
一般人が飢えや渇きに悩まされながら、オープンワールドのファンタジー世界を駆け巡るサバイバルRPG『Outward』のプレイレポートをお届けします。
本作はNine Dots Studioが開発し、Deep Silverによって3月26日にSteamで配信されました。10月4日のアップデートでは、日本語を含む7カ国語をサポート。本作はNPCとの会話もあるため、言語の問題で手を出しづらかったゲーマーも、今回のアップデートでプレイしやすくなったかと思います。それ以外にも隠されたエンドゲームボスやハードコアモードなどが追加されました。
本作の内容ですが、「ファンタジー世界を舞台にしたサバイバル要素のあるRPG」です。筆者は以前、似たタイプのサバイバルRPG『Savage Lands』をプレイしていましたが、ストーリーよりもサバイバル要素が強めでした。本作は素材や食材集め、クラフトなどといったサバイバルゲーム定番の要素だけでなく、NPCとの会話やショップでの取引、クエスト任務、行動によるストーリー分岐など、RPG色を強く打ち出しています。
主人公は英雄でも何でもないただの一般人で、「世界を救う」などといった大義名分もなく、それどころか借金を返さなければならないという世知辛いシチュエーションからゲームが始まります。飢えや渇き、暑さや寒さに悩まされたり、病気になったりと、「リアル一般人」がファンタジー世界で生き延びるにはどうしたらいいのかをシミュレートした(?)本作、さっそくプレイしていきましょう。
生き延びるための基礎を学ぼう!

今回はXboxパッドを使ってプレイ。本編とは別にチュートリアルステージが用意されていますので、先に基礎を学んでおきましょう。始まるとすぐ目の前にリュックが落ちています。持てるアイテム量を増やせるため、ゲーム中はほぼ必須アイテムです。
リュックには専用の操作があり、十字キーの上で拾って装備、もう一度押せば地面に下すことができます。戦闘時には重要な動作です。というのも、リュックを背負ったままだと回避行動が遅くなってしまいます。敵と戦うときは、素早くリュックを下せるようにしておくといいかと思います。

次は戦闘について。Aボタンで通常攻撃、Bボタンで特殊攻撃、Rスティック押し込みでロックオン、RBでブロック、LBで回避(長押しで走る)になります。画面の左下にある赤・黄・青の円は、上からライフ、スタミナ、マナ。走ったり、攻撃や回避をするとスタミナが減ります。特に回避はスタミナの減りが多いので注意が必要です。

魔法やスキル、アイテムなどは、クイックスロットにセットして使います。LT(or RT)+X,Y,A,Bボタンに対応しているので、合計8個までセット可能。武器や盾をセットして、戦闘時に切り替えることもできます。

魔法ですが、マナ消費以外に素材(魔法によって異なる)が必要なものもあります。また魔法によっては、前提条件を満たさないと発動しないものも(例えばAという魔法を発動するためには、先にBという魔法を発動しなければならないなど)。

主人公には普通の人間と同じく、食事と水への欲求があります。これらを満たしてあげないと気絶してしまいます。喉の渇きはきれいな水を飲むことで癒すことができ、「皮袋」があれば水を入れて持ち運べます。

クラフトについてですが、材料があればレシピを選ぶだけですぐに作ってくれます。このあたりは他のクラフトゲームに比べて簡略化されていますね。焚き火や武器、防具、食べ物、罠など、作れるものは多岐にわたります。

生肉をそのまま食べると病気になるので、調理してからにしましょう。焚き火では焼肉ぐらいしか作れませんが、キッチンでは複数の食材を組み合わせて様々な料理を作ることができます。クラフトと同じで、レシピにある食材を集めて製作すればOK。食べ物は時間が経つと腐りますので、その前に食べてしまいましょう。

寒いところにいると体温がどんどん下がり、逆に暑いところにいると上がっていきます。装備には寒さ耐性(もしくは暑さ耐性)があり、これらの害を緩和してくれます。環境に合った装備をすることが重要です。

テントがあれば野宿して睡眠欲求を解消できます。睡眠時には「睡眠時間」の設定だけでなく、敵の奇襲に備えての「見張りの時間」や、武器・防具の「修復時間」を設定可能。武器・防具は使っていくと耐久度がどんどん落ちていきますので、こまめにメンテナンスをしてあげましょう。またお金を払えば鍛冶屋でも修復できます。
裸一貫からのスタート!

