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【特集】『ハースストーン』で活躍の秘訣は「楽しむこと」―b787選手2017年冬季選手権インタビュー

日本時間で3月23日から3月27日まで開催された『ハースストーン』冬季選手権にて、日本出身のb787選手が参加しました。本稿では、b787選手にインタビューを実施。今回の大会から今後のe-Sportsまで、様々なことを語ってもらいました。

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日本時間で3月23日から3月27日まで開催された『ハースストーン』冬季選手権にて、日本からb787選手が参加しました。残念ながら今回は早期に敗退を喫すも、これまでの戦いにてその存在感を世界に知らしめた同選手。冬季選手権決戦の地・バハマにて何を思ったのか、いちプレイヤーとして何を感じたかを語ってもらいました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

■バハマ参戦は“楽しんだ”からこそ―冬季選手権を終えて


――まず初めに、この冬季選手権を終えて、今の率直な気持ち・感想をお聞かせください。
b787選手:めちゃくちゃ楽しかったです。バハマに来られるという経験も、有名人に会えるのも、このステージで戦えるのも嬉しかったです。負けてしまったのですが、個人的には本当に楽しかったし、良い経験ができました。

――会えて一番嬉しかった人は誰ですか?
b787選手:キャスターのFrodan(@Frodan)はずっと観てたんですが、会えると思ってなかったので嬉しかったです。初戦の相手だったFr0zen選手(@LG_Fr0zen)も本当に有名人なので、会えて良かったです。DrJikininki選手(@DrJikininki)とはめちゃくちゃ仲良くなれました!友達や知り合い、仲間ができたのは本当に嬉しかったですね。海外のプレイヤーも自分のことを認識してくれたのが嬉しかったです。

今回b787選手が対戦した南北アメリカ代表・Fr0zen選手

――バハマでの開催というブリザード・エンターテイメントの試みはどう思いますか?
b787選手:もちろん凄く良いと思います。純粋に「バハマに行ってみたい!」と思っていました(笑)渡航費など全面サポートしてくれるのは、モチベーションアップにも繋がりましたし、この機会をもらえたのは本当に嬉しかったです。

あと、日本人は世界的に見てもかなり強いと思っています。でも、これまでのフォーマットは日本から一人しか行けず、その強さを世界に対してなかなか伝えられなかった。また、選ばれたその一人が「日本代表」という大きなプレッシャーを背負うこともあったと思います。ただ今回は、国ごとではなく(北米・欧州・アジア太平洋と)リージョンごとで複数名の代表を決めて挑む大会で、アジア選手権では最終的に3名日本人が入れました。新しいフォーマットにより、日本の強さを伝えられたのは凄く良かったと思います。


――ちなみに今回来場していたファンから、「(みんなが用意しているにも関わらず)なぜb787は海賊ウォリアーデッキを用意しなかったのか?といった質問が挙がっていたのですが、なぜでしょう?
b787選手:理由は二つあって、ひとつは個人的に「海賊ウォリアー」は嫌いだからです(笑)もうひとつは単純に「コントロールウォリアー」を使用したかったんです。一番得意なデッキだし、僕は日本の中では「コントロールウォリアーが上手い」と認識されているみたいです。今回勝てるデッキは、もしかしたら「海賊ウォリアー」のデッキだったのかもしれないですが、自分が好きなデッキを持ち込まないと後悔すると思ったんです。夏季選手権のときに、そこまで得意ではないけれど「これなら勝てるかな」と思ったデッキを持ち込んだ経験があったんですが、結果的に負けて、すごく後悔したんです。なので、負けても「楽しかった」と思えるにはどうしようか、と考えたところ、「自分が持っていきたいデッキを持っていこう」という結論に至りました。

今回は、日本代表ではなく、アジア代表のひとりでした。たまたま日本人がひとりになっただけで、日本代表というような気持ちでは望みませんでした。とにかく「やりたいことをやってやろう!」という気持ちで挑もうと初めから決めていて、だったら自分が持って行きたいデッキで、ステージで自分がやりたいことをやろう、と思っていました。なので、「コントロールウォリアー」デッキを組んで挑みました。

■「チームで挑んだ大会だった」―バハマ出場までの裏側

――b787選手は1日どの程度『ハースストーン』をプレイするんですか?
b787選手:(大学に通っているので)帰って大体6時間ほどです。学業とのバランスを見ながら減らしたり、増やしたり、といったところですが。

