■『エースコンバット7』のもう一つのテーマ「世代交代」
河野氏: 実は、片渕監督とも「『エースコンバット7』には“世代交代”というテーマもあるよね」って話をしていて、有人機と無人機もそうだけれど僕ら作り手としても。とは言いつつ、片渕監督はバリバリの現役ですけれど(笑)。でも「若い世代たちが物を作っていく」そこにちゃんとした姿を我々が見せなきゃねって。
玉置氏: ミハイがベテラン老パイロットになったのはそういった絡みがあったからなんですか?
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河野氏: キャラクターアイデアからはじまったというよりは、どちらかと言うとストーリーが固まっていって、メッセージ性を改めて考えていた時に「これって世代交代っていうもう1つのテーマがありますよね」となりました。
玉置氏: 自然と繋がったんですね。
下元氏: 今回『7』のコレクターズエディションにブックレット「ACES at WAR A HISTORY 2019」が付属するんですが、そこの中に対談企画としてナラティブディレクターの糸見功輔氏とシネマティックスディレクターであるスタジオカラーの吉﨑響氏が対談しています。2人も似たようなことを語っていまして、2人の世代が「本当に良いと信じているものを今の10代の人達にどう伝えるか」を考えながら今回を制作したと。
単純に、ゲームのボリューム層である若い世代のウケだけを考えれば、違うやり方もあったと思います。でも自分たちが良いと信じているものを、どういったアプローチをすれば若い世代にも良いと思ってもらえるのか……。対談を聞いていると、さっきの“世代交代”じゃないですけれど、ただ世代を渡すわけではなく、先人の世代が良いと思っている価値観を繋いでいくことが開発の中でも行われているのではと思いました。いま、お客様の中でも父から子の世代へと「これって面白いよ、という価値の共有の流れ」が起こっている気がします。
河野氏: でも結局、俺と片渕監督は「俺らを倒してからいけ!」って
一同: (大爆笑)
玉置氏: バランスが難しいですよね(笑)
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下元氏: 今結構いい流れでまとめようとしていたのに(笑)
玉置氏: 世代にまつわるいい話、VRモード組にもありますよ。本作VRモードのディレクターであり、さっきのお話にあったUGSF世界観の界隈ではエンスーTとしてもおなじみの夛湖久治さん(バンダイナムコスタジオ)は私の最初の上司なんですよ。研修の時に「プランナー、企画職、ゲームを作る人間というのはこうであるべきだ」と教え込まれた先生でもあります。あるときには一緒に企画立てて、河野さんに持っていって、河野さんに撥ねられたりしたこともありましたね(笑)
河野氏: (大爆笑)
玉置氏: 夛湖さんは『戦場の絆』のキーマンの一人でもあったので、はじめてVRをやることになって右も左も分からなかったときにも当然聞きに行った相手なんです。例えばVRゾーンにある『アーガイルシフト』というアクティビティがあったんですけれど、そういうのをやる前にVR酔いを回避するためのコツをドーム型筐体の知見から受け継ぐために、夛湖さんへはよく聞きに行ったりしたんですよね。
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そういう意味ではずっと縁があって、今回いよいよ「エースコンバットのVRモード」という形で一緒にお仕事できたのは凄く嬉しかったし、やっぱり安心して任せられる……というとおこがましいですけれど、ツーカーで意思疎通が出来るのですごく良かったですね。
河野氏: まとめよう。話の方向を集約していかないと(笑)
下元氏: 座談会みたいになって
玉置氏: 座談会というか飲み屋の話みたい(笑)
下元氏: まだそれは早いですよ、発売していないので(汗)
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(筆者補足: ここでインタビューの流れを1からまとめる)
河野氏: 世代交代が『7』のメッセージの1つになっている。実際作り手たちも世代交代が始まっている。
玉置氏: 上の世代、下の世代で協力しながら作っているし、どちらかが引け目を感じているわけではなく、お互いに良いところを主張し合って作っています。
河野氏: ちょうどそういう時期の『エースコンバット』が『7』ですね
河野氏: そういう意味では今回のナンバリングで『エースコンバット』の原体験に戻れる形に作れたのは良いかもね。『7』は、複雑でゴテゴテした感じではなく、シンプルですっきりとした『エースコンバット』本来の楽しさを味わってもらえるようになっているかなと思いますね。
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