基本が分かったところで本編へ。まずはキャラメイクから。デフォルトがこのおっさんというあたり、ハードコアな海外ゲームという感じがします。最近は日本人受けする美男美女キャラも増えてきたので、なんだか懐かしい質感です。とりあえずこれをベースにしましょう。

スタイリッシュな髪型もたくさんあるのですが、おっさんなので絶望的に似合いません。ハゲのままも寂しいので、ジ〇リ映画に出てきそうな感じのこの髪型にしておきました。『オブリビオン』にもこんなのいましたね。名前は「ゲムスパ」で。

ゲームが始まると、ストーリーが簡単に語られます。祖母が負った借金返済のため、一山当てようとゲムスパは旧友イザンと海に出ました。しかし帰りに難破してしまいます。なんとか生き延びたゲムスパは、はぐれた仲間たちを探しに出掛けます。

ほぼ半裸の何もない状態でスタート。キャラメイクでは太ってるように見えましたが、服装のせいだったようです。とりあえず何かないか海岸を調べてみましょう。

落ちていたボロボロの服や松明を拾って、冒険者としての身なりをなんとか整えたゲムスパ。船は完全に壊れてしまっており、仲間の安否が気になります。

素材の集め方ですが、例えば木材なら木のそばでYボタンを長押しします。木は道具なしでも取れますが、鉱石など物によっては道具が必要になります。

空腹を満たすための食べ物も集めておきましょう。入手が容易なガベリーはそのまま食べることもできますが、キッチンで料理を作るときの食材としても使えます。

死体から片手武器のマチェーテを発見。さっそく装備してみましょう。ちなみにアイテムには重さがあり、重量オーバーすると動きが遅くなったり動けなくなったりします。

さっそく敵が出現。2頭のハイエナが襲ってきました。先ほど拾った武器で戦います。回避して敵の攻撃をかわそうとしますが、タイミングが難しくて食らってしまいます。最終的にはゴリ押しで勝利。

倒したハイエナの死体を漁り、生肉と皮を取ることができました。生肉はそのまま食べるとおなかを壊すので、焚き火で焼いて焼肉にしておきましょう。

近くにベージュの服とランタンがあったのでゲット。だんだんと文明人らしくなってきました。帽子と靴も欲しいですね。髪型がすでに帽子のような感じですが。

旧友のイザンを発見。難破で死んだ仲間たちのために祈りを捧げていました。「ケガがひどいなら寝袋で寝るといい」と言われます。

寝袋で寝ると話が進んでしまうようなので、その前に先ほどの生肉の調理を。そばに死体があるのが気になりますが、焚き火で生肉を焼いて焼肉を作りました。焼いた方が長く保存でき、HP回復効果もあるようです。
5日以内に借金返済

寝袋で眠ると、イザンがゲムスパを自宅まで運んでくれました。ゲムスパの家はシエルツォという場所にある灯台の中です。リュクや服があったのでいただいておきましょう。

自宅には荷物を保管しておくための箱があります。素材など持ち運ぶ必要のないものはここに入れておくといいかと。

地下にはキッチンがあります。パンとガベリーを組み合わせてジャムパンのようなものを作ることができました。

外に出ると、大勢の人たちが待ち構えていました。借金を払うよう迫ってきます。「10秒以内に出せ」と無茶を言ってくる人も。難破で死んだ人たちの家族もゲムスパを責め立てます。

