ダイビングのシミュレーター系タイトル『World of Diving』がIndiegogoで出資を募っています。目標金額は7万5000ドル、5月30日段階で残り34日。お約束のストレッチゴールについては後日公開予定で、iPadを使った何かのようです。
ひとまず何かに投資したくてしかたがないマハラジャのために限界まで突っ込む場合についてお伝えすると、上限は1万ドルで、その名も"Poseidon Perk"。ついてくるのは、まずインゲームアイテム「スーパーヨット」「デザイナースヨット」「スピードボート」「ハープーン(銛)」「トレジャーディテクター(金属探知機のようなもの)」「スピードクルーザー」「水中スクーター」「カクレクマノミの相棒」。デジタルな部分だと、ゲームのデジタルダウンロード・ベータアクセスキー・デジタルサウンドトラック・ダイビングポイントのデザイン権・沈船命名権・カスタムキャラクター・コンセプトアートブック(PDF)・ストラテジーガイド(PDF)。現実的または物理的なところでは、Tシャツ・VIPバッジ・ワールドマップ(おそらく紙媒体?)・コレクターズエディション用のボックス・開発チームとチャットする権利・コミュニティアクセス権・ローンチパーティーへの招待・オープニングクレジットへの記載。なお、一番大きく記載されている「Great White Shark Buddy!」は明記されていませんがたぶんインゲームアイテムです。あまり本物は欲しくありません。
えらく冗長になりましたが、下限は10ドル。DRMフリーです。
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開発はオランダのロッテルダムにあるVertigo Games。"vertigo"とは「目まい」の意で、ダイビングをたしなむ層が若干の重さと苦さを感じる単語です。クリエイティブディレクターのRichard Stitselaar氏は熱心なスキューバダイバーだそうです。ケイブダイビング(洞窟)やレックダイビング(沈船)など、数々のイメージをチーム内で共有しているとのこと。
「このタイプと規模のゲームにしては安い」とする7万5000ドルの行方は、99.99%が開発費にあてられます。750円くらい発生する追加費用の使途がむしろ気になりますが、いずれにせよ些細なことでしょう。
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本作はダイビングをテーマにしたシミュレーター系タイトルで、Oculus Riftに対応。現在はまだ試作段階で、リリース目標は2014年初め頃、プラットフォームはPC/Mac/Linuxを予定。直近だと類似したタイトルには『UnderCurrent』がある一方で、『World of Diving』最大の特徴は「世界初のオンラインマルチプレイヤーダイビングゲーム」を標榜している点にあります。
ゲームシステムとして挙げられているのは、現実の海を再現したダイビング・環境などの制約を受けずに海を探索・キャラのカスタマイズ・友達やNPCとの協力プレイ・100以上の収集要素・友達や敵とお宝探し勝負・沈船や第二次大戦の潜水艦、洞窟の探索・コミュニティ&ゲーム開発参加型・Oculus Riftと通常のモニタ両対応など。先ほどの「世界初〜」のくだりの詳細は不明ですが、おおよその推測ができます。
その手があったかと思わせてくれるトレイラーには、さすがというべきかダイビング愛があります。まず印象的なのが音響関係で、リアルなボート音や水中での呼吸音や水流の音など、本物を知らないとまず創りえない、というよりは本物をサンプリングしてきたのではないかとすら感じられる出来栄えです。
モーション周りもなかなか凝っているようで、バックロールエントリーの様子や、「一人称視点においてフィンキックで左右に視点がブレる」要素など、シミュレーターまたは現実再現に徹しているのがひしひしと伝わってきます。『UnderCurrent』もそうでしたが、水の不透明感を描写する試みもなされています。水中での光源の具合については、動画を比較する限り本作が一枚上手でしょうか。
また、水深計やエア残圧など、意外にこれまでの"海系"ゲームでは軽視されていた部分も織り込むようです(ただし、上記ゲームコンセプトから、ダイビングにかかるタイトな部分まで再現されるかは不明)。さらに、スキューバギアを装備しないフリーダイビングまたはアプネアと呼ばれる、いわゆる素潜りもあるようです。
一方、ゲーム的な部分としては、水中銃や銛の存在。サメなどを撃退するものと思われます。また、カメラ撮影やトレジャーハンティング要素も。前者はともかく、後者は現実的にはかなり厳しいでしょう。さらに動画のワンカットには、ゲーム内通貨を使ってのアイテム購入画面などもあります。
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現実のダイビング業界にはちょっとした暗部があり、景気もさほど良いわけではありません。存外間口の狭いレクリエーション・娯楽を広げるアプローチにバーチャルリアリティ技術が使われるとしたら、なかなか興味深いことなのではないでしょうか。
(ソース: Indiegogo, World of Diving)