――大会前などはどうでしょう?
b787選手:練習時間を増やす、というより練習方法を変えます。大会は情報戦だと思っているので、自分が所属しているチーム「ラスカル鑑定団」のメンバーと一緒に何をどうすれば良いのか考え、メンバーに対戦相手のデッキを使ってもらって、話しながら対策を練るといった時間が増えますね。

――チームの助けは大きかった。
b787選手:そうですね。今回の選手権は、僕個人ではなく、「ラスカル鑑定団」で挑んだ世界大会だと思っています。アジア選手権のときも、試合と試合の合間に次の対戦相手の対策などを、チームメンバーが常に伝え続けてくれました。今大会でも試合前にメンバーが練習に付き合ってくれて、自分ひとりではわからなかったことなどを教え続けてくれました。たまたま自分がチームの代表になっただけで、実際にはチーム全員で挑んだ大会でした。


――b787選手にとって『ハースストーン』という作品の魅力は何ですか?プレイし続けてきた理由を教えてください。
b787選手:戦略性がメインの作品なので、自分の頭で考えて、それが上手くいって勝った時の快感が魅力です。自分の考えで勝った、というのが楽しいですね。なので、今大会でも(多くの選手が組んでいた)海賊ウォリアーデッキなどは、(前述の通り)あまり使いたくなかったんです。個人的にはあまり実力が出にくいデッキだと考えていて、使っていて楽しくない、飽きてしまう、と思っています。好きな遊び方で遊ぶと『ハースストーン』は本当に楽しいんで、やり続けていますね。

――他にプレイするゲームはあるんですか?
b787選手:他にはほとんどやらないですね。スマホのゲームでライトなものは少し触れたこともありました。ですが所謂「ガチ」のゲームは『ハースストーン』が初めてです。始めたきっかけは海外で高校生だった頃に流行っていたのがきっかけですね。海外の学校って卒業は6月なんですが、日本の大学は4月が入学じゃないですか。高校卒業後、日本の大学に行くことは決まっていたんですが、日本に帰ってきても友達とかいなくて暇でしょうがなかったので、ずっと『ハースストーン』やってました(笑)

――ブリザード・エンターテイメントのスタッフに意見や要望などはありますか?
b787選手:まずは感謝ですね。バハマや、自分たちが目立てる場所など、自分たちのやる気に繋がる場を用意してくれたのは嬉しいです。サービスそのものに感謝してます。


ゲームとしての要望とかはないんですが、プレイヤー同士の交流の場はより充実してほしいと思っています。今、『ハースストーン』コミュニティが固まりつつあって、例えばレジェンドランクに到達したプレイヤーでも、上位ランクプレイヤーが集まるコミュニティに入り込むことが難しいと感じています。なので、プレイヤー同士の交流の場がもっと増えるとより楽しいだろうし、嬉しいです。そういった意味では「炉端の集い」は本当に楽しいので、もっとやってほしいです!

考え方は様々ありますが、上位ランクコミュニティも、本当はどんどん人を入れ込みたいんです。そっちのほうが楽しいですし。でもそういう考えはあっても、その考えはなかなか広く外に発信されない。だから、(特定のコミュニティではなく)みんなが見ているブリザード公式には発信し続けてもらって、より交流の場を増やしてほしいです。

■日本のe-Sportsの未来と、自身の役割は


――b787選手にとって、国内のe-Sportsがさらに発展するために今必要なものは何だと思いますか?
b787選手:そもそも日本でe-Sportsがまだそこまで知れ渡っていない理由のひとつに、ゲームに対する「ネガティブなイメージ」というものがあると思います。もしかしたら世界的にそのイメージはあるかもしれませんが、少なくとも一般のスポーツと同じ様に広がるには、そのイメージが覆らないと難しいと思います。

――b787選手ご自身がe-Sportsを発展させるためにできることは何だと思いますか?
b787選手:ゲームのイメージを変える、というのは無理があると思いますが、自分ができることは、今回のような大きな大会に出場し続けることだと思っています。アジア選手権の時に、自分のツイッター(@b787HS)で、「b787さんを見て、ハースストーンを始めました」といったコメントを数件見かけたことがあって、それがすごく嬉しかったんです。プレイヤーがひとりでも増えるのは嬉しいですし、僕がこういった場で顔を出して、結果を残して、それを喜んでくれる人を増やす。それくらいしかないですよね、僕が出来ることは。

正直言って、僕はそういうタイプではないと思っているんです。本当は「日本を背負う」とかそういった気持ちはなくて、自分が楽しければ良い、というメンタリティでここに来れました。結果として今回負けてしまったことで、発展に貢献できなかった、といった面では残念です。

