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2017年9月19日発売が予定されている、PS4/PS3/Xbox One/Xbox360/Nintendo Switch/PC向けバスケットボールゲーム『NBA 2K18』。色や肌の質感がよりリアルになり、NBAのビデオゲーム史上最高クオリティとなったグラフィック、AIによる戦術理解やチームプレイの実現、ショップやタトゥーショップが立ち並ぶ街が舞台となった「マイキャリアモード」など、スポーツゲームの未来を感じられる作品です。今回は、メディア体験会にて、本作のシニアプロデューサーであるエリック・ベニッシュ氏に話を伺い、今作で大きく追加された要素やリファインされた点について語っていただきました。
◆システム面でも大幅にパワーアップ、他のプレイヤーと一緒に楽しめる新しい「マイキャリア」
はじめに、ベニッシュ氏によるプレゼンテーションが行われ、本作で新しくなった要素や収録されているさまざまなゲームモードについて紹介がされました。
まずは、ビジュアルのパワーアップについて。選手たちのグラフィックは、古傷や消えかけたタトゥーまですべてのNBA選手を本物そっくりに再現されており、顔の表情は写真に近い緻密さです。体のデザインは、実際の体格を正確に再現するようにリファイン、体格はバスケットボール選手らしい筋肉質な体型になり、ボディタイプが正確に表されているためケビン・デュラント選手のような足の長い選手も再現されています。NBA全30チームのユニフォームもレーザースキャンし、色合いや細かなステッチまで精密に描かれています。シューズは質感や紐の表現、選手のサインなどまで表現し、膝サポーターのステッチや素材など、選手のアクセサリーも忠実にデザインされています。
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プレイヤーが操作できるチームでは、チームの歴史から選出された各時代のベストプレイヤーで構成されているレジェンドチーム「オールタイムチーム」が追加されました。新旧の名プレイヤーたちによる夢のレジェンドチームは、きっとプレイヤーをわくわくさせてくれるでしょう。さらに、17のクラシックチームも追加され、選択できるチームは全部で92チームと膨大になりました。
マイプレイヤーは、カスタマイズの幅が広がりました。まず、プライマリのスキルに加えて、セカンダリのスキルも調整できるようになり、ドリブルもシュートもできるセンターなどプレイヤーが望む好みの選手を作成できます。統一されたアップグレードシステムにより、NBAの試合、2KPROAM、プレイグランドなどどれでもマイプレイヤーを成長させられるので、総合評価99を目指してどんどん育成していきましょう。また、見た目では髪型が増え、身長や体重もリアルに再現されるため、よりオリジナリティあふれるプレイヤーを生み出せます。
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本作のメインコンテンツである「マイキャリア」は、マイプレイヤーでNBAのキャリアを歩んでいくストーリーのあるモードです。そして、このモードにおける新しい要素が、他のプレイヤーとリアルタイムに楽しめるオープンワールド形式の世界「ネイバーフッド」です。ネイバーフッドには数々のショップ、自分やフレンドの自宅、エージェントのオフィス、トレーニング施設、ストリートのコートなどがあります。プレイヤーはネイバーフッド内で自由に行動できるので、アパレルストアで8000種類を超えるクールな服をゲットできるだけでなく、ヘアカットや靴のカスタマイズ、1300種類のタトゥー、NBAアパレルアイテム1800点以上などでファッションも楽しめます。
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また、「2K Zone」というゲームセンターのようなエリアもあります。ここでは、ミニバスケットボールマシンでスコアを競ったり、クイズアプリでトリビアに挑戦したり、実際の勝利チームを予想したりできます。自分の家では友だちを呼んでソファで一緒に『NBA 2K18』をプレイでき、マイコートも完備しているので、ストーリーに進行次第ではNBAのプレイヤーが自宅を訪れることもあるとのことです。
