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2013年1月24日(木)にスクウェア・エニックスより発売予定の『HITMAN ABSOLUTION (ヒットマン アブソリューション)』。前回の記事では、“ヒットマン”シリーズの歴史に始まり、今作の新たなゲームシステムや登場人物などをまとめてご紹介しましたが、今回は『HITMAN ABSOLUTION』の日本語版を実際にプレイしてみての詳しいレポートをお届けします。
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主人公である暗殺者“エージェント47(フォーティセブン)”。今作では、47の長年のパートナーであった“ダイアナ”が組織を裏切った事により、彼女を暗殺するところから物語はスタートします。ダイアナ暗殺後、彼女から託された一人の少女“ヴィクトリア”を守るため、47は混沌の渦中へと身を投じていく事に。ストーリーはより壮大でドラマティックに展開していきます。
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今作も今まで発売されたシリーズ同様、指定されたターゲットを暗殺していく事でミッションをクリアしていく流れですが、暗殺方法がたくさんあり、どれを選ぶかはプレイヤー次第という点がとても楽しいです。難易度ノーマルで遊んでみましたが、ミッションが進んでいくと意外とノーマルでも難しいなぁと思う事もありました。
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ターゲットまでどういうルートで近づくか、どうやって暗殺するのか、よく考えて進まないとあっという間に暗殺対象者の手下や、道中に居る警察官などに見つかってしまう事が多々ありました。恥ずかしながら、私は最初のうちは何も考えず「難易度ノーマルだしゴリ押しプレイでもいけるだろう」と少々甘く見たプレイをしてしまったため、《手下Aに見つかってしまったので手下Aを暗殺→その音を聞きつけた手下Bに見つかってしまったので手下Bを暗殺→その音を聞きつけた手下Cに……以下略》という、“暗殺を隠すための暗殺“という非情に悲しいループを繰り替えすはめになってしまいました。というのも、ちょっとした変化に敵AIがすぐ気づくようになっているため、使用する武器によっては敵が倒れた物音で敵が近づいてくるのです。この緊張感はなかなか凄いですね。
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何も考えず正面から突っ込んでいくランボープレイも出来ると言えば出来ますが、やはりここは伝説の暗殺者らしくスマートな暗殺方法を模索していくのがこのゲームを数倍楽しむためのポイントでしょう。ミッションクリア後の最高位ランクである“サイレントアサシン”をめざすには、ターゲットまでのルートや暗殺方法をしっかり考える必要が出てくるので、ミッション一つ一つのやりがい度はかなりあります。
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周囲の環境を利用して、ターゲットを事故死に見せかける事も出来ます。例えばターゲットが工事用クレーンの下を通り過ぎるタイミングに合わせて鎖部分を打つとクレーンが崩れ落ち、事故に巻き込めたり。事故だと周囲に怪しまれずにすむので、サイレントアサシンの称号を狙う際には重要な暗殺方法の1つともなりうるでしょう。
私の主観になりますが、予測していたターゲットの動きがちょっとでも変わると一気に狙うのが難しくなる暗殺方法なので、第一候補として事故死を選ぶ事はないのですが「事故死を狙えるポイント」は覚えていて損はないですね。
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今作に登場するエージェント47の特殊能力である“インスティンクト”。ターゲットまでに近づくためにはこの“インスティンクト”を活用していく事が必須となっています。例えばシリーズお馴染みの“変装”、前作までは47が変装してからは堂々と敵を目の前にしても平気でしたが、今作からは変装をしても敵に近づき過ぎるといずれバレてしまうようになりました。
そこで今作ではインスティンクトの能力を使う事により、変装した姿で敵を目の前にしても、47が顔を隠して前を通るなどの演技をするようになり、敵にバレずにその場を離れる事が出来るようになります。
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「バレなくなるとミッションも簡単すぎてつまらないのでは?」と心配する方には、高難易度でのプレイをオススメしておきます。難易度を上げていくとインスティンクトの能力に制限がかかっていき、高難易度ではインターフェイスなどの情報が一切出なくなります。いつゲージが切れるのかを目視する事が出来なくなるため、一気に緊張感の高まるプレイが可能になっています。
