ゲームが総合芸術である以上、映像にかんする進歩を歓迎しない理由はありません。今回公開されたのはNVIDIAのPhysXによる流体シミュレーション。プリレンダではなく、シングルGTX580(つまりSLIでない)で動作しているリアルタイムムービーです。あれこれ説明する前にまずは動画をごらんください。
本動画は、NVIDIAのMiles Macklin 氏と Matthias Muller氏が"Position Based Fluids"という論文の原理と概略をデモンストレーションするために最近用意したもの。同氏らによると、「非圧縮性の」液体をレンダリングする際のシステム負荷を低減し、よりリアルな粘性を表現する手がかりになるそうです。情報元PDFに、門外漢ではいささか理解が困難な数式など詳細な情報が記載されていますので、理数系能力に自身のある方はご一読ください。
ゲームで流体といえば、「入ればキャラクターの動きが鈍くなる、泳ぐ」「長時間滞在しているとHPやO2を消耗する」「慣習としてあるべき場所にある(海など)」というように、記号化されているがゆえにプレイヤー側が水と認識できるようなものがほとんどでした。事実、最近の作品ですらまるで水銀かなにかのような質感の液体描写ばかりです。
しかし、当該デモでは水飛沫や波、水面のうねりまでが実現されており、まさしく水、少なくとも液体そのものです。だからなんだ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、単なる映像としてではなく、ゲームの一要素として織り込まれるポテンシャルもあります。とうとう水圧の概念がゲームの中で再現される時代が到来するのかもしれません。
※誤字を修正しました。コメントでのご指摘ありがとうございます。
(ソース: Position Based Fluids [PDF] via Joystiq)【関連記事】より派手なエフェクトに!『Hawken』“PhysXト”レイラー
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