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京都はみやこめっせで開催中のインディーゲームの祭典BitSummit。国内外のインディーデベロッパーが数多く参加する本イベントにて、プラチナゲームズの稲葉敦志氏が登壇し、独立したスタジオならではの内容を語る講演が行われました。
先日、設立から十周年を迎えたプラチナゲームズ。インディペンデントの定義は様々ありますが、「独立」という本来の意味で見れば立派なインディーデベロッパーになります。『ベヨネッタ』『VANQUISH』『The Wonderful 101』など、毎年ゲームをリリースしてきたプラチナゲームズですが、自社が持つIPは無く、稲葉氏は「自分たちが所有している自分達の作品を持ちたい」「そしてそれを育てていきたい」と夢を語りました。そのためにユーザーとの距離をもっと近づけて、声を聞き、作品にどう生かしていくのか、そういったことをもっと強めていかなければいけないとの思いを述べています。
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また、稲葉氏は講演の中でIPには「形のあるもの」と「形のないもの」の2つがあると語りました。「形のあるIP」というのはゲームといったコンテンツを指したもの、そしてもう一方の「形のないIP」とは開発会社が持つ独自のノウハウや技術力といったもので、「IPと呼ぶには正確ではないと思う」と語りつつも、あえてそう表現した理由には「そういったもの(形のないIP)を一社で独占する時代じゃない」という思いがあると説明しました。
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また、デベロッパーがお互いの技術を認め合い、そして共有する……開発者の間でそうしたネットワークを構築することによって最終的にはユーザーが喜ぶ結果につながると説明。逆にプラチナゲームズなどが技術を独占し続けるというのは結果的にはユーザーが喜ばないことにつながるのではないか、という考えを述べました。また、稲葉氏はそうした関係を築いていく上で重要な役割を果たすのはインディーデベロッパーになると考えているといいます。一つのデベロッパーができることには限界があり、ユーザーがそれ以上を求めてきている時代、デベロッパーが技術を共有しあうネットワークを作ることが新たな力になり、技術を共有した上でもきちんとしたデベロッパーは、独自性を持ったゲームを開発できると伝えました。
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最後にBitSummitに参加したインディー開発者に対して「つながりを大切にしていきたいと思っているので、そこに賛同してくれるインディーデベロッパーがいれば、ぜひ一緒にこの先の未来を築いていきたいと思います。よろしくお願いします。」という気持ちを語っていました。