◆プロゲーマーのお金の使い方
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さて今年開催の世界大会「カプコンカップ」では、総額約6000万円という高額な賞金がかけられています。先日、アメリカの大会で優勝した梅原氏は、いち早く出場権を得て、賞金獲得にも積極的な姿勢を見せています。梅原氏はこれには「仕事でやっている以上、利益を出さなければいけない」と説明します。プロ5年目にして仕事の幅が広がりつつある梅原氏ですが、プロゲーマーは仕事で得たお金を何に使っているのでしょうか。
梅原氏は正直なところあまり物欲がないと答えます。大きな出費をすることはなく、仲間内での飲み会にお金を出すくらい。一番好きなゲームが仕事になったため、特別な趣味がないそうです。また服装に凝ったり、高級車に乗ったりといった派手なお金の使い方には抵抗があるといいます。
以上のように私生活も非常に地味な梅原氏。そういった中で自らの個性をどこで発揮しているのか質問が投げかけられました。梅原氏は誰にでも個性があるという前提のもと、いかに人から受け入れられる個性をつけるかについて説明しました。
梅原氏は自分のことを個性的な人間だと思い込んでいた時期もあったそうです。しかしながら、格闘ゲームでは個性的なプレイを意識した結果、負けが続いたそうです。そこで初心に戻り、基礎を丁寧に学びました。基礎に忠実なプレイを心がけた結果、自然に個性的だと評価されていったそうです。基礎的なセオリーは画一的であり、一見個性が消される気がします。しかしながら、それらの学習は個性を受け入れられる形に鍛えあげる効果があるというわけです。
◆プロゲーマーを目指す若者へ
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ここで会場から事前に集められた質疑応答に移りました。まずは「子供の頃からゲームばかりしていて、親はどう反応していたのか」というもの。梅原氏の両親は共働きであったため、学校から帰ってきて3、4時間の間に集中的にプレイしていたそうです。
次は「一番大切にしているものは」という質問。梅原氏はとにかく人間を大切にしていると語ります。勝負の世界では人を出し抜くために、人間関係が壊れがちです。しかしながら、人間関係がうまくいかないと継続的にプロとして戦えないといいます。特に常に新しいゲームで戦うプロゲーマーにとって、人づてに聞いた情報の価値は無視できないといいます。
さらに「プロゲーマー学科ができましたが、一番への近道はゲームをすることでは」という鋭い質問も取り上げられました。梅原氏はプロゲーマー学科がどうなっていくのかはわからないが、ゲームとはいえ、人とのコミュニケーションが大事であると指摘。昔はゲームセンターで人間関係を学べたが、今はなかなか共通の趣味の人が集まれないため、専門学校という制度にも十分価値があるのではないかと説明します。
最後に来場した学生にメッセージが送られました。昔はゲームといえば、やってはいけないという逆風があり、継続してプレイするには覚悟が必要でした。現在は環境が良くなりましたが、そのような逆境を乗り越える覚悟を持ってほしいと梅原氏は語ります。そして、様々な困難を乗り越えれば、こんなに楽しい仕事は他にないと振り返っていました。
記事提供元: インサイド