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7月9日から10日にかけて2日間の日程で開催されたBitSummit 4th。本イベントにてSUDA51こと須田剛一氏と、『アクアノートの休日』『太陽のしっぽ』などで知られるゲームクリエイターで立命館大学映像学部教授の飯田和敏氏が登壇し、「インディーの原点」というテーマでのトークセッションが繰り広げられました。
かつてヒューマンに勤めていた須田氏と、アートディンクに勤めていた飯田氏ですが、両者ともに90年代に独立(インディペンデント)して会社を設立。トークセッションは須田氏と飯田氏がまるで居酒屋で会話をするかのような、ゆる~いノリで展開していきます。冒頭では「インディーゲームとは何か?」という根本的な疑問に対して、両氏は前日の作戦会議で色々考えた末に「インディーゲーム、インディーゲーム、インディーゲーム……良いゲーム」「インディーゲームとは良いゲーム」と明快な答えが出たと報告。「良いゲーム」とは何か、という点の詳細な解説は行われませんでしたが、開発者にとって、あるいはユーザーにとって、その形は何であれ、自由に情熱を持って作られたゲームは「良いゲーム」なのだと筆者は感じました。
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飯田氏は「いつか自分のゲームを作ってやる。いつか自分のゲームを作るまでは、どんな境遇であってもやめるもんか。負けないぞ」と新人時代の想いを吐露。須田氏も同様の想いを抱いていた過去を明かしています。飯田氏は「最初の一発目はそういった思いもあってみんな作ることができる」と語り、須田氏も「インディーゲームはパーソナルゲーム。一発目は情熱や感情、好き嫌いを含めて自分自身を投影できる。2作目からは徐々にそれが薄れていってしまう」と話しました。飯田氏は「一発目で燃え尽きるくらいやらないとブレイクスルーはない」と補足します。
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「問題はそれから20年近く経った今。僕らはこうして再開できているけど、残酷なことを申し上げると、あの時はよかったのに、どこいっちゃったんだっていう人はいる。そうならないでね」と飯田氏は若い世代にエール。そこから話は独立(インディペンデント)に関する話題に。両氏は互いに独立して会社を設立した過去を「今の起業ブームとは全然違う」と振り返り、飯田氏は「やりたいようにやるためには、自分の環境を持って、仲間達と共にみんなでお金を稼いでゲームを作る。それは茨の道でした」と語ります。ゲーム作りとは違う「脳」を使う資金繰りの難しさ、「白馬の王子様」はいつか居なくなるという経験則など、独立した上での厳しさを述べ、今インディーで頑張る人達にそういったことが訪れた時、挫けないで欲しいと語りました。
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そして、発表する場であり、交流する場であるBitSummitがインディー開発者にとって非常に良い場所だと2人は言います。懐かしい人にも会えたり、新しい仲間との出会いがあったり、一線で活躍している人同士で影響を受けあう場でもあり、飯田氏自身もBitSummitを訪れて「ゲームを作んなきゃ駄目だ」という気持ちになったと影響を受けたことを語りました。
また、若い開発者に向けて、飯田氏は「へこたれそうな時は声をかけて欲しい。良いことも悪いことも含めて色々な経験をしているのでちょっとしたアドバイスができる」とコメント。須田氏も「自分達もいろんな人に支えられてここに立っている。(だから)若い人達の力になりたい」とエールを送っていました。