
昨年と比較すると大作不足との意見もチラホラ見られた2012年のゲームシーンもついに終わり。年始年末にやるゲームが見つからないと惰性で持っているゲームをプレイするユーザーも居るかと思われますが、もしかしたらついうっかりと見逃してしまった良作タイトル達をまだやり残してはないでしょうか。
という訳で昨年に引き続き、今年も大作の影に隠れた……かもしれない素晴らしいゲームたちをご紹介する『2012年大作ゲームに隠れた良作ゲームTop10』。面白いのに国内では知名度が低い、内容に似合わずセールスが振るわなかった、もっと多くの人々にプレイされても良い……などなどのタイトルを、筆者による独断と偏見の直感チョイスにてご紹介いたします。
第10位: 『Syndicate』
海外レビュー平均スコア: PC版69/100、PS3版75/100、Xbox 360版74/100

――Eurogamer Spain(80/100): 新生『Syndicate』は特に協力モードにおいて優秀な出来を示しており、同作をリブートするというアイディアを正当化する拠り所となっている |
1990年代のカルト的タイトル『Syndicate(RTS)』のリブート作という重荷か、或いは同時期にリリースされたSFジャンル『Mass Effect 3』とブツかってしまったのか、海外ゲーム雑誌Edge Magazineのインタビュー記事にて、当時の世界セールスが僅か15万本(ただしデジタルダウンロード分は無し)だったという衝撃的な真実が明らかにされた『Syndicate』。シングルプレイヤーは地味だとの意見が多かったものの、Co-opプレイは出来が良いとして多くのメディアから支持を得ていました。現在はパッケージ版ならば2,000円程度で入手可能、Co-op仲間が居てSF好きならばプレイしても良い時期かもしれません。
第9位: 『Binary Domain』
海外レビュー平均スコア: PC版68/100、PS3版72/100、Xbox 360版74/100

――VideoGamer(80/100): 東洋と西洋が衝突し火花を散らすことによって、『Binary Domain』は印象的なカルチャー・ショックを感じる久々の作品となっている |
2012年2月、シュータータイトルが少ないと言われる国内ゲーム市場から生まれたセガと名越監督の意欲作『Binary Domain』は、プレイした方なら“意外と悪くない”と感じるタイトルだったのではないでしょうか。信頼・ボイスシステムなどやや空回りしている感のメカニックはあったものの、シューターとして見ればなかなか遊べると海外メディアも評価。ネオ東京で人間に化けたロボットを倒すという設定もなかなかユニークで、北米の一流TPSのようなクオリティを期待しなければ、貴重な遊べる国内シューターに手を伸ばすのも悪くない筈。
第8位: 『Prototype 2』
海外レビュー平均スコア: PC版76/100、PS3版79/100、Xbox 360版74/100

――Game Informer(85/100): もし君がイマイチだという評判を聞いて一作目を敬遠していたのなら、この続編へ飛び込むことに躊躇してはいけない ――Destructoid(80/100): 最強の兵士となる妄想をするようなプレイヤーを血みどろの破壊祭りで楽しませてくれる |
今年6月に大規模なレイオフが行われ実質閉鎖となったスタジオRadical Entertainmentの遺作『Prototype 2』。初代『Prototype』から3年の月日を経て再登場し、UKチャートやNPDで初登場トップを記録した本作ですが、全体的には満足なセールス結果は残せていなかったとの情報もレイオフ報道時には伝えられていました。海外メディアでの全体的な評価は大幅な進化は無いものの、前作から荒削りな部分を修正した安定した続編として捉えられています。Destructoidの言葉を借りれば、まさに最強の俺強いが出来る本作。前作を見逃していた方もこの年末にプレイしてみては。
第7位: 『Spec Ops: The Line』
海外レビュー平均スコア: PC版76/100、PS3版77/100、Xbox 360版76/100

