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ビデオゲームの操作体系は、もはや決まりきってしまったのでしょうか? 十時キーとアナログスティックによる、オーソドックスなコンソールのコントローラー。キーボードやマウスで操作するPCゲームの操作体系。最近はVRもありますが、身体の動きをそのまま反映するモーションコントローラーなど、フォーマットが固まっているように見えます。
そんな風潮のなか、果敢にゲームの操作体系に革命を起こすイベントが開催されました。それが「make.ctrl.Japan」です。2020年2月22日に開催されたこちらでは、段ボールを使ったコントローラーからラーメンの湯切りまで 今回は会場に展示された、様々なコントローラーを革命する力を紹介しましょう。
料理や飲食がそのままゲームコントローラーに!
私たちは毎日、いろんな食事をしていますよね。料理をしたり、飲み物を買ったり……ここではそんな自炊や飲食をエキサイティングなゲームに変えてしまった、不思議なコントローラーとゲームを紹介します!いずれも「ゲームの革命は毎日の食事に潜んでいるかもしれない」と教えてくれるものばかりです。
音効炒飯
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「炒飯を作るゲーム用のコントローラーがある」そう言われたならば、大半の人は中華鍋かフライパンをコントローラーにしたのかな? と思いますよね。ところが『音効炒飯』で渡されたのは、なんとレジ袋。どういうことでしょうか? 思わず制作者に問いかけると「これがコントローラーです」と返ってきました。
戸惑いを隠せない中、「レジ袋をぐしゃぐしゃにした音を、マイクに聞かせて炒飯を作るゲームなんです」とゲームの説明を受けました。いや、そう言われても全然どういうゲームかわからないまま、レジ袋を握ったり丸めたりとリズミカルに音を出して行くと「好!」というマークが付いていきました。どうやらその数が多いほど、最終的な炒飯の質が上がるゲームのようです。
制作者にどんな意図でこのゲームを作ったのかをうかがうと、「レジ袋をくしゃくしゃにした音って、炒飯を炒める音に似ていますから」と答えてくれました。ゲームのこだわりはわざと質の悪いマイクを使った事だといいます。というのも、いいマイクだとノイズを消してしまうため、ノイズも録れるもののほうがゲームの目的として良いのだとか。
そう……ノイズをわざと発生させて遊ぶリズムゲーム、というのが『音効炒飯』の中身なのです。この後も何回か遊んだところ、やはりよくわからないままでしたが、なぜか面白かった後味が残る不思議な体験となりました。
ハイスピードヌードルアクション 湯切ノ頂
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ラーメン屋に行けば、厨房の奥で店主が麺の仕上げとして湯切りをしている姿をよく見ます。単にお湯を切っているだけなのですが、客の目から見て、そのアクションの勇ましさ、大胆さがラーメンの美味しさを引き立たせるようにも思えるでしょう。
『ハイスピードヌードルアクション 湯切ノ頂』はまさしくそんな、麺の仕上げを体験できる “湯切りコントローラー”によるゲームです。プレイヤーは制限時間の間、麺を落とさないようにして湯切り率100%を目指して、ひたすらお湯を切っていきます。
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最後にどんぶりへと麺を投げ込むことで完成させ、得点が発表されます。麺を落としてしまうと減点となるため、慎重な湯切りが必要。しかしゆっくり切っていると湯切り率が上がらないジレンマもあり、意外に何度もチャレンジしたくなるゲームに仕上がっています。何度か遊ぶうちに「ラーメン屋の店主はすごい」という気持ちになりました。
制作者によればなんと必殺技まで実装。茹で上がった麺を上空から一気に振り降ろし、湯切りする “天空落とし”という技があります。成功させると一瞬で湯切り率100%を達成し、高得点を獲得できるのです。
天空落としは有名ラーメン店「中村屋」の名物となっている技術ですが、当初、制作者側は特に許可は取らずに入れた仕様だったそうです。ところがネットなどで話題となり、中村屋も本作の存在を知ることになります。その後、必殺技は中村屋公認となったとのことです。
ちなみに本作はテレビ番組「タモリ倶楽部」でも紹介されたとのこと。会場では取り上げられた番組も公開されており、元AKB48の山本彩さんなども湯切りを体験している様子も見られました。有名ラーメン店にテレビ番組……ラーメンのもたらす力が本作を様々な繋がりを生んでいるのかもしれません。
Shake It Up!
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子供のころはよくコーラの缶をめちゃくちゃに振り、蓋を開けたときに爆発させたものです。そんな頃を思い出させるゲームが『Shake It Up!』。炭酸の缶を振るアクションを中心としたパーティゲームです。
主なゲームプレイは、缶を振る人が一定時間振り、机に置いたものを、誰がタイミングよく取るかを競い合う早押しに似たルールとなっています。成功すればモニターには穏やかな画面が映りますが、失敗すると爆発画面になるという、なぜか爆弾処理的な緊張感に満ちています。これも子供のころ、コーラ缶を振りまくって爆弾のように変えた記憶を呼び起こさせるゲームだといえるでしょう。
日常で見かけたものもコントローラーのアイディアだ!
