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Wargaming.netは、都内のLFS池袋eSports Arenaにてオンライン海戦ストラテジー『World of Warships』の最新情報をメディア向けに発表しました。空母システムのリデザインと待望の潜水艦導入が語られたカンファレンスのレポートをお届けします。このカンファレンスの内容は、ロシアで先に実施されたメディア向け発表会とほぼ同じですが、実際にゲームプレイを行ったインプレッションを交えてお伝えします。
■空母システムが大幅に変更―RTSからアクションへ
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初めにWargaming.netのエグゼクティブプロデューサーであるアルトゥール・プロチェニック氏が登壇しました。檀上に上がった同氏は、まず『WoWS』における現時点での空母特徴を説明。同作において空母(CV)は、戦艦/巡洋艦/駆逐艦に次ぐ艦種で、歴史的な観点も含めてユニークな存在です。
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空母のコンセプトはアクションゲーム内に存在するリアルタイム戦略ゲーム(RTS)という部分です。攻撃機や戦闘機、そして雷撃機を指揮することが出来るのですが、操作に手慣れたプレイヤーとそうでないプレイヤーの差が大きいため、熟練プレイヤーの有無によって勝敗が決まってしまうことも多く、難しさもあることから人気も落ち、改善が必要となったと説明します。
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ゲームバランスそのものが変わるため、リデザインにおいて改善点を大きく3つ挙げました。それが、新規/熟練CVプレイヤーの大きいスキル差、CVが与える戦局と戦果への影響(マップにおいて航空機を配置すれば全体を偵察できる能力など)、CVという一貫性のないクラスからバランス問題に連鎖し、悪循環が発生し人気が低下しているという3点です。
ここで新バージョンの開発映像を披露。現在調整が進められている空母の新コンセプトの「戦術的アクションゲーム」という部分をアピールしました。これは航空隊の操作を1つに絞り、カメラアングルと艦艇操作を同じに設定し、影響力を削ぐと共に空母運用のハードルを下げ、動的にシネマティックな演出を表現することも目的としています。
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ビフォーアフターを比べてみると、従来のバージョンではRTSの用に指揮しますが、アフターの新バージョンでは『World of Warplanes』のようにカメラが機体後方に固定されています。また搭載機も調整が加えられていて、戦闘機が廃止される代わりにHEロケット弾を装備した攻撃機が加わりました。
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他にも雷撃機は、攻撃に入る機数が制限されて3機ほどになりましたが、より発射したい角度を決めやすくなりました。加えて、爆撃機は攻撃時に急降下爆撃へのモーションが入り、投下タイミングを決めることで大ダメージを与えることが出来ます。なお操作できる航空中隊は1つだけですが従来通り偵察も可能です。
■潜水艦が実装!本格導入前に「ハロウィンイベント」でテスト
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今回新たに発表されたのが、過去の様々なインタビューでバランスの影響を考慮し、長らく導入に待ったがかけられていた新艦種の“潜水艦”です。潜水艦は「ハロウィンイベント」にてPvEイベントで操作可能な艦艇として試験的に導入されます。この新艦種のコンセプトは、暗殺者のように敵に忍び寄って敵艦を狩る期待感と、発見されるかわからない恐怖感、そして敵に一撃を加えた満足感の3つです。
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潜水艦の特徴としては、WW2までの潜水艦と同じように酸素が限られているため、何時までも海面下に潜ることができず定期的に海上へ浮上する必要があることや、防御力が低いことが挙げられます。他にも海中を移動しているときでも、水面から爆雷攻撃が加えられるなど脅威は多くあります。またハロウィンイベントでは、レトロでファンタジックな外見の3種類の潜水艦と、艦長たちが登場します。
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これらの説明の後、実際にリデザインされた空母と、新たな潜水艦の体験プレイに移りました。
■リデザイン空母と新艦種潜水艦を先行プレイ!『WoWS』を根本から変える2つの変更
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まず筆者は、新艦種である潜水艦をプレイしました。操作は通常の艦艇とほぼ同じですが、大きな違いはもちろん潜航できることです。Qキーで潜航、Eキーで浮上。圧壊深度などは設定されておらず、水上/潜望鏡深度/潜航深度/深海の4段階(200m)ぐらいまで潜り続けることが可能です。また潜水艦に付いている副砲は、浮上している時に敵艦を射程距離に捉えていると自動的に攻撃を開始します。
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特にこの艦種が難しいと感じたのは、前述の説明の通り撃たれ弱く発見されないように接近する必要がある点です。水上はともかく水面下での移動はなかなか速度が出ないため、艦の向きと魚雷発射位置を揃えつつ、偏差射撃(システムは駆逐艦の魚雷と同じ)を照準し打ち込みます。魚雷1発の威力は大きく、命中させられた場合は大型艦の耐久値を大きく削ることが出来ます。
正式実装までの仮定の話になってしまいますが、試合開始時に敵の予想侵攻地点へ先に進行し、深海で待ち伏せ、回避が難しい距離から射撃、という手順を踏めることを考えれば戦い方も大きく変わりそうです。
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次に新たにリデザインされた空母を操作してみました。リデザインの空母では、発艦させられる航空中隊は1つだけに絞られていますが、操作が他の艦艇と同じであるため戸惑いを覚えることがなくなったことが大きく、「空母だけRTSをプレイしている」という疎外感が感じられなくなったことに違いを感じます。
攻撃アプローチは時間制限付きで、航空中隊から数機が突入する形となり、「敵艦の両舷から雷撃隊を魚雷攻撃させて逃げ場を失くし確実に仕留める」という戦術を、少なくとも1人で実施できなくなったというのは大きいでしょう。また急降下爆撃時は、敵艦の予想位置に攻撃するというのが少し難しいという印象も受けました。その中で一番簡単なのが新たに加わった攻撃機で、攻撃サークル内に敵艦へ照準を合わせて発射するだけです。
なお攻撃を終えた航空中隊は、従来通り帰還命令を出すことで他の航空中隊へ操作を移すこともできます(その場合は空母からの発艦シークエンスからとなる)。
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操作がよりアクション的となったことで今まで空母に触れてこなかったプレイヤーにも裾野が広がり、1空母1航空中隊となったのは正式実装された時に大きな衝撃を与えそうです。またWargamingの担当者に話を聞いたところ、この調整によって1マッチングあたりに参加できる空母の数が増えるかも、とも話していました。
リデザイン空母は2018年内に一通りのテストやバランス調整を終える予定で、潜水艦は「ハロウィンイベント」を経た後に本格実装への判断に入るとのこと。2つの新システムがいつ導入されるかに注目が集まります。