アメリカ、ワシントンDCで催されたゲームコンベンションにUNICEFが送り込んだのは俳優と映画クルー、そして南スーダン人の若者2人。その目的はゲームファンに向けて”ある新作ゲーム”を紹介するためでした。『ELIKA'S ESCAPE』はポストアポカリプティックな世界観と戦争をテーマにしたサバイバルホラージャンルのFPSタイトル。『Fallout』シリーズを彷彿させます。
主人公は7歳の女の子、Elika。戦時下の劣悪な環境の中、母親はコレラを患い死亡。兄は自分をかばって殺されます。Elikaはまだ幼児の弟を連れ銃弾が飛び交う中を命からがら逃げ延びます。しかし、たどり着いた難民キャンプに十分な食料はなく、生活環境はあふれ出した下水で汚染されています。飢えや喉の渇きを満たし、幼い弟を養うためにElikaに残された選択肢はたった1つ。売春です。
プレゼンテーションが進むにつれ、最初は拍手喝采でゲストを迎え入れていた観客から笑顔は消え、次々と席を離れて退場してしまいます。中には口に手を当て驚嘆の表情を隠しきれない者も。自分たちが目にしているものが決してゲームなどではなく、南スーダンで実際に起きている子供たちの現実であることに気がついたからです。
YouTubeの公式チャンネルで公開された動画は、南スーダンで食糧難や病気、被災に苦しむ子供たちへの関心を高めるためにUNICEFが行ったキャンペーンの一環。動画内に登場する講演の参加者、彼らのリアクション、ショートフィルム制作に使用された現地の映像は全てが本物であり、現実です。
「これはゲームではありません。Elikaのストーリーはノンフィクションです。私自身のことであり、南スーダンに住むその他多くの子供たちが日々体験していることなのです」と語る南スーダンの難民の1人、Mari Malek氏の言葉からは、まさに「ゲームで描き切れないことが南スーダンの子供たちに日々起こっている」というキャッチフレーズの重みが伝わってくるようです。
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