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2020年2月に事故で行方不明になっていたオクラホマ通信大学の生物素材研究チームが開発中の新型グラフィックボード「生きたグラフィックボード」ですが、中国をはじめとした世界各国に流れ着いていたことが海外メディアの報道によって明らかになりました。
本製品は、特殊な人工砂とシアノバクテリアで構成された有機グラフィックボードです。
人工砂は、加工の仕方で電流の強弱が変化する特殊な性質を持っており、そこに遺伝子操作を施したシアノバクテリアの生体鉱物形成作用が働くことによって、複雑な構造のグラフィックボードがまるで貝殻のように作られていきます。
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開発初期段階では、グラフィックボードとしての性能は劣悪でゲームを動かすことは困難でした。しかし、キズやヒビを治癒していく自己修復能力、従来製品の5倍以上の寿命、そして特定の条件が揃うと繁殖していく驚異的な機能が、lGN Jaqanをはじめとしたゲームメディアで大きく取り上げられていました。
Game*Sparkが当時掲載した記事には、「“昔ってグラボ買ってたんですか?”って時代がくるんだろうな」「勝手に増えたグラボって保健所で処分してくれるの?」「今グラボを買うのは時期が悪い」などのコメントが寄せられています。
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さらに、2019年11月に行われたプレスカンファレンスでは、研究のチームリーダーであるマーカス・T・ヨシダ博士が「今では初代『DO0M』が動作できるようになりましたが、来年の春には『スカイソム』を最高環境で動作できるようにします。3年後には商品化して、ゲーム業界に革新をもたらします」と世界中のゲーマーの期待感を煽っていました。
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しかし、2020年2月、研究チームが海で本製品の養殖実験をしていたところ、突如ジンベエザメが乱入。本製品を囲っていた養殖網を食いちぎってしまいます。
ジンベエザメが存在する海域で散り散りになったグラフィックボードを回収するのは困難で、さらに当時は天候が不安定なこともあり、回収できたのは全体の3分の1である451体。他は行方不明になってしまいます。一部はジンベエザメの胃袋の中にも入ったそうです。
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そして2020年3月29日、上海のビーチでグラフィックボードらしき物体が多数漂着しているというニュースが流れてきました。現地メディアによるとその数はおよそ5万体。報道をきいたマーカス博士が中国に駆けつけ調べたところ、流出した「生きたグラフィックボード」であると判明しました。
しかし、時既に遅し。漂着したグラフィックボードのほとんどは現地の人々によって回収され、PCに組み込まれインターネット通販サイトで販売されてしまいます。マーカス博士は、「あんな試作品じゃゲームなんてろくに動作しないだろう」とたかをくくりましたが、そのPCは、なんと『コール オフ デューディ ウオーゾーン』をはじめとした最新ゲームが快適に動作できたそうです。
これについてマーカス博士は「不運な事故によって海に放流されてから、わずか1ヶ月の期間、私のグラフィックボードは野生化し、厳しい自然界の中で生き残るために自らを進化させていったのか。いや、それともジンベエザメの胃の中で突然変異を起こしたのか……まったくの専門外なので本当にわからない。とりあえず専門家を探し調査を依頼しようと思う」と困惑した顔でコメントしています。
なお、ベトナムやマレーシア、シンガポールでもグラフィックボードらしきものが流れ着いており、中国同様に現地居住者に回収されPCに組み込まれています。海に行けば気軽に手が入るため、アジアを中心にグラフィックボードの相場は下がり続けているのが現状です。
また、現在では、「生きたグラフィックボード」は大半のPCゲームが最高環境で動作できる性能を有していることもあり、養殖ビジネスを始めた業者も少なくありません。しかし、自然界の厳しさに曝さないと性能が向上しないことがわかり、苦心しているようです。
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独自に進化して驚異的な繁殖力を有する「生きたグラフィックボード」について、社会学者のフィル・ミケルソン氏は、「今回の件はグラフィックボードの相場が急落しただけではなく、世界各地の生態系を破壊し得る新たな環境問題として人類を悩ませることになった。今後は科学技術の進歩に、人類全員が警戒し、監視しなければならない」と警鐘を鳴らしています。
専門家によると、この「生きたグラフィックボード」はすでに500万体存在すると言われており、来月には日本列島にも流れ着く予定です。
※UPDATE(2020/04/02 01:23):本記事は4月1日のエイプリルフールに用意した創作ニュースです。お知らせが遅れてしまい申し訳ありませんでした。昨年の昨年の“グラボの熱で新種生物”に続く、真ゲマ企画第2弾ということで、あわせてお楽しみください。