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オープンワールド恐竜サバイバルアクションとして、登場当時から話題を集め、先日にはPC版の正式リリースを迎えた『ARK: Survival Evolved(アーク:サバイバル エボルブド)』。その国内PS4版が10月26日に発売されます。
そこで、今回は開発元Studio WildcardのCEO・Doug Kennedy氏&コミュニティマネージャー・Cedric Burkes氏にインタビューを実施。原始時代から未来まで、様々な世界観が同居する『ARK』の魅力や、日本市場に対してどう考えているのかを伺ってきました。
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コミュニティマネージャー・Cedric Burkes氏
――先日、PC版が正式リリースを迎えましたが、ユーザーの反応はいかがですか?
Cedric Burkes氏(以下、Cedric氏):アーリーアクセスに2年間お付き合い下さったファンの方々からは、まず感謝の声をいただきました。それは、アーリーアクセスのゲームは途中で開発が中断されてしまうこともあるなかで、完成に辿りつけたからです。さらに、まだ『ARK』の開発は終了しておらず、エクスパンションパックや無料マップやDLCの開発を続けていることについても、コミュニティからは喜びの声をいただいています。
――『ARK』には、原始時代から未来まで、様々な要素が同居しており、これはとても珍しいものだと思います。どのような狙いで『ARK』を開発されたのですか?
Cedric氏:私たちが開発当初に考えていたのは、プレイヤーのみなさんに楽しい世界を提供したいということです。原始的な世界でも未来的な世界であっても、それが楽しいものであれば取り入れて作りました。
Doug Kennedy氏(以下、Doug氏):私が初めて『ARK』をプレイしたときは、狩りをして肉を食べ排泄したり、人が殺し合うといったエクストリームなゲームプレイでしたが、思い思いのやり方で楽しめるゲームだと感じました。本作はオープンワールドとサンドボックスが合わさったゲームであり、プレイヤーの想像力のリミッターを外してくれる作品です。エンドコンテンツとして用意されている未来的な要素も、想像の糧になっていると思います。
Cedric氏:どのレベルのプレイヤーでも、何かアイテムを作って楽しめるようにしています。そのため、原始的な要素と未来的な要素のバランスを考えて開発しました。未来的な要素はレベルが高いプレイヤーしか楽しめませんが、始めたばかりの人も原始的なアイテムのクラフティングが楽しめるようにバランスを調整しています。
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CEO・Doug Kennedy氏
――PS4版とPC版について、内容や表現のちがいや、PS4版ならではの要素はありますか。
Cedric氏:グラフィッククオリティの差ぐらいですね。私たちはどんなプラットフォームを使ってでも同じ体験を提供することを目標にしており、仮にモバイル版をだすことがあるとしても、同じクオリティを目指したいです。
Doug氏:プラットフォームごとに損得を出さないために、PS4版ならではの要素などは用意していません。ユーザーの方のプレイスタイルに合わせて、様々なプラットフォームで楽しんでいただければと思います。
Cedric氏:PCはマシンのカスタマイズ要素が強いので、それによるグラフィッククオリティのちがいはあります。PS4版に関しては、スペックを最大限利用して『ARK』を開発できたと思っています。コンテンツやゲームプレイで得られる体験には差がないので、十分に本作を楽しんでいただけますよ。
――PC版ですでに配信されているDLCなどについて、PS4版でのリリース予定はありますか?
Cedric氏:すべてのコンテンツをリリースする予定です。今後のDLCについても、プラットフォームによってコンテンツの承認プロセスにかかる時間がちがいますが、できるだけ同じ時期に出していく予定です。
――コンソール版ではカジュアルな層も増えるかと思います。そのような層へ向けてのアピールポイントを教えてください。
Doug氏:『ARK』はそれぞれのプレイヤーのやりたいことが必ず見つかるゲームです。カジュアルプレイヤーによく見られるのは、とても大きな建築物を建てたり、クラフティングを楽しんだり、100種類以上の動物を手懐けたり、夕暮れを眺めるといった楽しみ方ですね。また、毎週特定のテーマを決めて建築物を建てる「コミュニティクランチ」というイベントも行っており、コミュニティの声を聴いたり他のプレイヤーに新しい楽しみを提示しています。
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――「スポンサードModプログラム」について教えてください。またPS4版では対応予定でしょうか?
Cedric氏:「スポンサードModプログラム」は、クリエイターをサポートしたいという思いから行われているものです。具体的には、10数名のMod職人を集めて彼らにModを作ってもらっています。「Ragnarok」という無料マップなどが代表作ですね。PCの場合は簡単にリリースできるのですが、コンソールはチェックが厳しいこともあり、選び抜かれた良質なコンテンツを提供したいと思っています。
――例えば「T・レックスに羽毛が生えていたのではないか」など、最近の研究で恐竜の新たな可能性が提示されています。『ARK』にそのような研究結果を反映することはありますか?
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『ARK』でのT・レックス
Doug氏:あまり意識することはないですね。『ARK』は博物館ではありませんから。最優先すべきはゲームプレイにフィットするかというところなので、サイズの大小も研究結果と異なったりしています。T・レックスといえば、映画の「ジュラシック・パーク」に登場した姿をイメージしますし、僕も羽毛の生えたT・レックスには乗りたくない(笑)。
Cedric氏:ただ、こうした研究の動向については常に情報を共有して注視しています。10年後、20年後はどうなっているかわかりませんが、今のところ研究結果を反映した恐竜の可能性はありません。
――Studio Wildcardとしては、日本市場をどのように捉えていますか?
Doug氏:とても楽しみでわくわくしています。日本市場は未知の領域ですが、スパイク・チュンソフトをパートナーに選んだことで新たな可能性を感じています。
Cedric氏:私は初めての日本市場参入ですが、市場の持つエネルギーや熱量が他の市場では見られないものであり、貴重な経験でうれしいです。
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――対戦に特化したスピンオフ『ARK: Survival of the Fittest』と、VR『ARK PARK』の今後の展開について教えてください。
Doug氏:どちらもいまは具体的に話はまとまっていません。現在は本編とエクスパンションパックやDLCに力を入れており、ユーザーにはまず『ARK』を楽しんでいただきたいと思っています。
――最後に、本作を楽しみにされている日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
Cedric氏:まず、心待ちにされている日本のファンの方にお詫びをいたします。このゲームは楽しすぎて実生活が置き去りになってしまうことがありますからね(笑)。とにかくできることがたくさんあるので、カジュアルからハードコアまでさまざまなプレイヤーに楽しんでもらえると思いますよ。自分も日本市場が大好きなので、第二のホームにしたいですね。
Doug氏:『ARK』では失敗を恐れずに、新しいことに色々チャレンジしてください。何をしても楽しめますし、何もしなくても楽しめます。遊び方はプレイヤーの好みによりますが、狩りをしても人にアタックしてもいいし、とにかく楽しいので自分なりの遊び方を見つけていただければうれしいです。
――ありがとうございました。
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