
海外メディアVG247は、ステルスゲームにたびたび登場するアクション「非殺傷テイクダウン」は本当に安全なのか、医療の専門家にインタビュ-を実施しました。
『Thief』や『Deus Ex』、『Dishonored』『スプリンターセル』『メタルギアソリッド』など、国内外の様々なステルスゲームシリーズに登場する「非殺傷テイクダウン」ですが、頭をバトンやブラックジャックで殴りつけたり、絞め落としたり、麻酔弾を撃ち込んだりと、よくよく考えればそれなりに荒っぽいアクションです。
果たして現実の人間はそこまで都合よく、命にかかわらない程度に気絶してくれるのでしょうか。脳神経外科麻酔や神経集中治療の顧問を務めるJuliette Fraser医師がVG247にその実態を語りました。以下、その抄訳となります。
頭から殴りかかる場合
- 誰かに頭から殴りかかる場合、死に至る可能性は十分ある
- 気絶はするが死にはしない、という状況を狙うのは非常に困難
首を絞め落とす場合
- 相手の頸動脈(酸素を含む血液を脳に送る血管)を塞ぐことで相手を気絶させることが可能
- ただし理論上は、攻撃する側に十分な力があったとしても、相手を気絶させるためには数分間はかかってしまう
薬を使用する場合
- 相手にダーツか何かで筋肉内注射を行うことは可能。ただ、どのような薬を使用するかによる
- 短時間のうちに気絶させるためには、静脈内に注射する必要がある
- 私はいわゆる完全静脈麻酔(total intravenous anaesthesia)を多く行っているが、これは静脈に絶えず麻酔を注入し続けるというもの
- 麻酔を与えた相手の呼吸が止まってしまったり、呼吸が浅くなりすぎたりして低酸素状態に陥ってしまわないか、絶えず注意し続ける必要がある
- 低酸素性脳障害や血圧低下に陥ったり、気道閉塞が起こったりする可能性もある
いずれの方法でも、相手が命を落としてしまったり、自身の隠密行動に大きな支障が出てしまったりする可能性が明らかとなった同インタビュー。これだけ「非殺傷テイクダウン」が困難なものであると分かると、それをいとも簡単にやってのけるステルスゲームの主人公達が、今まで以上に輝いて見えるかもしれませんね。