チームのGMになってフランチャイズを運営するモードは、新しく「MyGM:Next Chapter」となり、ストーリー主導に変更となりました。プレイヤーによるチーム運営要素はそのままに、物語内における選択肢によって分岐が発生。自分だけの最強チームをよりドラマチックに運営できます。また、「Analytics Tool」という、ビデオゲーム史上最高の信頼性を実現したスカウト用解析ツールも導入。2種類の指標・スタッツを対照させて、選手の取得の可否を考えられます。「MyLEAGUE」は自分で好きなチームを選んでリーグをプレイするモードです。どちらのモードでも、実際のNBAルールと一致させるため、契約交渉に使える要素をアップデート。若手をGリーグで育てたり、将来にそなえて海外に留め置いたりもできるようになりました。
過去から現在にいたるNBAのレジェンドたちが登場する選手カードをコレクションして、対戦プレイをたのしむモードが「MyTEAM」です。このモードでは、カードのビジュアルがパワーアップし、世界に1枚しか存在しないレアなカードも登場、コーチにもジェムレベルで色分けを行って誰を選ぶか選択できるようになりました。新たなモードは3種類。「スーパーマックス」は、サラリーキャップの制限内でチームを編成し、同レベルの技量を持つプレイヤーと対戦する新たなシーズンモードです。「パック&プレイオフ」は、各ラウンド前にパックを開き、自分がベストだと考える5人の選手でチームを編成するモードで、自由にドラフトを繰り返し好きなチームで戦えます。「チャレンジスケジュール」は、お気に入りのチームで全30試合をプレイし、900種類のユニークなチャレンジをクリアしていくオフラインのモードです。
◆ゲームプレイで感じるAIの進化…多彩な戦術がリアルを感じさせる
ここからは、ゲームプレイについてのアップデート部分が紹介されました。選手のアクションについては、モーションエンジンが刷新され、より感覚的なプレイができるようになりました。たとえばドリブル中やボールを持っていないときの動きが自然になり、ユーザーのコントロールが瞬時に選手の動きに反映できます。シュートのメカニズムはシンプルになり、シュートメーターも見やすくなりました。さらに、フィードバック表示が改善され、リリースタイミングとディフェンスの選手との距離が見られるようになり、より上達しやすくなっています。
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オフェンスのAIはリアルになり、3ポイントを打つべき状況の判断力が向上。ミスマッチな相手に対する突破がこれまでより強引になり、トランジションやスコアリングのアプローチがよりリアルになりました。さらに、コミュニケーションもリニューアルされ、ポイントガードがボールマンに付くといったアラートを出すようになり、ゲームのあらゆる局面でAI選手が人間の戦略に対応していきます。
ディフェンスは、モーションマッチングテクノロジーによって、ディフェンスのポジショニングとスキルがこれまでよりも重要になりました。フィニッシュが改良された新しいピック&ロールディフェンス、スティールとブロックも刷新されたので、ユーザー自身がコントロールして操作している感じが得られるとのこと。AIも大幅に進化し、ダブルチームにいったり、シュートがうまい選手に近い距離でディフェンスを行ったり、ドライブの可能性があるプレイヤーに対しては距離を置いたりといった多彩な戦術が見られます。
◆ベニッシュ氏インタビュー「一歩ではなく1キロ先を行くスポーツゲームに」
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発売日よりも早く、2017年9月8日からはPS StoreとXbox Liveにて『NBA 2K18 Prelude』が配信されています。ネイバーフッドを無料で体験でき、製品版にデータを引き継いでプレイが可能です。大きな進化を感じる本作について、ベニッシュ氏に直接お話を聞きました。
──グラフィックの再現度合いを高める際、こだわった点はありますか?
ベニッシュ氏:目と歯がとても重要でした。人間は目を見て人間らしさを判断するので、目がリアルではないと一瞬でゲームだと気がついてしまいます。笑ったときの歯も同様の理由でこだわっています。
──選手の体がリアルに再現されるようになったことで、オフェンス時のフィジカルコンタクトに変化はありますか?
ベニッシュ氏:選手のボディスキャンを行ったことで、腕の長さや胸の厚さが正確に測れるようになりました。その結果、ウィングスパンがちゃんと取れるようになり、ドリブルするときなどに影響が出るようになりました。
──操作が難しい印象のあるバスケットボールゲームですが、本作では初心者のプレイヤーに向けた改良などはされましたか?
