三国志の本場中国で開発された、インディー系の三国志ストラテジーゲーム『三国志漢末覇業』の開発者インタビューを、東京ゲームショウ2019の会場からお届けします。
『三国志漢末覇業』は、三国志をテーマとするゲームの中でも登場武将の豊富さとその設定の細かさで群を抜いており、中国風味あふれるグラフィックと音楽にも特徴があります。
現在Steamで早期アクセス中のほか、iOS版、Android版も配信されています。
東京ゲームショウ2019の『三国志漢末覇業』ブースで開発者A氏(仮名、以下A氏)に話を訊きました。
――豊富な武将とその能力値はどのように設定しているのですか?
A氏武将は、歴史上実際に存在した武将と架空の武将で構成しています。能力値は、三国志の物語や人物に対する中国人としての深い理解を元に、主に私の上司が決定しています。上司は青年時代から三国志が好きで、三国志に対する自分なりの考えや理解を持っています。
――武将や能力値にユーザーの意見が反映されることはありますか?
A氏それはほとんどありません。出すべき武将は既にすべて出していますし、どの武将を強くしたいかという考えはユーザーごとに異なります。その代わり『三国志漢末覇業』には武将エディタが搭載されています。
――中国風のグラフィックと音楽はどのように制作していますか?
A氏グラフィックはすべて社内で制作しており、上司が指示を出しています。私たちは中国風のグラフィックを表示したいと思っていますが、今の若者には古臭いグラフィックはあまり好まれないようです。音楽は中国四川音楽学院の教授が中国の伝統楽器を用いて演奏しました。そのレベルは四川のトップクラスです。
――日本語訳をさらに改善する予定はありますか?
A氏実は初期の翻訳は私が担当しました。現在、機能面の翻訳には間違いがないと思いますが、会話は少し不自然かもしれません。これを改善するために、日本人プレイヤーのご意見をたくさん頂ければありがたいです。列伝はデザイナーの方針で中国語版より簡単になっています。これは他の言語でも同様ですが、ご意見があればデザイナーに伝えたいと思います。
――中国と日本で三国志に対する考え方が異なると感じることはありますか?
A氏日本人は曹操や呂布が好きですが、日本では強い人物が好まれるのではないでしょうか。中国では曹操は漢を簒奪した奸雄として悪いイメージがあります。奸雄の「奸」は良くない意味の文字で、曹操は能力こそ高いですが中国ではあまり好まれていません。
――開発者として、技術的に難しかったことはなんですか?
A氏『三国志漢末覇業』ではゲームエンジンとして「Cocos2d」を使用していますが、このエンジンは2Dのゲーム向けで、3Dの表現をするのが困難でした。また、開発の時間が足りないという問題もあります。実は、異民族や海賊といった面白い要素を正式版と一緒に配信したかったのですが、開発時間不足のため今後DLCとして配信したいと考えています。
――今後の開発計画を教えてください。
A氏Steam版の早期アクセス終了は10月を予定しており、現在配信中のバージョンが早期アクセス終了時のバージョンとなります。ただし、最新バージョンを配信しているのはSteam版のみで、iOS版とAndroid版ではまだ配信していません。
――早期アクセス終了時の日本語訳は現在のバージョンと同じですか?
A氏未定ですが、早期アクセスの終了後もアップデートは続きます。早期アクセス終了でゲームの改善が終わるわけではありません。
――東京ゲームショウ2019で初公開となるPvP機能とはどのようなものですか?
A氏PvP機能は一騎打ち、舌戦、対戦(合戦)の3つを実装しています。PvP機能はまだテスト版で『三国志漢末覇業』本体に追加する予定はありません。PvP機能は現在計画中の無料版に搭載する予定です。
――無料版について教えてください。
A氏私は開発者なので詳しくはわかりませんが、まず東南アジアで配信し、その結果を見てから日本や韓国で配信する予定です。現在計画しているのはiOS版のみで、Android版は計画していません。無料版ということで課金機能があります。
――ユーザーインターフェイスが大幅に変更されたのはなぜですか?
A氏新ユーザーインターフェイスはスマートフォン版や無料版に合わせて改善したものです。また、6月のBitSummitに出展した時のご意見を反映して、日本人の若者にもわかりやすいよう難しい漢字を簡単にしています。
――ありがとうございました。
『三国志漢末覇業』はSteam版、iOS版、Android版が配信中。現在、東京ゲームショウ2019への出展を記念したセールが行われています。
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