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Departure Interactive開発の地下鉄運転+生活シミュレーションゲーム『Metro Sim Hustle』。6月1日に早期アクセスが開始された本作ですが、控えめに言っても普通の生活シミュ体験できるとは思えないほどヤバいゲームです……。本稿ではそのヤバさを中心に捉えつつ、プレイレポートをお届けします。
コンセプトと注意書きが不穏
本作は、地下鉄の運転士をしながら闇を抱えそうな生活を送ることができるシミュレーター。Steamの製品ページの注意書きには、「このゲームには薬物の使用、冒涜、暴力、ヌード、ギャンブルのシミュレーションが含まれています」と書かれています。筆者は当然のように、そういった要素は中盤~後半あたりで出てくるものだろう……と踏んでいましたが、そう甘くはありませんでした。
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最初の家は荒れ果てた地下、外にはドラッグディーラー
開始直後、プレイヤーの家がビルの地下にあり、衛生という言葉とは一切縁がない酷すぎる環境に住んでいることに驚かされます。まるで虫やネズミなどとゴミ溜めで共同生活を送っているかのよう。というより、地下鉄運転士でこの生活水準はないよな……と思うところがあります。それはさておき、起動直後の状態だと、既に酩酊してるかどうにかなってるのかと思うほどモーションブラーが強いので、筆者は即座にオフにしました。
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そして家の外に出ると、真横にRandy CrooksというNPCの姿。取引ができるようなのでラインナップを見てみると、Ecstasy(エクスタシー、15ドル)、Cannabis(大麻、10ドル)、Cocaine(コカイン、15ドル)と完全にドラッグの売人。いくらなんでも治安が悪すぎるのでは……と思いつつ、家の向かい側を見てみると、本作の楽しみのひとつ(?)であるSmokeshowという名前のストリップクラブを見つけました。どピンクの電飾で彩られているので、非常に分かりやすいですね。
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実は割と都市部に住んでいた
街中をひと通り散策してみると、郵便局員や会計士、はたまたストリップクラブのダンサーなどが街中で立っていたり歩いていたりしますが、彼らともドラッグの売人と同様に取引できます。
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購入可能な商品はキャラクターによって異なっています。あくまでもメインでアイテムを購入するのは「Jacob's Variety」というコンビニからで、こちらは一通りの商品を取り扱っています。店主に話しかけて購入できるのは、やはりドラッグ。もはやこの世界では合法なのかどうかすら分からなくなってきました。店主ではなくレジに話しかけることで、様々な商品を購入することができます。コンビニには電子レンジもあり、冷凍食品をチンして食べることもできます。
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その他にも、「Far East SUSHI」なるスシバーや、5日あたりの家賃が大きく異なる格安アパートから高級マンションまでが存在します。ちなみに、電子レンジのタイマー部分の液晶は現在のゲーム内時間を表しています。スマートフォンを見ることでも時間は分かりますが、細かい点にも仕込みがあるようです。街中にはゴミ袋やゴミが落ちていますが、プレイヤーのプライドが邪魔するのか、拾うことはできませんでした。
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簡単操作でそれなりに楽しめる「お仕事」
家をグレードアップするにも、空いたお腹を満たすにも必要なのはお金。というわけで地下鉄の駅に行き、仕事をすることにします。操作方法はSettingsを参照するしかありませんが、ドアの開閉やマスコンの操作、パーキングブレーキや緊急ブレーキ、次の駅の表示などを操作することになります。
ホーンなどもついているので、適宜鳴らしていくと雰囲気が出るかも。また、時々発生するトラブルにも対応していかなければなりません。最初はNoviceからしかプレイできませんが、難易度により最高速度などが異なってくるようです。
