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日本国内リリースに先駆け、先日Game*Sparkでも開発者インタビューをお届けした、iOS専用のMOBAタイトル『Vainglory(ベイングローリー)』。
今週末、米国ボストンで開催されているPAX East 2015では、巨大なTwitchブース内に本作がプレイアブル展示。イベントにあわせて、待望のAndroidバージョンが発表になり、大きな注目を集めています。そこで、開発元Super Evil MegacorpのCOO兼エグゼクティブディレクターのKristian Segerstrale氏に再びインタビューを行い、詳しい話を聞いてきました。
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Super Evil MegacorpのCOO兼エグゼクティブディレクターのKristian Segerstrale氏。
――本日はよろしくお願いします。さっそくですが、PAX Eastの出展はいかがですか?
Kristian Segerstrale氏(以下Segerstrale): PAXは素晴らしいイベントです。今回、『Vainglory』に3つの大型発表を行いました。ひとつは、Androidバージョンのサポート。すでにクローズドベータテストを開始していて、2000人近いAndroidプレイヤーを招待しました。今後さらに参加者を増やしていくでしょう。もちろん会場でもAndroid版を展示していますよ。
※Android版クローズドベータ受け付けページはこちら。
2つ目の発表は、キャラクタースキンです。オリジナルとは少し違った見た目のヒーローを使うことできます。今回は「Sawborg」と「Evil Adagio」を披露しました。
3つ目の発表は「Spectator(観戦モード)」です。今日のTwitchステージイベントで、このSpectatorモードを使って初めて試合を放送するつもりです。おそらくモバイルゲームとしても初の試みではないでしょうか。当初、Spectatorは他に優先すべきことがあって実装していませんでしたが、ファンコミュニティーがe-Sportsへの進出を強く望んでいたので、導入するに至りました。
Androidバージョン、ヒーロースキン、Spectatorモードは、まだ正確なリリースタイミングは未定で、今後のアップデートにあわせて順次実装していきます。数ヶ月後には完全なかたちで導入されているはずです。
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――Twitchとはどのように協力していますか?
Segerstrale: Twitchは重要な存在です。我々の作るゲームは、たくさんプレイされるのと同時に、たくさんの人に視聴してもらいたいと思っています。欧米においてTwitchは、プレイヤーがゲーム配信を行う際に欠かせない存在であり、日本におけるニコニコと同じですね。また、ゲーム内のニュースフィード欄からユーザー動画に簡単にアクセスできるようにするのも重要な点でした。コアゲーマーの集まるTwitchコミュニティーで、『Vainglory』の存在を多くのユーザーに知ってもらいたいです。
――『Vainglory』はローンチ以来、どのように変化してきていますか。ゲームプレイ面やバランス調整など、最近導入したアップデート内容について教えてください。
Segerstrale: 欧米でのローンチ以降、合計8回のアップデートを導入してきました。アップデートのたびに、新コンテンツや新要素、バランス調整を実装しています。これまで4体のヒーローを追加したのに加え、チャットや特殊なPing機能、Emoticonなどソーシャル要素も充実させてきました。また、マッチデータや多く寄せられるユーザーフィードバックを基に、各ヒーローやアイテムのバランス調整を施しています。
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最近追加された新ヒーロー「Ardan(左)」と「Celeste(右)」。
――『Vainglory』は、手軽なスマホやタブレットで遊ぶ性質上、PCゲームに比べて試合の途中抜けやAFKが多くなる懸念もあります。こうした“Leaver”に対してSuper Evil Megacorpはどのように対処していますか。
Segerstrale: “Leaver”の問題はとても深刻に受け止めています。PCゲームなら、ゲームを退出しようとすれば確認画面や警告が表示されますが、モバイルデバイスの場合ワンタッチでゲームを閉じてしまえるので、それは防ぎようがありません。途中抜け行為に対しては3つの対策をとっています。ひとつはKarmaシステム。Karmaが増えると、ヒーローのアンロックに必要なGloryが早く貯まるようになります。Karmaを得るには勝ち負け関係なく試合を完了させる必要があり、途中抜けすると罰として大幅に減少します。
ただし、接続問題や不具合などで途中落ちしてしまうケースもありますから、2つ目の対策としてはネットワークの安定性を強化しています。もし意図せずゲームから落ちてしまっても、すぐに試合に復帰すればペナルティは課せられません。
また、途中抜けしたプレイヤーには、マッチメイキングのペナルティも与えていて、試合開始までの時間が延長される上、途中抜けプレイヤー同士で対戦を行うことになります。
――『Vainglory』はコアゲーマーをターゲットにしているという話でしたが、将来的に、PCでゲームを遊ばない層やMOBAを知らないカジュアルユーザーもターゲットにしていくのでしょうか。
Segerstrale: そうですね。現状『Vainglory』は、周りに教えくれる友人がいるか、コアゲーマーでない限り、簡単に遊び方を覚えることができず、カジュアルプレイヤーがゲームを理解しづらいのは事実です。とはいえ我々も小さなスタジオですので、まずはコアゲーマーが満足する体験を用意するのに注力し、土台を作っていきたいです。その次に目指したいのが、任天堂の『スマブラ』や『マリオカート』のように、同じ場所でいっしょに遊んでもらう環境作りです。みんなで集まって『Vainglory』を遊ぶのは本当に楽しいので、今まで以上にゲームを覚えやすくなるようチュートリアルを強化したり、あるいはストリーミングの機会を増やして、カジュアルゲーマーに興味を持ってもらえるようにしたいです。
――日本版のリリースが予定よりも延期していますが、どのような状況なのでしょうか。現段階でのリリース時期は?
Segerstrale: 日本で予定通り『Vainglory』をリリースできず申し訳ありません。本当のことを言うと、製品がまだ完全な形ではなかったためです。ローカライズはほぼ完了していたものの、いくつか足りない部分がありました。次のアップデートにあわせて、日本のゲーマーに向け準備が整うことを願っています。2月に東アジアサーバーも開設しているので、日本からも低Pingでプレイできる環境は用意できています。ひとつ確かなのは、我々は日本のゲーマーを深くリスペクトしているので、しっかりした形でゲームを届けたいということです。可能な限り早く日本でローンチしたいと望んでいます。
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ブースには人気キャラKoshkaとCatherineの公式コスプレイヤーも。
――最後に、『Vainglory』の発売を待っている日本のゲーマーにメッセージをお願いします。
Segerstrale: 発売をお待ちいただいて感謝しています。日本はビデオゲームの故郷でもあるし、日本版が納得のいく出来になるまで、もう少しお時間をください。またローンチ後もゲームがより良くなるように色々ご意見をいただきたいです。各国でファンコミュニティーと密接にやりとりしていて、コミュニティーこそがSuper Evil Megacorpにとって最も重要な存在なので、お互いに影響しあって、いっしょに素晴らしいゲームを作り上げていきましょう。
――どうもありがとうございました。