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2008年に韓国・デンマーク・オーストリア・ドイツ・ベルギー・オランダ・スイス・ベトナム・台湾のe-Sports協会により設立し、
現在は47か国・地域が加盟する「IeSF(国際eスポーツ連盟…International e-Sports Federation)」。韓国・ソウルに本部を置き、毎年世界選手権を開催しているほか、e-Sports競技の運営も行っている同団体へのメディア合同取材が2018年2月10日の「闘会議2018」にて実施されました。
インタビューを受けたのは、「IeSF」でHead of International Relationsという役職を務めるLeopold Chung氏(以下Chung氏)。はじめは将来的にIOC(国際オリンピック委員会)承認を目指しているという同団体の理念・役割や、e-Sports正式種目化が協議されている2024年パリ五輪への期待などが語られましたが、次第に記者の質問は“日本のプロライセンス制度”についての見解を伺うものが中心に。
Chung氏は「日本のプロライセンス制度の動きについてどう思うか?」という記者の質問に対し、この後にJeSUとのミーティングを通じて詳しい話を聞くと前置きしたうえで、「個人的にはこの流れはいいものだと思う」と回答。「何か課題はありそうか?」という質問に対しては、「(e-Sportsの)選手を守るためにはそういったものがないといけない。スポーツにしてもe-Sportsにしても、一番大事なのは育てていくこと」と答えました。
◆日本のe-Sportsはまだ“育てなければならない”段階
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また、「闘会議2018」でプロライセンスが発行されるゲームタイトルについての話が挙がると、Chung氏は「IeSF」が世界大会を開催する際の選定基準について説明。「第一に世界的に何が好まれているのか、そしてどれくらいの人がプレイしているのか。例えば4つのタイトルを選ぶとするなら、3つは前述の条件にあてはまるものを。残りの1つは大会のホスト国で流行しているゲームを選定します」とし、「おそらく日本はそういう風なプロセスを取っているんじゃないか」と見解を述べました。
さらに世界的に見ても、国ごとでe-Sportsとして扱われるタイトルには偏りがあると説明したうえで、「例えばオリンピックは開催4年前に競技のプログラム内容が決まります。要するにどの国々も4年ごとに準備でき、どんなスポーツでも努力次第でナショナルレベルまで力が上がる可能性があるわけです。今は国内でしか人気のないゲームタイトルでも、うまく世界的に認知させればチャンスはあります」と発言。
さらに「中には“Pay to Win(*)”なタイトルも含まれているが?」という質問に対しては、今は日本を育てなければならないのでそうなっているが、それはそのうち時間が解決してくれると強調しました。
(*)お金を払って勝つという意味。有料ガチャで高ステータスのユニットが手に入るなど、課金すればするほど他人より有利になれるシステム
なお、Chung氏によると「IeSF」からのプロライセンス発行は考えていないとのこと。「日本人であれば日本の団体に登録してライセンスをもらうのは大事なことだと思いますが、私たちが国際的に何か与えるというのは必要ありません。『IeSF』は世界中で何が流行っているのかを俯瞰的に見て、それにどうアプローチすればいいか、どう育てていけばいいか、道筋を立ててあげることが私たちの仕事だと思っています」と語るように、終始同氏は日本のプロライセンス制度に肯定的な立場をとっていました。
彼が言うように、諸々の問題は本当に時間とともに解決されていくのか、そしてJaSUは今回の「IeSF」のような国際組織とどう連携していくのか……、編集部は今後もe-Sportsの動向を追っていきます!