ゲーム自体を知ってる人は、勝っても負けても「良い試合だったかどうか」といった点で楽しめると思うんですが、結果しかわからない人はそうではないと思います。例えば、僕の親も配信を見てたんですが、何が起こってるのかわからない。でも勝った時は嬉しいし、負けた時は残念だと感じていました。わからない人にとっては、勝敗しか楽しめる要素がないと思うので、いちプレイヤーとしてはとにかく「公の場に顔を出して、良い試合をして、勝つ」しかないと思っています。

■春季は優勝を!―今後の豊富や目標など


――『ハースストーン』はクラーケン年が終わってマンモス年へと移行します。「大魔境ウンゴロ」の配信も控えていて環境が変わりますが、どう見てますか?
b787選手:楽しみです。今の環境は(前述の)コントロールウォリアーが活躍しにくい環境だったりで、個人的にはあんまり楽しくなくて。ただ新しいものが加わるのは単純に楽しみですし、変化がないと飽きちゃうと思うんです。

あとは環境が変わることで、今まで知らなかったプレイヤーが一気にランクを上げてくる、みたいな現象も楽しいです。まだまだ閉鎖的ではありますが、新しいプレイヤーが活躍して、コミュニティに入ってきてくれるのはすごく楽しいですね。負けてられないな、とも感じますし。

――「b787選手のプレイを見て始めました」といった方がライバルになってくることも考えられます。
b787選手:そうですね。でもそもそも、僕もその類のプレイヤーのひとりです。mattunさん(@mattun_hs)を観てここまで来ましたし、今は(mattunさんと)並ぶくらいの選手になったかな、と思っています!mattunさんみたいにカリスマ性があるといいんですが…。

2016 Hearthstone ALL STARでインタビューにも答えてくれたmattun選手

――そんなことはないと思いますよ!司会のRachelさんにインタビューした際も、b787選手にゾッコンでした。
b787選手:本当ですか(笑)でも、仲良くしてくれる人とは仲良くしたいし、Rachelさんもすごく良い人なので、嬉しいです!

――今後の目標や豊富を聞かせてください。
b787選手:ひとつ目は今度開催される「Hearthstone Championship Tour Japan Major」です。少なくともオフライン決勝までは残りたいです。さっきも言ったように、こういった場に顔を出せるのは少ししかないんで、活躍したいです。

次は、春季トーナメントです。人前でプレイする大型大会に出場する機会は滅多にないので緊張したんですが、今回で慣れたとも思うので、次はこの経験を活かして、優勝したいです。賞金も欲しいです(笑)夢がありますよね!


――代表枠が日本からアジアに広がったことで、b787選手と同じ様に、初めてこの様な大舞台に立つ人が出てくることも考えられます。どういったアドバイスをしたいですか?
b787選手:楽しんでほしいですね。『ハースストーン』はゲームなので、楽しくないと意味がないじゃないですか。今回負けちゃったんですが、僕自身は本当に楽しかったんです!あまり勝利にこだわり過ぎずに、その快感を味わってほしいですね。

同じく出場していたNeirea選手(@LiquidNeirea)に同じことを聞いたんですが、同じようにアドバイスしてくれました。「一番のプレイをして、それで負けたら仕方がない。逆にそうしたら後悔しないし、楽しめるよ」と言ってくれて。たぶんNeirea選手と同じことを自分も言うんじゃないかな、と思います。

――Twitchなどを通じて応援してくれた人たちへひとことお願いします。
b787選手:応援して頂いて、ありがとうございました。今回残念な結果になってしまいましたが、もし次の機会があるとすれば、また見守ってほしいし、良ければ観てくれている人たちと一緒に春季も楽しめればな、と思っています。

――お疲れ様でした。ありがとうございました。
b787選手:ありがとうございました。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

流暢な英語で、試合前のインタビューや海外から来た選手との交流を取る様子も印象的だったb787選手。聞けば、中学高校を海外で過ごし、インターナショナルスクールなどに通っていたことで、むしろ「英語でのコミュニケーションの方が楽」とまで話していましたが、今回思いの丈を存分に語ってくれました。

インタビューにおいては多少緊張を覗かせつつも、あくまで一人のプレイヤーとして『ハースストーン』という作品の魅力や、大会の有意義さ、今後の目標などを、低姿勢ながら熱く伝えてくれたb787選手。日本での大型大会「Hearthstone Championship Tour Japan Major」などを初め、今後も様々な場所で同選手の活躍を見られる機会が増えることを期待したいです。



取材協力:Blizzard Entertainment
《ハンゾウ@編集部》
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