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CCP Gamesが運営中の宇宙MMORPG『EVE Online』。プレイヤー企業間の謀略の話から、クリックミスによる大戦争まで、様々な逸話に事欠かない本作ですが、架空のプレイヤーの自殺未遂をねつ造、ゲーム内マネーの寄付を集めたとみられる事件が発生していた模様です。
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海外ニュースサイトPCGamerによれば、事件は“Olivia”いう名前の女性プレイヤーが、彼女の『EVE Online』内所属会社“Storm Tribe”と敵対するアライアンス“Manifesto”のメンバーにより、『EVE』内の“Broadcast 4 Reps(B4R)”という精神疾患に苦しむ人の支援を目的としたゲーム内グループへの投稿について、個別チャットにてハラスメントを受けた、とされる所から始まります。10月4日にFacebook上の『EVE Online』の非公式グループに現れたOliviaの個人的な友人と名乗る男性は、ハラスメントがあったことと、彼女がそれを苦に自殺を図った、と語り、Facebook上にアカウントを持っていたOliviaの妹を名乗る女性もこの投稿が事実であると認めました。
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Oliviaの友人を名乗る男性の書き込み
この話は程なくしてコミュニティを駆け巡り、その痛ましい事態を伝えた有名ユーザーの投稿動画や『EVE Online』についての有名ニュースサイトを通じ、彼女を支援し、いじめへと対抗することを呼びかける“Her Name is Olivia”運動が発生。事件を受けて『EVE Online』運営元CCP Gamesは調査に移った一方、Oliviaの元には彼女のキャラクターが所属しているとされる会社宛に、150億isk(現金300ドル相当)を超える幾多のゲーム内マネーの寄付が集まり、ついには3000億iskにもなるゲーム内要塞を彼女のために建設しようという計画まで立ち上がることに。
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そんな中、疑惑は彼女の事件が発覚してから1週間を過ぎたころに露見します。B4R、Manifesto、そして『EVE Online』の有名ニュースサイトの一つ、“Imperium News”が、Manifestoに在籍しているはずの、この事態を引き起こしたいじめの首謀者がBANされているか確認するために、詳細が明らかになっていなかった彼女の事件の調査を開始した所、幾つもの不審な点が判明することとなりました。
まず、Olivia本人と見られた彼女のFacebookのアカウントの写真は『EVE Online』となんら関係のない赤の他人のものでした。これは彼女の妹とされた人物のアカウントでも同様で、全く関係のないInstagramやTwitterアカウントから盗用されている、といった事実が明らかになるとともに、彼女たちに“なりすまし”の可能性があることが浮上。更にはOliviaのキャラクターの所属会社を擁するアライアンスの誰も、彼女の実際のキャラクターを知らないことが判明。
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この疑惑にあたって、Oliviaの所属会社であるという“Storm Tribe”のCEO、“Jackson Thrane”はImperium Newsの取材に対し、メールにて彼女たちの実在を訴えましたが、問題の事の起こりを示したチャットログの提出は拒否。また、Manifesto内における必死の捜査にも関わらず、Manifestoのメンバーからも彼女たちの痕跡を示す公式ログは一切見当たらないという結果に。
そして嫌疑は、Olivia宛に送られた、彼女が欲しがっている新たな宇宙船を買うための寄付金と船そのものが、最終的にJackson Thrane氏の元へと収まってしまっていたことから同氏へと向けられることとなりました。Imperium Newsなどにて、それらの調査結果が公開されるとともに“Jackson Thrane”は自身のゲームアカウントを削除。会社を解散しています。(筆注:『EVE Online』ではサブアカウントやキャラクターを作ることが可能であると共に、キャラクター間の関係を他人が通常の方法で知ることは不可能。資産の他キャラへの移動は比較的容易)
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これにより、CCP Gamesによる公式の調査結果が発表されない限り、真相は闇の中へと葬り去られることになってしまいました。既に寄付されていた150億iskについては、ゲーム内要塞の計画を立てていたプレイヤーが代わりに各プレイヤーに対し返還を行っています。また、彼女たちの写真として利用されていた画像の女性によって申し立てが行われた結果、Oliviaやその妹とされるFacebookアカウントは消失している模様です。
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この結果について、“Her Name is Olivia”運動を動画で呼びかけた『EVE Online』の有名プレイヤー“Max Singularity”氏は「この“Olivia”は恐らく存在しないのでしょうが、他の“Olivia”はそこにいる」として、助けを求める他のプレイヤーの声に対して色眼鏡を掛けないように、と再度の呼びかけを行っています。