――G4TV(90/100): 『Spec Ops』は決して子供たちには勧められないが、とても刺激的で知的なゲームだ。このゲームに“楽しい”という単語を使うのは奇妙な感じがするが、ストーリーだけでも間違いなくプレイをする価値がある |
プレイヤーは特殊部隊所属の新人、英雄よろしく幾つもの死線をくぐり、スローモーションで宿敵を撃ち倒す……なんてアメリカナイズヒーローにはもう飽き飽き?ゲームプレイのメカニック、システム面で平凡だとやや低い評価を受けた『Spec Ops: The Line』ですが、その業を持った深味のあるストーリーは、ヒロイックな過剰演出が多いシューター業界においてはまさに異端児。『地獄の黙示録』のようなアンチヒーロー、人間の弱みを抉る内面描写、絶望の世界に垂れる狂気の解が好きなゲーマーはプレイ必須と言えるでしょう。筆者個人の選ぶ2012年ベストストーリーシューター。
第6位: 『Sleeping Dogs』
海外レビュー平均スコア: PC版80/100、PS3版83/100、Xbox 360版80/100

――IGN(85/100): なぜもっと多くの人々が『Sleeping Dogs』に注目しないのかわからないが、ゲームは発売されたからには同じ間違いが起きないよう願いたい ――Destructoid(90/100): 『Sleeping Dogs』は『GTA V』が王座に戻るために必要なものを浮き彫りにした |
2011年に開発中止となったUnited Frontの『True Crime: Hong Kong』がスクウェア・エニックスに拾われ、今年8月に念願のリリースを果たしたオープンワールドアクション『Sleeping Dogs』。作りこまれた香港の町並みと空気感に、香港秘密警察な過激アクションと銃撃戦。幾つかの海外メディアは同ジャンルのキング『GTA』に勝るとも劣らないポテンシャルがあるとも批評しています。一方で売り上げは爆発的というよりも、スクエニ側曰く長期的に見ていくとのこと(とは言いつつも既に150万本のセールスを達成……)。ともかく今年『GTA V』で盛り上がりそうなオープンワールドジャンルにおいて、今後もっと多くのゲーマーに触れて欲しい作品だと言えそうです。
第5位: 『Kingdoms of Amalur』
海外レビュー平均スコア: PC版81/100、PS3版81/100、Xbox 360版80/100

――GameSpot(75/100): 『Kindgoms of Amalur』の戦闘とキャラクター育成要素は他のどんなブランドよりもファンタスティックだ |
元野球選手カート・シリング氏が設立したドリーム・チーム、豪華メンツを揃えた38 Studiosが製作したファーストタイトル『Kingdoms of Amalur: Reckoning』。ローンチ月の北米セールスは“33万本”(Steamでのセールスは抜き)、その後38 Studiosも破産となり上半期ゲーム業界の大きなニュースとなりました。海外レビューでは昨年発売の大作RPG『TES V: Skyrim』と比較される場面もありましたが、むしろ同作はスピーディーで華麗な戦闘アクションに重点が置かれた作品であり、新規IPとして見れば十分に評価を受けたゲームだと言えそうです。スパイクよりPS3/Xbox 360向けに日本語版が発売中。
第4位: 『LA-MULANA』
海外レビュー平均スコア: Wiiウェア版87/100、PC版82/100

――ONM UK(88/100): 『Dark Souls』や『Spelunky』に対するWiiの答え ――Destructoid(80/100): 一見すると乗り越えられそうにない困難な壁を乗り越え、『La-Mulana』は全ジャンルでも光り輝くタイトルとなっている/i> |
『洞窟物語』に続く日本のインディーズタイトルとして今年海外で話題となったのが『LA-MULANA』。『悪魔城ドラキュラ』や『魔城伝説II ガリウスの迷宮』といった往来のアクションタイトルを思わせる遺跡探索型2Dアクションタイトルで、2006年にフリーウェア版がリリース、2011年にはWiiウェア版が登場したものの諸事情により海外では当時配信されず、今年Playism経由でようやくPC版が全世界に向け登場しました(Wiiウェア版もその後9月に海外で無事配信)。往来の2Dアクションを回顧させる滑らかなドットグラフィック、熱いサウンド、チャレンジングな謎解き&アクション。ゲーム配信サービスGOG.comで初めて配信が開始された国産タイトルでもあり、まさに世界に胸を張ることができる“日本のインディーズゲーム”となっています。往来のアクションゲームファンだけで無く、ゲーマーならば日本のインディーズシーン最先端を感じるため一度は触れてみて欲しい作品。
第3位: 『Black Mesa』
海外レビュー平均スコア: PC版86/100