ベニッシュ氏:歴代シリーズも難しいという印象が持たれていますが、基本的な操作はボタンを押せばシュートするという簡単なものですし、前作から導入したチュートリアルモード『2K U』をプレイすればさまざまな操作も学べます。本当に簡単にプレイできるので、バスケットボールに興味がある方にはぜひ遊んでいただきたいですね。
──マイキャリアモードに、ネイバーフットというオープンワールド形式のエリアを入れた理由は?
ベニッシュ氏:ストーリーはありつつも、それがネイバーフッドというエリアのなかで展開するのがおもしろいと思っています。『NBA2K 16』に収録されていたスパイク・リー監督のストーリーでは、ストーリーに重きを置いていた分、プレイヤー自身にスポットが当たりづらくなっていました。今回はあくまで自分が中心にあり、その物語がネイバーフッドで展開するというのがポイントだと考えています。
──ネイバーフッドが導入されたことで、コスチュームを着替えたりヘアスタイルを変えたりする楽しさも生まれていると感じました。
ベニッシュ氏:これまではあくまで自分のためのものでしたが、メインストリートに一歩出れば周りの人に見られますし、見せつけたいという気持ちがモチベーションになっていると思います。
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──他のスポーツゲームでもストーリーモードが収録されていますが、本作の形式は一歩先行く印象ですね。
ベニッシュ氏:一歩どころか1キロ先を行っていくつもりで作っています(笑)。満足するのではなくアップデートを続けており、今回はマイキャリアモードだけでなく、MyGMモードにもストーリーがあるので、ひとつのゲームにまったく異なる2つのストーリーが収録されています。これからも野心を持ってどんどんチャレンジしていきたいですね。
──選手が自身で「スイッチ」や「ボールマンに付く」といったアラートが表示されるようになりましたが、これにはいくつぐらい種類があるのでしょうか?
ベニッシュ氏:設定から、ディフェンスのコミュニケーションメカニズムをオンにすると見られます。25種類ぐらいのバリエーションがあり、ビック&ロール時の「スイッチ」や「ファールをする」といったコミュニケーションがなされます。これらは常に表示されるのではなく、ゲームのなかでの要所となるポイントに基づいて出るので、ぜひオンにして遊んでいただきたいですね。
──チーム戦術もより複雑に再現できそうなので、よりNBAらしいプレイが楽しめそうですね。
ベニッシュ氏:実際のNBAチームが使っている戦術を分析し、ゲームに取り込むユニットがあるので、チームごとの戦略やクセが反映されています。そのため、プレイするチームを変更するとしっかり選択したチームの傾向が楽しめるようになっています。
──Nindendo Switch版と他のハードにおいて、収録内容にちがいはありますか?
ベニッシュ氏:ありません。Switchのすごいところは、PS4/Xbox One版をまったく同じものが完全に収録されている点です。とりあえず出すのではなく、時間をかけて同じクオリティのものを入れているので、ネイバーフッドなどすべてのコンテンツを楽しんでいただけますよ。Switch版は4台集めのローカルプレイもできますし、PS4/Xbox Oneとボタンの数も一緒なので、シリーズ経験者のプレイヤーもスムーズに楽しめると思っています。
──一方、PS3/Xbox360で展開を続ける理由は何でしょうか?
ベニッシュ氏:毎年少しずつプレイされている方は減っているのですが、ファンがリクエストすればずっと出し続けるつもりです。ファンベースがあるうちは、基本的にはリリースしていきたいという方針があります。
──パッケージのカバーはカイリー・アービング選手ですが、移籍されたボストン・セルティックスへのユニフォームのアップデートはありますか?
ベニッシュ氏:初回プリントした分に関してはクリーブランド・キャバリアーズのものですが、徐々にボストンに変わります。ゲーム内の画面ではすでに変更が反映されています。
──e-Sportsの『NBA2K League』について、進捗などはありましたか?
ベニッシュ氏:2017年中に公式でアナウンスを予定しています。
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──最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
ベニッシュ氏:本シリーズは世界中のファンに向けて作っており、みなさんのサポートやフィードバックがなければできていない作品です。本当にありがとうございます。
──ありがとうございました。