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先日より国内向けサービスが開始されているNetEase Gamesのスマホ向け基本無料対戦『Identity V(第五人格)』。開発にあたって、非対称対戦ゲームの先輩格である『Dead by Daylight』のチームから公式のサポートを受けている同作ですが、いったい『Dead by Daylight』とどこがどう異なっているのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では『Dead by Daylight』と『Identity V』のゲームプレイの違いについてご紹介。両作を実際に触ってみて感じた差や、具体的な相違点などをお伝えしていきます。なお、一部の解説に『Dead by Daylight』のプレイ用語を利用しているため、「用語がわからない!」という方はGame*Sparkの初心者向けガイドをご参照ください。
※本記事で掲載している『Dead by Daylight』のスクリーンショットはPC版のものを、『Identity V』のスクリーンショットはiOS版を使用。説明も使用バージョンに準拠しています。
キラー/サバイバー共通編
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・ハードが異なる上での操作感
『Dead by Daylight』はコンソール/PC、『Identity V』はスマホ向け作品であるため、操作感には大きな違いがあります。特に移動しながらの視点変更は、『Dead by Daylight』プレイヤーにとっては慣れが必要になるでしょう。周囲の確認や視界が重要になるジャンルのゲームである都合上、このポイントは大きいと言えます。・ゴア表現の有無
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『Identity V』は9歳以上という広い年齢層を対象としたゲームであるため、出血などのゴア表現がほぼなくなっています。『Dead by Daylight』における「フック」はおもちゃ風の「ロケットチェア」に、キラーの武器はぬいぐるみに置き換わっているため、ポップなタッチを好む方や、ホラー/スプラッター映画的な雰囲気を求める方の間でも、差が出るでしょう。
・成長ルールの違い
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『Dead by Daylight』ではBPを使用したブラッドウェブやパークなどでキャラクターの成長を管理しますが、『Identity V』では「天賦ポイント」を使用して「内在人格」を拡張するというかたちでキャラクターの成長を管理します。
ゲームで手に入れたポイントを使ってキャラクターを強化する、という基本的なシステムは両作共通なものの、一度取得したパークをある程度自由に組み替えることができる『Dead by Daylight』に対し、『Identity V』ではパーク取得がスキルツリー形式になっているため、キャラビルドの方法が大きく異なります。ただし、スキルツリーのリセット自体は簡単に出来るため、様々なビルドを気軽に試すことが可能でした。
・キャラクターが持つ固有能力の違い
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『Dead by Daylight』では、サバイバーは固有パーク、キラーはそれに加えて固有能力を以て各キャラクターの差別化が図られていますが、『Identity V』ではかなり異なっています。まず、サバイバーは固有パークではなく、切り替え不可能なパッシブ/アクティブ能力(外在特質)をそれぞれ持っており、これと前述の内在人格で差別化がなされています。
続いてキラー(ハンター)ですが、こちらは前述の内在人格と外在特質、それに数種類から選択可能なスキル「補助特質」と、固有能力である「形態変化」によって差別化されています。このうち、「形態変化」はマッチ中に特定条件を満たすたびにアンロック/強化されるという『Dead by Daylight』にはない特徴を有しているため、ハンターはより積極的なゲームプレイを要求されるようになっています。
筆者の体感としては、サバイバーの「外在特質」及びハンターの「形態変化」は、『Dead by Daylight』のパークや固有能力と比べた場合、どれもかなり極端な性能であるため、全体的にマッチが良くも悪くも派手な試合になりがちな印象でした。
・その他
『Dead by Daylight』にはランクシステムに影響しないマッチが存在しませんが、『Identity V』にはランクに影響する「ランキング対戦」と、いわゆるカジュアルな「ランダムマッチ」の2種類が存在しています。また、『Dead by Daylight』におけるマナーシステムはユーザーからの通報などをもとにBANが与えられるものになっていますが、『Identity V』では「品性値ルール」という点数式の評価形式が採用されており、点数次第で様々な罰則が与えられます。自身の品性値をゲーム内で確認することはできませんが、変化があるたびにメールで通知が届くようになっています。
●サバイバー編
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・暗号機(発電機)の位置が確認できる
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『Dead by Daylight』において、サバイバーは発電機の位置を目視以外では(基本的に)確認できませんが、『Identity V』では暗号機の上に光るアイコンが常時存在していて、位置をある程度把握できるようになっています。また、あらゆる暗号機や仲間の位置を常時確認できる能力を持ったサバイバーも存在し、プレイ早期から使用可能なキャラとして実装されています。
・背後確認の難易度
前述しましたが、スマホで操作する都合上『Identity V』ではカメラ操作が簡単でなく、チェイス中に周囲を確認するのも難しくなっています。このため、チェイス中に背後のハンターを確認する逃げ方に慣れが必要で、『Dead by Daylight』と比べてサバイバー側のチェイス難易度が高くなっているように感じられました。ちなみに、『Dead by Daylight』で賛否の分かれる「板グル」戦略は、実行こそ可能ではあるものの、カメラ操作の勝手の悪さから非常に難易度が高いものになっていました。
・草むらのステルス性
『Dead by Daylight』のサバイバーは、草むらにしゃがむだけでもある程度のステルス効果を得られますが、『Identity V』ではこの草むらの効果がかなり薄くなっています。そのため、『Dead by Daylight』と同じ感覚で草むらに隠れてハンターから攻撃を受けてしまうことが多々ありました。ただし、サバイバーの中には草むらに隠れることを得意とするキャラクターも存在するため、各性能は事前に確認しておいたほうが良いでしょう。キラー(ハンター)編
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・視点
『Dead by Daylight』のキラーは一人称視点でのプレイになりますが、『Identity V』においてハンターは三人称視点でのプレイになっています。そのため、『Dead by Daylight』プレイヤーの方はキャラのサイズ感を把握するまではオブジェクトにひっかかったり、通れる場所とそうでない場所の見分けがつかないかもしれません。・索敵の容易さ
前述の「補助特質」には、最初から使用できる能力として「リッスン」という索敵スキルがありますし、基本的に画面の明度が高いため、『Identity V』においてはハンター側の索敵が比較的簡単になっています。特に「リッスン」は、クールタイムや一次的な行動制限など多少のデメリットこそ存在するものの、基本的にはいつでもサバイバーの位置を割り出せる便利な索敵手段であるため、サバイバーはその存在を十分に意識しておく必要があるでしょう。
・攻撃のリーチ
筆者の体感ですが、ハンターの攻撃が届く距離が『Dead by Daylight』に比べて、かなり広く長いように感じられました。また、サバイバーの足跡や血痕も『Dead by Daylight』の比べてかなり分かりやすく表示されるため、チェイスではハンターが有利になることが多かったように思えます。筆者の所感としては、『Identity V』は操作性やデータを調整した上で、スマホでも楽しめるようカジュアルに落とし込まれた『Dead by Daylight』的作品なのではないかと思いました。緊張感こそやや薄いものの、ランクに影響しないマッチや派手めな試合運びなど、『Dead by Daylight』より遊びやすい点も多いと感じたので、非対称対戦というジャンルを初めて遊ぶという方には最適なのではないでしょうか。その代わり、『Dead by Daylight』にあった臨場感や恐怖感はかなり弱くなっているため、そういった迫力を求める方にはやや物足りない面もあるかもしれません。
『Identity V』は、iOS/Android向けに基本無料で配信中。『Dead by Daylight』は国内PS4、海外Xbox One及び、Steam(日本語対応)にて発売中です。