――Eurogamer(90/100): オリジナルゲームのファンによって無料で成し遂げられたこの偉業に、我々は拍手喝采を送るべきだろう。 |
大手Mod総合サイトMod DBの“Mod of the Year 2012”にも選ばれた『Black Mesa』は、2012年だけでなくMod文化の長い歴史を代表する作品の1つと成り得るでしょう。Valveの名作FPS『Half-Life』をSource Engineによってフル再建するという目的で始まった同プロジェクトは、5,000のカスタムテクスチャや2,000のモデル、全サウンドトラックなどが全てがファンの手によって作り変えられ、約8年の歳月を費やし今年9月についに登場した愛のつまった本作。終盤レベルが未実装ではあるものの、Source Sdk Base 2007があれば無料でプレイ可能、さらに日本語パッチも存在。ストーリー重視FPS好きを名乗るならば必ずプレイすべき、いや愛すべき、単なるグラフィック代替えModには留まらない作品となっています。
第2位: 『Tribes: Ascend』
海外レビュー平均スコア: PC版86/100

――Eurogamer(100/100): 時速300Km/h以上、『Tribes: Ascend』は私がここ数年プレイしてきた中で最もエキサイティングなFPSだ ――PC Gamer(88/100): スピードとスキル主導のメカニックにより『Tribes』は最近のシューターと比べ別格の存在となっている |
「F2P作品は無料だから低クオリティだろう」と無碍に言えなくなる、F2P作品のクオリティがパッケージゲームにも匹敵するようになってきたなと如実に感じさせるのが2012年4月サービス開始のFPS『Tribes: Ascend』。“スキーイング”というシステムで斜面をハイスピードで滑走する文字通り世界最速のFPSながら、クラス制システムでスキルの無いプレイヤーでもそれなりに活躍可能。シリーズの歴史を知らずとも、その爽快感と楽しさに満ちたチームプレイ重視のマルチプレイヤーはFPS好きならマストバイならぬマストプレイ。100pingほどの海外サーバーでも十分遊べるなど、ネットコードが優秀なのも嬉しいタイトルです。これで無料はまさに価格破壊。
第1位: 『Hotline Miami』
海外レビュー平均スコア: PC版85/100

――Eurogamer Italy(90/100): この新作8bitゲームほどゴアやバイオレンス、流血を美しく描いた作品は今までに無い ――IGN(88/100): 『Hotline Miami』に手を伸ばす理由?存在するから。楽しいから。プレイする価値があるから |
『FTL』など多数の良作インディーズタイトルが登場した2012年ですが、今年の海外インディーズを語る上で決して外せない作品と言えば年末に登場した『Hotline Miami』。殺し屋となってエリア内に居る敵を文字通り皆殺しにするというブラッディな本作。派手な暴虐表現に目が行きがちですが、むしろそういったゴア、サイコなストーリー、ドゥープなBGMといった各種要素が、スピーディーなゲームメカニックと深く絡み合って1つの体験を生み出していくのが同作の真の魅力。その各要素が融合していく完成度は並み居るパッケージタイトルをも打ち負かします。発売から7週間で13万本のセールスを記録したとのことで、インディーズゲームとしては成功したと言えそうですが、まだまだ今後もコアゲーマーにさらに知られていくべきタイトルでしょう。続編『Hotline Miami 2』が現在開発中。
以上、10本をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。読者の皆さんも、ここで挙げられていない「大作に埋もれた良作」をご存知でしたら、ぜひコメント欄にて教えてください!
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