2009年にピーター・モリニュー氏がキャラクターと会話をする『Milo and Kate』をE3にて公開し、AIキャラクターと人間が対話を行える『シーマン』以来のゲームの未来を示しましたが、『M&K』の製品化は「今のゲーム業界には早すぎる」として実現には至りませんでした。一方でマサチューセッツ工科大学(MIT)にて、そんな未来のキャラクターとの対話を感じさせてくれるかもしれないソフトウェアMACH(My Automated Conversation Coach)が開発されています。
MACHはSocial Phobia、いわゆる対人関係にて不安や緊張を持ち発汗や赤面してしまう社交不安障害などの患者をメインターゲットにしたソフトウェアで、就職面接や初デートといった場面に遭遇するまでに対人スキルの経験を積むために開発が行われました。
MACHではユーザーが口から発したワードはもちろん、スピーチの強弱や速度、さらにはユーザーの顔の表情や頭部のジェスチャーなどをWebカメラやマイクを通して総合的に解析します。これに対しスクリーン上に表示された実物大の3Dフェイスモデルは、笑顔を見せたり頷いたりしつつ、質問を投げかけたり返答するなどのアクションを見せます。人間と3Dキャラクターが相互にコミュニケーションを取り、実際の会話をシミュレートすることが出来るそうです。
実際にMITでは90人の学生を対象に実験が行われ、3つのグループに架空の就職面接をそれぞれ2度行ったところ、間にMACHで訓練を積んだグループが面接において顕著な改善を示したそうです。2年以上にわたりMACHの開発を続けたM. Ehsan Hoque氏は、アスペルガー症候群や社交不安障害、PTSDなどを患った人々に対する保険行動で新たな可能性を示せないか調査中であると伝えています。
SFテーマの作品ではAIを搭載したナビゲーションキャラクターが登場しプレイヤーに進路を指示してくれたりしますが、近い未来にもゲームだけで無く医療や公共機関など様々な場面で人間とコミュニケーションするキャラクターを見ることになるかもしれませんね。
(ソース: MIT News)
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