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ちなみに“ハイドポイント”と呼ばれる安全地帯も存在しています。この“ハイドポイント”で変装している職に伴った行動をしている場合、ゲージを消費せず に周囲の目を欺くことが可能です。例えば47が警察官に変装した時は、ハイドポイントで“ドーナツ”を食べている時は周囲に変装がバレないのです。任務のためなら必死にドーナツを食べる47のプロ根性はさすがとしか言い様がありません。
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日本版の音声は“吹き替え”と“英語音声”を切り替える事が出来るので、好きな方でプレイ出来るのは良い点だと思います(Xbox 360版は無料のダウ ンロードコンテンツをダウンロードする事で英語音声に切り替える事が可能)。日本版を遊んで思った事は、やはりプレイ中に日本語での吹き替えで遊ぶと、ヒント項目が頭に入りやすく、戦闘中でも話の内容が自然と頭に入ってくる点は吹き替え版の利点でしょう。私の場合、ムービー中は英語音声・日本語字幕でもいいのですが、プレイ中に字幕を見るのが難しい場面では日本語の吹き替えがとても便利だなと思いました。チャレンジ内容なども日本語だと把握しやすいのがとても良かったです。
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今作では複数の小さな箱庭を次々と移動していく事でステージを移動していく形になっています。次の箱庭へは指定された特定のドアを通る事で移動していきますが、一度このドアをくぐると前の箱庭には戻れません。なので前作に馴れている方だと「もっと自由に箱庭を歩きたい」と思われる方もいるかもしれません。
個人的には今作の細分化された小さな箱庭を次々と目的のためにスニーキングして進んでいくプレイスタイルはとても緊張感があり、これはこれで面白いと感じました。何より今作はストーリーや演出がとてもドラマティックなので、細分化された箱庭からムービーに入る演出がシームレスで展開されていく様は、まるでゲームを遊びながら映画を見ているような感覚になります。
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ステージクリア後のリザルト画面で、任務達成のランクやそのミッションで手に入れたアイテム類などの確認も出来るので、やり込み要素の類もちゃんと用意さ れている所を見ると、何度もプレイする事前提になっているのかな、と思います。変わった暗殺方法のチャレンジも設定されているので、このチャレンジ項目を 成功させていくのもなかなか面白いなぁと感じました。
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いよいよ日本版の発売日まであと少しとなりましたが、『HITMAN ABSOLUTION』は、ある程度決められた状況から遂行したい暗殺方法を絞り込み、そこから戦略を練っていくゲームだと思います。ミッションに失敗し てしまっても、「じゃあ次はこの方法を試してみようかな」とコンティニューをしてみて、それらが上手く噛み合いクリア出来た時の充実感はとても大きいです。そう感じるのも、きっと多数の暗殺方法があり、手段は問わないクリア方法があるからなのでしょう。
少し残念な点を述べると、チャレンジ項目の内容を見ると大体の暗殺方法のヒント(ほぼネタバレもあり)が書いてあるため、ネタバレ嫌いな人が初めて挑むマップで迂闊にチャレンジ項目を見てしまいガッカリしてしまわないか、という点。チャレンジ項目の暗殺チャレンジは、ミッション1周目の場合「???」表示でもよかったかもしれません。ただし、チャレンジ項目がわかってもその通りクリアできるかはプレイヤーの腕次第です。
このゲームを楽しむひとつのコツは、最初はスコアを気にせず遊んでみる。次にちょっと周囲の環境など、使えそうな物を見つけて使ってみる。そしてあらかたマップの構造、敵の動き、周囲の環境を把握してから、自分が最高だと思える暗殺方法をターゲットにしかけてみる。
見事ターゲットが自分の暗殺に上手くかかった時は本当に「してやったり!」とかなりの満足感が得られます。最初から最高のプレイを目指すゲームではなく、 何度もやり込んでいくうちに、周囲が自分の手によって思い通りに動かせるようになっていく、というやり込みの過程が面白いゲームなのではと思います。
是非皆さんも、新しいヒットマンでターゲットにスマートな暗殺方法を考えて決行してみるのはいかがでしょうか。
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