミコン、スーパーファミコン、プレステ…(以下延々とゲーム機の名前を挙げていくかなりヘビーゲーマーな石井氏)などをプレイしてきました。
Game*Spark: 皆さん、なんだかとても意外なゲームをプレイされているんですね。最後はEVE Onlineとは脱線した質問になってしまいましたが、本日はどうもありがとうございました。
以上インタビューの内容でした。日本語のローカライズ作業は難航しているとのことで、延期している間にも次々新しいコンテンツが追加されて、さらにそれも翻訳しなければならないという二重苦なのかもしれません。なんとか次の冬が終わるまでに、日本のゲーマーの手元へパッケージが届くようになることを願いたいですね。
サービス開始から四年を迎えたEVE Onlineは、ワールドワイドで現在およそ20万人のアクティブユーザーを抱えているそうです。大幅なグラフィックアップデートが導入される次期エキスパンションと同時期のローンチが予想される日本語版で、さらにユーザー数を拡大することができるのでしょうか。
最後に、今回のインタビューに伴って、CCP GamesからEVE Onlineのオリジナルグッズをいただきました。インタビュー記事を読んでくださった読者の中から計二名様に、これらのアイテムをプレゼントしちゃいます。
[url=https://secure.eve-online.com/eon/]Official EVE Online Magazine Issue #8[/url] ・・・1名様[/size]
* プレゼントの応募は締め切りました*※応募期間:2007年10月8日(月)まで
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