『SpaceChem』『TIS-100』『Shenzhen I/O』『Opus Magnum』といったハードコアなパズルゲームをリリースし続けているZachtronicsから、新作『EXAPUNKS』が発売されました。ハッカーとなり様々なネットワークに侵入して目的を達成していくプログラミング・パズルゲームです。
そんな『EXAPUNKS』にITスキルのない筆者でも挑めるのか!?今回はPDFからマニュアル冊子も自作しつつ、体当たりのプレイレポートをお届けします。
まずは「パズルのルール」を調べるところから
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上記の画像はパズルとしての第一ステージで、チュートリアルでもあります。筆者は英語が得意ではないのですが、それ抜きにしても、何をすべきかまったくわからない状況……画面下部にはどうやらパズルのクリアに必要な情報が示されているようです。
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本作にはPDFでマニュアルが付属しており、このステージでは「Ghast Walks U Thru Itを読め」と書いてあります。つまりそもそものゲームルールや、クリア条件を把握するのに必要な情報を、自分の手で調べていかねばならないというわけです。
これはZachtronicsの同系統のゲームと似た構成で、今作の魅力的な没入感を高めています。人は選ぶのかもしれませんが、パズル部分やプログラム言語の設計は本格志向でしっかりしているので、そこで裏切られる心配はありません。(『SpaceChem』や『Opus Magnum』は別ですが)Zachtronicsの過去のプログラミング・パズルゲームは日本語化されたこともなく、日本人ならば「調べて出てきた数少ない情報が全部英語だった……」といったリアルな体験もできるかもしれません。
Google翻訳を開いて、ひとつひとつ紐解きながら着実に進めていきましょう。必ずできます!
舞台は1990年代、あなたは病を抱える元ハッカー
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ゲームを起動すると殺風景な部屋が表示されますが、どうやら自室のようです。ほとんど案内のない中で最初の物語を選択するとNivasという人物が訪ねてきます。どうやらプレイヤーは「Phage」という病を抱えた元ハッカーであるようです。
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Phageの治療として、非常に高価な(1錠700ドル!?)薬を毎日飲まねばならない状況にあることがわかります。Nivasは配送業者として、これでも安く提供できていることを漏らすのです。
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プレイヤーは渋々「在宅バイト」をはじめます。表示されたレシート画像から、商品名と金額を打ち込むと、0.10ドルの収入を獲得したというアナウンスが。あまりに地味な作業、そして安いギャラにゲームとしての不安を感じ始めた次の瞬間、謎の人物からのメッセージが表示されます。
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「ONE HACK, ONE DOSE」……相手はEMBER-2という人工知能のような存在でした。プレイヤーは、ハッキングの要求に対して薬を約束するという契約を結びます。もう主人公には、自分の命以外に失うものは何もないのです。
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しかし、どのようにハッキングをしたものかと悩んでいると次の訪問者が。Ghastという古い友人が、自作した「ハッキングの同人誌」を手にやってきました。彼は、人間がより知識を蓄えなければならないと言い残し立ち去ります。狙いすましたかのようにEMBER-2が畳みかけます。──ハッキングへ邁進せよ。
「ZINE」を読み、仕様を覚え、プログラムせよ
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アセンブリ風のプログラム仕様を把握するところからゲームがはじまります。ゲーム画面は「ハッキング対象とのネットワークを模した図」となっており、自分が作成したハッキング用プログラムは「EXA」という小さなロボットの姿で表現。
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EXA(EXecution Agent)はこの世界で統一的に規格化された通信実行方式のことです。EXAは、そのステージの容量が許す限りいくつでも作成でき、プログラム中にも「自己をコピーする」といった指示を書くことができます。
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EXAは別のEXAとデータをやりとりでき、これを使って様々なファイルへ改ざんを行っていくのです。EXAは通信網に置かれているファイルを「つかむ」ことができ、つかんだデータへ読み書きしたり、別の場所へ移動したり、削除してしまうこともできます。
またEXAは数個のレジスタ(記憶領域)を持っており、いくつかのレジスタは専用の機能を割り当てられています。
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パズルはステージによって様々なギミックを持っており、一見しただけでは分からないので「ZINE」を読んで対象の仕様を把握しなければなりません。Google翻訳を惜しまず使って取り組めば、意外とマニュアルの内容はつかめます。更に、ステージの説明にはマニュアルのどの部分を読めばよいか記されていることもありますし、はじめのうちは実際のところそれほど意地悪なものにはなっていません。
「できる!」と信じて丁寧に取り組めば結構進められると思います。
リアルをハック!?マニュアルを作ってみよう
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PDFを画面に表示させる形でゲームを進行させても良いのですが、本作にはレターサイズやA4サイズの印刷に対応したデータも含まれています。(ゲームデータの中を探せばそのまま入っています)
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マニュアルは2冊あり、それぞれ表紙がカラーで、小冊子として組めば40ページずつのボリュームです。
今回はA4サイズを選択し、USBメモリに保存してコンビニへ。両面印刷+短辺とじの設定で20枚程度出力し、丁寧に折り込んで空白を切り取れば完成です。表紙をカラーにすると600円程度、白黒なら200円ちょっとで作れるかと思います。ちょうどコミケ期間中だったので、これで初めての同人誌を発行したことにならないでしょうか!?こうして自分でせっせと作ってみると、なんだか愛着が出てきますね。
魅力は「映画で憧れたハッカーの姿」
あえて説明されない部分があるので、一見意地悪なゲームの印象を持ちますが、実は基本のシステムがかなり丁寧に作られていますし、マニュアルにはしっかりと必要な情報が記されているので、突き放されることはありません。「取り組むことが多い」ゲームではあるでしょう。
何が説明されていないのか、どこが予測すべきところなのか……そうした判断に悩むことも含めてのパズルゲームだと感じます。どんどん没入しましょう。
行数制限がほとんどないこと、レジスタの数は少ないもののファイルは実質作り放題であること、IN/OUTの接続では悩まなくてよいこと、といった構造から『Shenzhen I/O』に比べて制限は緩い印象を受けます。ですので、工夫することに疲れてしまったら、地味な力業でクリアしてしまうこともできます。余裕が出てきたら、短くて効率の良いコードを追及してみてはいかがでしょうか。悩んで作ったプログラムが「通った」ときの快感はついついガッツポーズしてしまうほどです。
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様々なハッキング対象を表現する世界観と小綺麗なグラフィック、そして遊び心のあるパズルといった要素が重なって「映画で観たよくある凄腕ハッカー」っぽく感じられます。ステージを進めるたびに、友人たちがチャットをしている様子も雰囲気作りに一役買っています。
動かしているうちに、EXAが可愛く見えてきてしまったら……あなたは既に一流の「ハッカー」かもしれません。
『EXAPUNKS』はSteamにて2,050円で販売中です。更に200~600円ほど用意して、コンビニなどでマニュアルを自作するのもオススメです!