シエルツォの代表のリッサという女性が、ゲムスパに助け舟を出してくれました。しかし難破で亡くなった人たちの家族への保障のため、5日以内に銀貨150枚を返済しなければならないとのこと。できなければ自宅を差し押さえられるようです。

借金返済のため、お金を稼ぐ手段を考えなければなりません。とりあえず村の外へ出ようとしましたが、装備が足りないので門番が許可しません。武器とリュックはすでにあるので、水を入れるための皮袋を探しましょう。

門番の話では、海岸にある浄水器のそばに皮袋が落ちているとのこと。スチームパンク感のある装置は、海水を真水にするためのもののようですね。

門の外へ出られるようになったころには、もうあたりが暗くなっていました。パールバードというチョコボっぽい敵がいて戦闘に。倒すことはできましたが、ライフは半分になってしまいました。装備のせいか、戦闘で受けるダメージが大きいですね。

ライフが少なくなったのでいったん村に戻ります。少しでもお金を稼ごうと、商人にアイテムを売りますが、大した金額になりません。このペースで借金返済できるのか心配になってきました。

翌日、盗賊らしき男たちがいたので、逆に身ぐるみを剥いでやろうと戦いを挑みました。が、あえなく撃沈。本作では敵が強いため、一日に連続で何度も戦闘をするというのは厳しいものがあります。

ライフを失った後は、ハイエナに巣穴まで拉致されるという踏んだり蹴ったりの展開が。ハイエナを倒してなんとか巣穴から抜け出しましたが、外にもさらに別のハイエナが待ち構えていました。またライフをすべて失い、巣穴へ連れ戻されます。

なんとか巣穴から脱出し、村に帰還。途中で入手した「パールバードの仮面」を装備します。移動速度がアップするという優れモノ。旅が少し快適になりました。しかし借金返済まであと2日ぐらいしかありません。しかも銀貨150枚どころか50枚にも届かない。とにかく持っているアイテムを売りまくります。

村の近くにある「水疱の洞窟」に珍しいお宝があるとの情報が。それを持ってくれば、高額で買い取ってくれるとのこと。洞窟には強敵が多数いるようですが、もう時間がないので行くしかありません。

洞窟に入ると、さっそく敵がお出迎え。しかしパールバードの仮面で足が速くなっているので、通常移動でも敵に追いつかれない。本作は戦闘が難しいのですが、そもそも戦わなくていいのではないかという結論に達し(一般人ですし)、逃げ回りつつアイテムを回収していきます。

入手したアイテムを売却し、なんとか銀貨150枚を達成。結構ギリギリでしたが、これで家の差し押さえを回避することができました。このあと、ゲムスパには今後の人生を決める選択肢が待っています。この続きはぜひ自身の目で確かめてみてください。
ストーリーラインのあるサバイバルRPG
本作はサバイバルゲームの要素を含んでいますが、RPGとしての色も強く、ストーリーを追いながらゲームを進めていくことができます。またオープンワールドRPGのように選択の結果で物語の展開も変わっていきます。ゲームの雰囲気的には、名作RPG『Fable』を思い起こしました。

本作はオンラインやスプリット画面での2人協力プレイにも対応しています。フレンドを誘って一緒にプレイするのもいいかもしれません。コンシューマ用にチューニングされているようで、パッドでのプレイが快適でした。サバイバルゲームは操作系統の複雑なものが多いので、一般RPGのように分かりやすくすっきりとシステムをまとめたのは良いですね。ハードコアと言われていますが遊びやすいゲームなので、サバイバルや海外RPG好きの方は一度プレイしてみることをオススメします。
製品情報
『Outward』
開発・販売:Nine Dots Studio、Deep Silver
対象OS:Windows
通常価格:4,100円
サポート言語:日本語、英語など全12カ国語
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/794260/Outward/
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。人生の理念は「あまり知られていないけど、知っていると人生が面白くなるもの」を発掘・提供すること。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら。
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