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E3で2014年発売と発表され、多くのファンが続報を待ち望んだスクウェア・エニックスのファーストパーソンステルスゲーム『THIEF』。北米や欧州では2014年2月下旬に、日本向けローカライズ版の発売も2014年春と発表された。今回、開発元Eidos Montrealのプロデューサーであるステファン・ロイ氏が来日し、より細かい要素が明らかになったストーリーとゲームプレイのプレゼンテーション、そしてPS4版のデモを実際にプレイすることができました。
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以前にもお伝えしたように、今作は過去にPCゲームとして発売されてきた旧三作からは設定や世界観は引き継がれるものの、物語的な連動はなく、「再起動=リブート」的な作品となります。
■ 女シーフ“エリン”と主人公の関係は?
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物語の舞台となるのはシティと呼ばれる都市。時代は産業技術が発展し世間は黄金時代と呼ばれる活況で充ち満ちていました。そんな中、主人公であるマスターシーフのギャレットが、孤児という境遇にかつての自分を重ね、弟子として技術を伝授した女盗賊のエリンと再会し、再び一緒に仕事をするシチュエーションから物語が始まります。
ギャレットは、盗賊ながらも自身のプライドとしている「殺しは最終手段」という心得を持つものの、エリンは目的を達成するためなら簡単に人を殺すことを選択してしまう。意見の食い違いから師弟関係を解消していた二人が、数年の時を経て再び手を組み、ある屋敷でのハイリスクな仕事に向かいます。エリンはロープの先に取り付けた鋭い鉤爪を使いこなし、高い塀を乗り越え、さらに人を殺傷する道具として使用。これを見たギャレットは、エリンから鉤爪を盗み殺しを封印しようと試みました。
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そんな最中、屋敷の中では奇妙な儀式が行われ、そこで発生した不思議な力によって、建物は崩壊を開始。巻き込まれたエリンは、鉤爪がなかったために、儀式の中央に落下してしまいます。ギャレットもその直後に意識を喪失。目を覚まし、自分のせいで死んでしまったエリンへの悔恨の念を持ちながらも、黄金時代によって活気づいていたはずのシティが大きく変容していることに気付き、それがある大きな事件の始まりだった……というのが物語の導入となります。
■ ただ隠れて盗むだけがシーフじゃない
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『THIEF』は、ギャレットを操ってさまざまな物を盗みながら、変わってしまったシティの謎を探ることを目的として進行。ステファン氏によれば、ストーリー進行に関係のあるものを盗むために潜入→隠れながらアイテムを盗む→目的を達成したら見つからずに逃げ出す……という3つの行動を繰り返して、プレイを進めることになるそうです。
ステージ終了後には、「どのようにプレイしたか?」を知ることができる「行動結果」が表示されます。そこで重要となるのが、行動結果を反映した円グラフ。円グラフは、「GHOST(幽霊)」、「OPPORTUNIST(日和見主義)」、「PREDATOR(捕食者)」の3つの要素が表示されており、隠れながら行動すれば「GHOST」が、状況に応じて行動すれば「OPPORTUNIST」が、衛兵を殺すなど攻撃的な行動をとれば「PREDATOR」の各ゲージが高くなります。例えば、「GHOST」のプレイを極めるなら、音のしない靴を手に入れギャレットの装備をカスタマイズすることも可能。単なる「盗む行為でミッションクリアする」だけに留まらない、プレイ要素の広がりが魅力といえるでしょう。
■ PS4版ハンズオンで盗賊のなりきりプレイを体験
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ゲームのストーリーとシステムのプレゼンを聞いた後、いよいよハンズオンプレイへ突入。国内ではまだ発売されていない、PS4で『THIEF』を初体験。今回は、物語序盤、衛兵たちがうろつく路地沿いの宝石店に侵入し、店の中のどこかに隠されている貴重な仮面を盗み出し、自分のアジトである時計塔に戻るというミッションをプレイ。
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PS4のDUALSHOCK 4コントローラーでは、タッチパッドの操作でアイテムセレクトを行え、複数のアイテムの中から効率良くその場で使いたいものが選べるようになっています。また、これまでのPS3コントローラーよりも格段に握りやすくなっていて、長時間プレイにも疲れが少なそうな印象でした。
衛兵が行き来する路地の暗闇に潜んで、周囲の様子を確認。破壊や移動などができる部分や、障害物越しに衛兵たちの位置を確認できるギャレットの特殊能力「Focus」を使ってまずは潜入の作戦を練ります。
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プレイ方法によっては、衛兵を弓で殺したりもできますが、ここは可能な限り隠れ続ける方法で行きたいところ。衛兵の頭上に大きな木材が見つかったので、ロープを切って木材を落とす作戦にしました。隠れながら弓矢が放てる場所に移動し、衛兵の一人が下に来たところで木材を落下させると、同時に他の衛兵の注意を引くことに成功。そこから場所を移動して、衛兵に見つからないように路地を横切り建物に辿り着くことができました。急いで行動する際には「Swoop」という緊急回避的なアクションも可能。見つからないように影から影を通って移動するという感覚も盗賊的。薄暗い路地で、わずかな光があるからこそ、より目立たない行動に気を付ける部分も緊張感が高まります。
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今度は、宝石店の中に入る場所を捜索。高いところに登って周囲を見回すと開いている窓を発見。静かに内部に潜入します。暗闇に紛れれば、見張りの持つ鍵やアイテムなどをギリギリまで近づいて、気付かれないように奪うこともできますし、後ろから攻撃して気絶させることも可能。この「近づく」というハイリスクハイリターンな行動も、没入感を高めるポイントと言えるでしょう。
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プレイ当初こそやや戸惑いがあったものの、緊張感と集中力を擁するゲームプレイと次世代機の高解像度グラフィック、そして一人称の視点によって、ゲームへの没入感が大変高く、気がつけば完全に泥棒になりきった感覚でプレイしていました。
この後、店の内部にいる兵士にばれないよう、内部を探索しミッション目的のアイテムを探すわけですが、他にもコレクションアイテムなどが多数あり、それらを集める楽しさがよりゲームプレイを奥深いものとしています。建物の内部は、引き出しやクローゼット、棚などがあり「盗めそうなものがある場所」は、ほとんど調べることが可能。これも盗賊という行動の疑似体験を持続させるポイントとなっています。
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もちろん、ミッションクリアのためのアイテムを入手し、建物から脱出しても、衛兵たちに見つかるリスクは残ったまま。侵入、探索、脱出と息を抜けない緊張感がたまりません。なんとか見つからずに、自分のアジトに到着しハンズオンプレイは終了。気がつけばかなり集中してプレイしている感じでした。
ミッションクリア後の画面によって、自分の行動が円グラフで可視化されているのも次回プレイへの意欲を上げるポイントとなっています。今回のハンズオンでは、装備のカスタマイズや細部の探索まではプレイできませんでしたが、盗賊になりきる深みを堪能できたので、自分の楽しみたいスタイルに合わせてより高度なゲームプレイを体験してみたくなりました。
『THIEF』は、PS4/PS3/Xbox 360/Xbox One/Windows PCを対象に、日本国内で2014年に発売予定です。