毎日を過ごす中で、私たちは多くのことをやっていますよね。通勤や通学、洗濯や掃除と言った雑務、時には趣味のアウトドアなどなど……ここではそれも新しいコントローラーのアイディアになるようです。ここではそんな日常が題材となったコントローラーを紹介します。
がんばれ!桃太郎のおばあさん!
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全自動洗濯機があたりまえの時代に反旗を翻すかのように、会場内で存在感を放った洗濯板のコントローラー。もはや「その身体つきは洗濯板みたいだね」みたいな比喩でしか見ることがないものですが、いったいどんなゲームコントローラーになっているのでしょうか?
舞台は川。世界観はどうやら「桃太郎」の冒頭。おばあさんが洗濯をしている……ここまでなら「なるほど、洗濯シミュレーターか」と思います。違いました。向こう岸から鬼が爆弾を持って襲い掛かってくるのです。
これはまずい! どうすればいいんだ! そこで洗濯板コントローラーの表面をひと拭きすると、川の水を鬼にかけます。数回ほど水を掛けると鬼は撃退できます。どうやら肌が弱いのでしょう。でも爆弾が投げ込まれてきます! そこで洗濯板コントローラーを立てると、なんと盾となって跳ね返り、鬼に当たり爆発します。水での撃退と落差がありすぎないでしょうか?
制作者に開発の背景をうかがうと、もともと何らかの生活の動作を入れることをテーマとしていたそうで、その目的にはゲーミフィケーションという考えがあるといいます。
「ゲームにすることで、生活の質を上げられれば」というテーマで、本作の他にも「肩たたきをリズムゲームにする」ことから、「心肺蘇生をゲームの要素を混ぜることで覚えやすくする」というシリアスなものまで、様々なプロジェクトに関わっているそうです。洗濯板バトルを考えると、なかなか真面目なアプローチも垣間見えました。
近未来釣り体験 フィッシング+
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やはりゲームコントローラーとしてわかりやすいものと言えば釣りですよね。今回のイベントでも、ひとつだけ釣りのゲームがありました。
ところがこちらは『近未来釣り体験 フィッシング+』と名乗るように、釣りをする場所はなんと2050年の海岸。釣るものも魚ではありません。ペットボトルやレジ袋といったゴミの数々……そう、ここはゴミによって汚染された未来の海なのです。
ひと通りゴミを釣り終わると、画面からは「現実のクーラーボックスを見てください」と指示が。よく見ると、すぐ側にクーラーボックスがあります。それを開けてみると……。
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なんと本物のゴミでいっぱいになっていました。「これは実際の海岸で見つけたゴミなんですよ」と制作者の方が教えてくれました。このゲームを通して、悪化していく環境について考えるきっかけになってほしいというのがコンセプトとのことです。“釣り ”というありふれた題材を切り口に、ゾッとする現実を目の当たりにさせる体験を生み出しています。
トランポリンを用いた体感ゲーム「飛翔」
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このイベントに出展されるゲームでは、トランポリンも単に飛び跳ねるだけのゲームにはなりません。『飛翔』ではトランポリンが一般的なコントローラーにおけるアナログスティックとボタンの役割を兼ねた体験を生み出していました。
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このゲームでは、プレイヤーは画面内の気球を動かして、星を取ることが目的になります。そしてその気球を動かすにはトランポリンの上を体重移動しなければならないのです。通常のアナログスティックスティックの操作はこんなふうにトランポリンに置き換えられるんだ! という感動がなくもありません。
星を取ったあと、画面には「飛べ!」と表示されます。プレイヤーは一定時間トランポリンの上をジャンプすることで、スコアを加算していきます。ここでの連続ジャンプは、さながらボタンの連打と同じ。高橋名人のような連打を全身で行うゲームプレイと言っていいでしょう。当然、相当の運動量になるので『飛翔』をプレイした人は軒並みゼエゼエと息を切らしていました。
ミエール博士と不思議な微生物
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会場の一角に白衣をまとった制作者たちが、来場者に顕微鏡を見ることを勧めてきます。その顕微鏡こそ『ミエール博士と不思議な微生物』のコントローラーなのです。本作では顕微鏡コントローラーを操作し、微生物を見つけて捕まえていきます。
「そもそもの顕微鏡でミクロなものを見るために、細かく操作することがゲームっぽいですよね」と制作者が説明してくれた通り、顕微鏡コントローラーにはレンズの倍率変更からプレパラートにまで、すべてセンサーが搭載されられてます。その出来の良さは、実際に微生物を見つけるゲームプレイにて発揮されていました。
レンズを拡大させ、プレパラートを動かして微生物を見つけ出し、捕まえていくゲームプレイはまさしく小学校で行った理科の実験のような手触り。微生物も親子連れの種類は捕まえる手順も必要など、ゲームの細やかな作りこみも光ります。