編集部は、ゲオのゲームバイヤー武藤崇史氏と海津祐樹氏を取材。長年、ゲームの販売流通に従事してきた現場のプロに、ニンテンドースイッチのローンチにおける印象や、今後の入荷状況を話してもらいました。
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――本日はよろしくお願いします。まず、バイヤーであるお二人は、ニンテンドースイッチについて、発売前にどんな予想していましたか? また、実際に発売されて、いかがでしたか?
武藤崇史(以下 武藤): 発売前は、未来を感じさせる良いハードだけど、ローンチソフトは少ない、という印象でした。3月の出荷分が売り切れるとは思っていましたが、こんなに早く、発売日から週末を待たずしてなくなってしまったのは、予想外の結果です。
海津祐樹(以下 海津): 当初、初回入荷分の6割くらいの予約が入るだろうと見込んでいましたが、予約初日にほぼすべて埋まってしまったので、「これは違う、勢いがある」と実感しました。
――過去の任天堂ハードと比べて、スイッチのローンチで気になった点はありますか?
海津: 感覚的に言うと、明らかにWii Uのローンチよりは勢いがあって、Wiiに近い部分もあります。Wii Uは年末に発売されて、年明けにはある程度落ち着いていました。スイッチに関しては、少なくとも今の状況を見る限り、ゴールデンウィーク後まで勢いが続きそうな雰囲気があります。
武藤: ここ何年かを振り返って、最も人気があったのは携帯機のニンテンドーDS Liteです。入荷しても朝にすぐ完売してしまうという状況が、半年くらい続くこともありました。そこまではいかないけれど、勢いはあるなと感じます。私も、ゴールデンウィークがあけた5月中旬頃から落ち着くのではないかと見ています。
スイッチはソフトの後方互換がないこともあってか、当店の新品販売におけるソフト装着率は1.4と非常に高い数字です。また、周辺機器も絶好調で、任天堂の純正キャリングケースは、発売日に完売してしまい、入荷も困難な状況です。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はもちろん、『スプラトゥーン2』の先行試射会に向けてProコントローラーを買われる方も多いですね。
――現段階で難しいかもしれませんが、年末商戦について何か予想できることはありますか?
武藤: 任天堂さん次第、ソフトラインナップ次第、というところですが、年末商戦には、Wii Uを上回るペースで売れていくのではないかと期待しています。
海津: Wii U時代には、新作ソフトのスケジュールが見えづらい、という状況もあったのですが、スイッチに関しては、現状ですと、4月に『マリオカート8 デラックス』、夏に『スプラトゥーン2』、冬に『スーパーマリオ オデッセイ』という強力な新作ソフトの発売が見えていて、クリスマスプレゼント需要などもあり年末商戦の数字は相当伸びると考えています。
――中古の買取、販売の状況はいかがですか?
海津: ニンテンドースイッチは、これまでのどんなハードと比べても、前例がないくらい中古で戻ってくるスピードが遅いです。過去のデータだと、新品で売った本体に対して、平均して3週間で3~4%が戻ってくるイメージなのですが、スイッチの場合は1%ほどです。理由としては、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が長く遊べる商品であるとか、『スプラトゥーン2』先行試射会の影響もあるのではないでしょうか。新しいハードですと、通常は発売1ヶ月ほどで戻しが早くなるケースが多いので、スイッチはどうなるか見守っています。
――ニンテンドースイッチのユーザー層について何か気づいた点は?
武藤: 当店でもいろいろデータを分析しており、スイッチの購入者の平均年齢は、PS4よりも2歳ほど高いです。任天堂の商品はもともとそのような傾向で、これは、子供のためにゲームを買っている親の代理購入も含まれるためだと見ています。また、女性の比率についてもスイッチがPS4よりも高い割合を示しています。
――ニンテンドースイッチの今後の入荷状況は?
武藤: しばらく品薄が続くのは間違いなく、仮にゴールデンウィーク後に状況が落ち着いたとしても、いつでもお店に行って在庫があるわけではなく、徐々に週末に在庫が出てくるというイメージですね。当店でも、数は少ないですが毎週末一定台数は入荷し続けている状況です。今後、任天堂から定期的に新作ラインナップが案内されて、その反応にあわせて、本体の出し方も変わっていくと思います。」
――わかりました。お話ありがとうございました。