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9月11日、Blizzard Entertainmentは、東京都内で『Hearthstone(ハースストーン)』の日本夏季選手権のオフライン決勝戦を開催しました。同イベントには、『ハースストーン』のプロダクションディレクターとして開発チームを指揮するジェイソン・チェイズ氏が来日。編集部は短い時間ながら同氏にインタビューを実施し、新アドベンチャー「ワン・ナイト・イン・カラザン」によって変化しつつある最新のメタや、日本のコミュニティーについて話を訊きました。
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――ハースストーン日本夏季選手権、盛り上がっていますね。まずは、8月にリリースされた新たなアドベンチャー「ワン・ナイト・イン・カラザン(One Night in Karazhan)」について教えてください。
ジェイソン・チェイズ(以下 チェイズ): 「ワン・ナイト・イン・カラザン」はこれまででも最高級のアドベンチャーです。プレイヤーは、アゼロス中からリーダーが集まる一夜限りのパーティーに招待されます。しかし招待した魔術師メディヴは姿を消し、大変なことが起ころうとしています。プレイヤーは、4つの区画にわかれた神秘的な古の塔の内部を調査することになります。
――「ワン・ナイト・イン・カラザン」の登場によって、対戦環境はどのように変化していますか?
チェイズ: 「ワン・ナイト・イン・カラザン」は4つの区画がすべて開放されたところです。最も興奮すべき点は、新たなカードが多数追加されて、メタに大きな変化が起こっていることです。現在は、まったく新しいアーキタイプのデッキを生み出すようなカードセットをデザインしていて、それらは将来のエキスパンションで導入されるはずです。
――カラザンは『World of Warcraft』でもかつて人気のダンジョンで、いつか『ハースストーン』に登場するとユーザーにも予想されていましたが、なぜ“ダンスパーティー”という大胆な要素がミックスされたのでしょうか?
チェイズ: 一言でいうと、これは「ハースストーン風」のアプローチです。“もし”カラザンが一大パーティー会場になったらどうなるか?というアイデアのもとにデザインされました。全部をめちゃくちゃくして、カオスで楽しい要素を盛り込んだのです。
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今回の日本夏季選手権でもステージに登壇したチェイズ氏。
――チェイズさんのお気に入りの「ワン・ナイト・イン・カラザン」のカードは何ですか?
チェイズ: 私は「キュレーター/The Curator」が大好きです(笑)。このカードには、新しいデッキタイプを生み出すポテンシャルがあります。キュレーターは『World of Warcraft』のカラザンダンジョンに現れるボスですが、『ハースストーン』でもオリジナルを特徴を何らかの形で表現するようにしています。
――先日、アリーナモードのドラフトから何種類かのカードが削除されると発表されました。その背景や理由を教えてください。
チェイズ: 背景としては、アリーナでは特定のクラス、主にメイジとローグが強すぎて環境を支配していたというのがあります。多くのプレイヤーが同じクラスばかりを使っていたのです。そこで、すべてのクラスが平均的に使われる健全なバランスが必要だと考えました。以前は、カード自体の能力を弱くしたりしていましたが、今回はアリーナ環境で一部のカードをドラフト対象外にすることで、今まであまり使われなかったクラスの競争率が高まるようにしています。。
――BlizzCon 2016ではどのような発表やイベントが期待できますか?
チェイズ: まだ詳細はお話できませんが、『ハースストーン』の発表を期待してください。
――ワイルドフォーマットの現状について教えてください。
チェイズ: 今年の「クラーケン年」が終わったら、現在のスタンダードフォーマット対象である「ブラックロック・マウンテン」、「グランド・トーナメント」、「リーグ・オブ・エクスプローラー」がワイルドフォーマットへ移行され、さらに興味深い環境に変わっていくでしょう。
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――過去にプロデューサーのハミルトン・チュー氏にも同じ質問をしたのですが、今後『ハースストーン』に新しいクラスが追加される可能性はありますか?
チェイズ: 現時点で答えは「ノー」です。今ある9つのスタンダードなクラスだけでも、デザインの余地がたくさんあります。将来的にそういったクラスのアイデアが出てくるかもしれませんが。
――日本で『ハースストーン』のコミュニティーやe-Sportsシーンがさらに活発になるために必要なことは何だと思いますか?
チェイズ: 日本でコミュニティーが活発になりつつある理由のひとつが、世界レベルのチャンピオンの存在です。過去に優秀な成績を残したKno選手やmattun選手、そして今日の日本夏季選手権でも新しいチャンピオンが注目されることになるでしょう。それだけでなく、今後も日本で様々なイベントを実施して盛り上げていこうと考えています。
――e-Sportsの競技として『ハースストーン』を見た時に、他のゲームタイトルと異なる点や特徴的な部分は何でしょうか?
チェイズ: 大きな点としては、一対一の対戦であり、チームゲームではないというところです。またゲームのペースがゆっくりとしていて、一試合のプレイ時間が9分ほどと短いのも特徴ですね。
――確かに、そういった意味で敷居の低さはありますね。ところで、チェイズさんが、開発チームのためピザを買って届けているというのは本当でしょうか?
チェイズ: 本当です(笑)。開発チームが望むものを何でも揃えるのが私の役目ですから。ピザを注文する時もあれば、ドーナツを用意する時もあります。
――最後に、日本の『ハースストーン』プレイヤーにメッセージをお願いします。
チェイズ: いつもプレイヤーの皆さんのサポートに感謝しています。ありがとうございます。日本のコミュニティーが成長し続けているのを見るのは大変喜ばしいことで、近いうちにまた、炉端の集いやオンライン上でユーザーの皆さんとお会いしましょう。
――本日はありがとうございました。
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