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2013年11月28日から12月1日にかけて、中国は昆山(クンシャン)にて、World Cyber Games2013 Grand Final(通称WCG 2013)が開催された。世界から40か国が参加、出場選手は500人に上り、4日間で総数2000試合。そして全世界の視聴者数は1億人!2001年から続く、まさに世界最大級のe-Sportsイベント。そのレポートをお届けする。
■中国15億人の圧倒的熱量!
会場は幕張メッセと同じくらいの広さを持つ上海国際展覧センター。各タイトルの決勝戦が行なわれた最終日には、会場内に収まりきらない数の観客が押し寄せ、昼過ぎには入場規制がかかるほど。メインステージにはほとんど近づけず、世界最高峰の闘いをその目に焼きつけようとする人々の塊ができ上がっていた。
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■日本からは過去最多となる5タイトル19人が世界を相手に闘った
今回採用された作品タイトルは『CROSSFIRE』(CF)、『FIFA14』(FIFA)、『League of Legends』(LoL)、『StarCraft II』(SC2)、『SUPER STREET FIGHTER IV Arcade Edition Ver.2012』(スパIV AE)、『Warcraft III』(W3)、『World of Tanks』(WoT)、プロモーションタイトルに『Assault Fire』『QQ Speed』の計9つ。このうち5タイトルに19人の日本人選手が出場した。
出場人数は過去最多で、まさに日本選手団の名にふさわしい。『スパIV AE』のふ~ど選手が招待であるのを除けば、いずれの選手・チームも日本予選を勝ち抜いた猛者揃い。国内最強の一団がe-Sportsの世界をけん引する中国に乗り込み、世界を相手に闘ったのだ。その結果やいかに?
- ▼『CROSSFIRE』部門
チーム名:NfN_Velias
チームメンバー:
Ves_Ayatsuji
Ves_Nassjas
Ves_dervitz
Ves_Asterisk
Ves_tappi
▼『World of Tanks』
チーム名:[DN]Silly Ducks Revolution
チームメンバー:
DN_Ashigaru_Musketeer
DN_t4
DN_opelisk
DN_4lt
DN_VeyN
DN_LordKetchup
DN_tomott
▼『SUPER STREET FIGHTER IV Arcade Edition Ver.2012』(推薦)
ふ~ど(Fuudo)
▼『StarCraft II』部門
Albion
▼『League of Legends』
チーム名:Rampage
チームメンバー:
Harakiri Boy
meromeron
dejiwo
Aotaka
Mirabis
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■『スパIV AE』ふ~ど選手、強敵Dieminion選手を破って優勝!
『SUPER STREET FIGHTER IV Arcade Edition Ver.2012』は日本のお家芸ともいえるタイトルの一つ。ウメハラ選手をご存じの方も多いはず。彼に匹敵するほどの実力を有するのがふ~ど選手だ。前評判から優勝候補筆頭に挙げられていたが、予選同グループには過去に世界最大の格闘ゲーム大会「EVOLUTION」(EVO)で苦汁を舐めさせられているアメリカ代表Dieminion選手がおり、別グループにはEVO2013で多くの日本人トップ選手を破った韓国代表Infiltration選手がいる。
予選リーグではDieminion選手を下し、全勝で決勝トーナメントに駒を進めた。なんとここで最大のライバルと目されていたInfiltration選手が予選落ち。これにはふ~ど選手も驚きを隠せない様子だった。Dieminion選手は2位で勝ち上がり、ふ~ど選手は準々決勝をHuman Bomb選手と闘うことに。
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2本先取のあと、2本取り返されるという展開に会場がどよめくが、数々の修羅場をくぐり抜けてきたふ~ど選手は冷静に勝利。決勝戦では再びDieminion選手とぶつかるも、1ラウンドを取られただけで圧倒的な優勝を決めた。日本の格ゲー界にふ~どあり、と知らしめた格好だ。
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■Rampage、初の『League of Legends』部門での出場で健闘!
