
ミドルウェア『BISHAMON』の開発元MATCHLOCKへインタビューしました。ご担当者は同社のエバンジェリスト後藤誠さん。トリビアですが、"evangelist"は「伝道者」の意です。ブースにはミドルウェアの動作デモが流れていました。
――どこかで見たことのある映像ですが?
『Child of Eden』で使われています。パーティクルが『BISHAMON』によって創られています。
――今回ビットサミットに参加されたきっかけを教えてください。
スポンサーであるJames Mielke氏の想いに共感したことがまず1つ。あと去年のGDCであった「日本のゲームはクソだ」発言について、Mielke氏が「そんなことはない」と反論し世界に知らしめようとしたことに同意できたこと。実は、あの質問をしたのは私なんです。それであんなことになりました。
――今回ビットサミットにご参加されて手応えはありましたか?ミドルウェアというくくりでは他社製品が沢山ありました。
UnityさんやUnrealさんと比べれば、ミドルウェアとしてはまだまだマイナーです。ですが、こういった形で顔を出す場が増えるのは非常にありがたいです。
――他に採用された代表的なタイトルはありますか?
去年発売の『ポケモン不思議のダンジョン』やピラミッド開発の『ワンピース』、最近発売されたものだと『閃乱カグラ』でも使われています。『閃乱カグラ』ですとオープニングでいきなり『BISHAMON』のロゴを出していただきました。あとはあまり知られていませんが、パチスロなど遊技機向けにも採用されています。他の採用タイトルとしては、『ガンスリンガーストラトス』『エストポリス』などです。
――他に展開はありますか?
一昨年同人向けに『BISHAMON Personal』を発売してから、同人の方にも使っていただけるようになったのは非常に嬉しいです。日本のゲームを支えている一人一人に力添えをできるのは素晴らしいことです。
――今、色々なミドルウェアが存在しています。グラフィックツールもたくさんあります。そのような中でどのような戦略を打ち出しますか?
まず、ゲームエンジンを超えて採用されうるということです。エフェクトに特化しているため、プラットフォームやゲームエンジンに頼りません。インテグレーションしやすいのです。また、デザイナーにも非常に使いやすいようになっています。階層構造でエフェクトを創れるので、今までのエフェクトツールでできなかったことが出来る、つまり表現力が上がっているということです。これはデザイナーに支持されている部分です。
他のエンジンやプラットフォームにインテグレーションとしやすいということから、今までの社内のエフェクト資産を蓄積することができます。前に創ったゲームからプラットフォームやゲームエンジンが変わったところで、少し手直しするだけで済みます。そうしたことからコストを削減することができます。
――純粋なエフェクト用のミドルウェアと。確かに独自の立ち位置と感じられますが、あえて競合を挙げるとすれば?
Unityさんのようなほぼタダに近いような価格で出して、かつエフェクトも勉強できるようなものはライバルです。今までエフェクトを勉強できる環境はあまりありませんでした。デザイナーは専門学校でモデルやモーションを学習することはあってもエフェクトについてはそれほどではなく、ゲーム会社に入って初めてエフェクトツールを使って学ぶケースも多くありました。今は『BISHAMON』のおかげで学生のうちから勉強する環境ができました。そうした観点からして、ほぼタダで使えるUnityさんはライバルです。
でも今デザイナーはたとえば『Maya』があれば他はいらないかというとそんなことはなく、『LightWave』も『XSI』もシーンによって使い分ける必要性があります。ですから、Unityさんはライバルではないとも言えます。UnityさんにはUnityさんのいいところがあるので、バリエーションとして共存していきたいです。
――最後に、もちろん名前は出せないでしょうが『BISHAMON』が採用された未発売のビッグタイトルはありますか?
あります。超有名なタイトルです。
――本日はありがとうございました。
ミドルウェア、と聞いてもイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思いますが、ゲーム製作において今や欠かせない存在です。そんな中でも機能と方針において異彩を放つ『BISHAMON』、今後はゲームをプレイして美麗なパーティクル描写を見かけたらエンドクレジットに注目です。
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