ざっくりと言ってしまえば、操作感やシステムは『電車でGO!』の簡易版のような印象で、停車位置が手前過ぎたりオーバーランしてしまえば、ドアを開けてもお客さんは乗降してくれませんし、壁に設置されている信号の地点で制限速度をオーバーしていれば、その場で罰金として給料から引かれていきます。
基本的には、決められた時間までに次の駅に到着し、ドアを開けてお客さんを降ろして乗せて、また次の駅へ……と繰り返し、最後は終点で回送状態で止めるといった感じです。クリア時には追加でお金やアイテムが3スロット分獲得でき、スピード違反をしなければお金はどんどん増えていくので、信号に気をつけつつ運転をするだけでお金に余裕はでてきます。
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筆者としては、本作が何を中心にしていて、どういったジャンルに当るのかは、正直なところ未だに理解できていません。「地下鉄の運転士」という仕事を中心に見据えるのであれば物足りないと思いますが、「仕事とドラッグと生活」と要素を広く見るのであれば、良いバランスかなとも感じています。
ある程度働いたらマトモな家に引っ越そう
最安のアパートの家賃は5日で200ドル。数回仕事をするだけで余裕で稼げる金額なので、ゴミ溜めのような環境からさっさと脱出しましょう。最安とは言えど、家にはTVやシャワーとトイレ、さらにコンビニにあった電子レンジだけでなく、アイテムを保管できる棚も多数備え付けられています。アイテムが保管できるということは、食料が買い貯めできるということ。仕事をして稼いで、食料を買い込んで……とまるで現実の生活のように過ごすことができます。
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お金が余るようであれば、ストリップクラブに行くもよし、ドラッグに手を出すもよし、というのが本作の楽しみ方なのでしょう。なお、ベッドで寝ることでセーブが可能なので、引っ越しの際は特に忘れずに。
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お酒やドラッグのエフェクトは、意外にも画面がぼやける程度の柔らかめな表現。カラフルなヤバい感じのエフェクトが出るのかなと期待していたのもあり、ちょっと拍子抜けなところもありました。現状では特にメリット・デメリットもなさそうなので、おまけ程度の要素になっている気がします。
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意外に細かい生活関連のパラメーターにも注目
散々と治安が悪いだの不衛生だのドラッグだのと述べてきましたが、一方で生活面に関わるパラメーターが意外にもしっかりしているという面もあります。
Energy(エネルギー):タバコや睡眠で回復
Sanity(正気度):街の人と話して回復
Bladder(尿意):Vキーで放尿して回復
Hygiene(衛生):シャワーを浴びて回復
Nutrition(栄養):食料を食べて回復
Hydration(水分):ミネラルウォーターなどを飲んで回復
……といったように、何かをすれば何かが回復しますが、アイテムの説明などにも記載されているように、上がるパラメーターがある一方、下がるパラメーターもあります。物を食べたりおしっこをしたりすれば身体が汚くなります。ビールを飲めばエネルギーと水分は上がるものの、尿意は一気に下がる……というような仕組みです。関連して上下するパラメーターには気を配る必要があります。
真面目に働く?ひたすら遊ぶ?それとも……
正直なところ、ただの地下鉄の運転士として真面目に働くのは非常に退屈です。前述の通り、地下鉄運転シミュレーションとしては簡素というのも原因なのですが、本作はやはり、ただの「地下鉄の運転を楽しむゲーム」ではありません。しかし、仕事をして経験値を貯めればより上のランクの仕事ができ、お金が貯まります。そのお金でひたすら遊ぶという独身貴族的なプレイは、間違いなく本作の楽しみ方のひとつであり、中心であると言えます。
本作はあくまでも早期アクセス開始直後であり、未実装の要素や物足りないところが多数見受けられるのも事実。現状では街中も物足りないですし、全体的に淡白な内容です。しかし、今後の開発次第ではより面白くなる要素が多く含まれていますし、期待できる部分も多いように思います。日常と非日常の境目を体験できるタイトルという意味では楽しめるのではないでしょうか。
『Metro Sim Hustle』はPC向けに早期アクセス配信中。定価は2,050円です。