『League of Legends』(LoL)はもはやe-Sportsの世界では知らない者はいない、最も盛り上がっているタイトルだ。WCG2013に出展していたデバイスメーカーはこぞって『LoL』をデモンストレーションのタイトルに採用。プロ選手のサイン会などが開かれると、人の荒波ができ上がるほどだ。
日本代表Rampageは国内では無類の強さを誇り、今回最も注目されていたといっても過言ではない。国際派のマネージャーがつき、国外のさまざまなチームの練習方法を取り入れ、チームを強くしようとしている、プロ志向のチームだ。今回初めて『LoL』部門の日本予選が開催されたわけだが、日本『LoL』界の期待を背に彼らはどのような結果を残したのか。
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左からAotaka選手、Mirabis選手、Hrakiri Boy選手、Meromeron選手、dejiwo選手。
Rampageと予選同リーグには世界トップクラスのCJ Entus Blaze(CJB)がいた。初戦のオーストラリア代表には敗北したあと、なんと突然メインステージでCJBとの対戦を告げられる。カメラに映ってパフォーマンスをする余裕もある5人だったが、世界との実力の差を見せつけられてしまう。だが、その中で「自分たちは世界で闘える」という大きな手応えを感じていた。
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結果としてはブラジル代表Kabum!に勝利し、勝てば3チームによるプレイオフに進出できる香港代表EPHK戦で、残念ながら敗北して1勝3敗。「もっと練習すれば勝てる」とチームのムードメーカーMirabis選手は語ってくれた。国内を超えて世界で活躍してもらいたい。
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■快挙、『World of Tanks』部門[DN]Silly Ducks Revolutionは決勝トーナメント進出!
7人チームで闘う『World of Tanks』(WoT)部門の日本予選が開催されたのも今回が初めて。9月5日に日本語サービスを開始したばかりのタイトルで、すでに長らく活動していたのがSDRだ。彼らは国内一強の呼び声も高く、メンバーもそれを自負している。まだまだ芽吹いたばかりのタイトルで、SDRは世界にその名を刻むことができたのだろうか。
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左からDN_t4選手、DN_Veyn選手、DN_tomotti選手、DN_Ashigaru_Musketeer選手、DN_4lt選手、DN_opelisk選手、DN_LordKetchup選手。SDRはマルチゲーミングクランのDetonatioNに所属する『WoT』部門のチームだ。
SDRは予選リーグでイギリス代表と地元中国代表を打ち破り、ドイツ代表には敗北するも2勝1敗で決勝トーナメントへ進出! 準々決勝では世界最強クラスのウクライナ代表Team Dignitasと対戦し、初戦の勝利をわずかなところで引き分け、そのあと連敗して敗戦。リーダーのDN_Ashigaru_Muskteer選手は「思っていた以上に差があるわけではない」と語り、今後に意欲を見せた。
■『CROSSFIRE』『StarCraft II』は健闘するも予選敗退
『CROSSFIRE』のNfN_Veliasは1勝3敗2分で敗退。だが、日本最強チームとして世界最強の中国代表と引き分けたことは彼らの糧となるに違いない。世界はそう遠くないはずだ。『StarCraft II』のAlbion選手は1勝5敗。日本予選で並みいるライバルを破って現れた新星だっただけに期待も大きかったが、この結果に。今回の経験がどれほど彼のプレイヤー人生に影響を与えたかは計りしれない。
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■総合優勝は韓国、2位中国、そして3位にイランと日本
もはやe-Sportsの本場といってもいい韓国が総合優勝を決め、中国が2位。そしてふ~ど選手の活躍により日本がイランと同率3位に。日本発の格闘ゲームにおいて改めてその強さを見せつける結果となった。
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■その他 各タイトルの優勝について
CROSSFIRE:中国代表QCES.QQVIP
League of Legends:韓国代表CJ Entus Blaze
FIFA14:イラン代表FG|T__N__T選手
StarCraft II:韓国代表Soulkey選手
SUPER STREET FIGHTER IV Arcade Edition Ver.2012:日本代表ふ~ど選手
Warcraft III:中国代表THOOO選手
World of Tanks:ウクライナ代表Team Dignitas
Assault Fire:中国代表SteelSeries*Class302
QQ Speed:1vs1は中国代表TAN Weiyi選手、2vs2は中国代表The lunatic asylum
以上の結果になった。
予選リーグやトーナメントの経過についてより詳細は公式サイトの情報を確認してもらいたい。WCG 2013公式サイトhttp://www.wcg.com/renew/index.asp
■WCG 2013閉幕
12月1日20時頃(現地時間)、WCG 2013は閉幕した。国家、自治体、そして多くの世界的スポンサー企業を挙げて開催されたe-Sportsの祭典。日本選手団はその盛り上がりを肌で感じ、一つ一つのプレイに高揚する人々の声を直接聞いたことだろう。彼らは胸の奥深くにどのような想いを抱いたのだろうか。その片鱗をのぞかせはしたものの、まだ実感を言葉にはできないかもしれない。だが、あの熱狂を再び味わいたい。そして自分が起こしたい、と考えているのではないだろうか。あの光景を前にして、そんな憶測もしてみたくなる。