「宇宙人狼」などの愛称でも人気の『among us』。アメリカのゲームスタジオ「InnerSloth」が開発したこのマルチプレイタイトルはストリーマーの配信などをキッカケに日本でも大きなブームを巻き起こしており、ニンテンドースイッチ版も配信開始されるなど、まだまだ話題は付きません。
何と言ってもこのゲームの大きな特徴は、人狼的な役割となるインポスター(裏切り者)があまりにもアッサリとクルー(乗組員)をキルしてしまえること。無力なクルー達は、各自に課せられたタスクをこなしながら、議論を交わしてインポスターを排除していくことになります。
筆者も流行りに乗ってゲームをプレイしたり動画を観たりと『among us』経験値を貯めてきましたが、回数を重ねるに連れ感じたのは「インポスター、難しくない?」ということ。
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人狼ゲームのルールを考えれば少数派プレイヤー側が多少不利なのは当然と言えますが、全員がマップを覚えて仕様を理解すると中々クルーの目を盗んでの行動は難しく、あっと言う間に容疑を固められてしまいます。
そこで今回はすっかり宇宙での共同生活に慣れきってしまった皆さんとまだまだ刺激的な『among us』を楽しむべく、ゲームのバランス調整や縛りプレイを考えます。
ゲーム内設定での難易度調整
まずは基本中の基本、誰でも可能な難易度調整はゲーム内の設定から。それはもうやってるよ!という方も多いはずですが、改めてベーシックな所を確認していきましょう。
■視界は狭く、心は広く
プレイヤーが見通せる範囲、つまり視界は設定で変更できます。初期設定の段階でもクルーよりインポスターの方が視界は広くなっていますが、クルーによる「見回り・見張り」行動の難易度を上げるためにクルーのビジョンを「0.75倍」に絞るのが一般的かつオススメな設定です。
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視界を狭めることでメンバーの位置確認が難しくなり、議論の際にインポスターがしれっと紛れ込む上で便利です。逆に、不自然なまでにメンバーの立ち位置を把握できているプレイヤーは、もしかしたら視界が広いインポスターなのかも知れません。
■タスクを増やすか、ビジュアルタスクを消すか
クルーの勝利条件は「全てのインポスターを排除する」か「全てのタスクを終了させる」こと。タスクが増えれば必然的にクルーのリソースを推理から逸らすことが出来るので、あまりにあっさりゲームが終わってしまう場合はタスクを初期設定から増やすと良いでしょう。
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また、実行時に特別なエフェクトが発生する「ビジュアルタスク」はクルーだけの特権であり、他のメンバーに目撃してもらうことで確実に身の潔白を証明できます。
ただ、通常の人狼ゲームと違ってテンポが速く誰をキルするか自由に選ぶタイミングのない『among us』では、いわゆる「確白」は非常に強力。消去法でのインポスター絞り込みを好まないのであれば、ビジュアルタスクはオフに設定されるのがおすすめです。
■議論は投票や時間の設定でインポスターにも有利を
インポスターが排除される唯一の手段である「議論」にも色々と手を加えることができちゃいます。
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定番は排除されたプレイヤーの身分が明かされる「投票結果の確認」をオフにしつつ、誰による投票かをプレイヤーカラーで表示しない「匿名投票」設定のオン。残りのインポスター人数を誤魔化しながら、上手い具合にクルー側にまぎれて「票合わせ」で人数を削ることが出来ます。
議論そのものの時間を調整することで会話バトルをどれだけ楽しむかも変わってきますが、あまりに長くし過ぎて既に死亡してしまったメンバーが退屈しないよう、気を配りたいですね。
他にもインポスターを有利にする設定では、キル行動後に次のキルが可能になるまでのクールタイムを短くすることが一般的。ただし、複数人インポスターのルールであまりにクールタイムを短くすると連続キルが大きな影響力を持ちますので、そこは留意しておきましょう。
第三の勢力で駆け引きアップ!
人狼ゲームと言えば、村人でも狼でもない第三勢力の存在も定番です。ゲーム内の基本ルールでは陣営はクルーかインポスターに限られますが、仲間内でのプレイであれば全員協力してオリジナルの役職を追加しても面白いのではないでしょうか。
オリジナル役職でよく知られているのは「会議で追放されること」が勝利条件となる、通称「てるてる」。『among us』PC版にはこのルールで遊べるMODが有志によって公開されていますが、導入によって発生するトラブルについては自己責任であることをご注意くださいね。
人狼ゲームでも「てるてる坊主」などの役割名で登場することも多い「吊られるが勝ち」の陣営。しかし本ルールでは追放された時点で独り勝ちとなるので、クルーは「疑わしきは追放」というローラー戦術を取りづらく、インポスターも「適当に罪をなすりつけちゃえ」とはなりません。
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対する独りきりの陣営は吊られずにゲームが終わってもインポスターにキルされても敗北となるため、適度に疑われる立ち回りが必要になってきます。極端に孤立を拒む割に試合を長引かせる人は第三勢力を疑いましょう。
これによってかなりプレイの感覚には変化が加わりますが、クルー側が対策しようとすると必然的に「全員で固まって最小の犠牲者でタスクを終わらせる」ことになるので、インポスターが楽になる訳ではありません。
なお、てるてるがインポスターになった場合は第三陣営としての効力は失うルールなので「みんなで疑ってかかった割にてるてる不在」なんてシチュエーションもあるのが面白そうですね。
オリジナルルールでやってみよう!
人狼系ゲームはプレイするメンバーの理解度やプレイスタイルによって大きく環境が変化するジャンルなので、完全に同じルールでプレイし続けることがベストな選択とは限りません。
ここからは、ゲーム内の機能に頼らない所謂「縛りルール」でのオリジナルなバランス調整を研究してみたいと思います。
■カメラ・管理室や心電図はナシ!「テクノロジー」縛り
現在でも、特に少人数でのプレイ時に採用されているのがこのルール。現在プレイ可能なマップにはいずれも監視カメラや心電図など、離れた場所にいるプレイヤーの状況が把握できるギミックが存在しています。
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推理を進める上では各プレイヤーのアリバイ情報が欠かせませんが、あまりにこのカメラや管理室を張り付きでチェックすると人数によっては全員の居場所が丸わかりに。
全員が経験を積んだのならば、まずは真っ先にここから制限してみるのが良いのではないでしょうか。情報は自分の足で手に入れたものに限りますね。
■宇宙の会話は難しい!「議論ワード」縛り
続いての縛りは、やはりゲームの醍醐味である「議論」にちょっとしたスパイスを。会話系のゲームにありがちな「NGワード系」を設定してプレイに臨んでみましょう。
ゲーム内容に寄り添うなら「部屋の名前は言っちゃダメ」「投票呼びかけ禁止」などが真っ先に思い浮かびますが、顔なじみのメンバーでのプレイなら「あだ名禁止」や「ため口禁止」「標準語禁止」などのバラエティ系ルールでも成立しそうです。幾つかのルールから試合ごとに抽選して、慣れないようにするのも大事。
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ミスを即追放にすると誰も喋れなくなってしまう可能性もあるので、「1ミス×10秒間、議論後にその場に留まること」のようにゲーム内で罰を課していくというのも良いのではないでしょうか。
■文字通り紛れ込め!「カラーフィルター」縛り
兎にも角にも、このゲームでは味方を守るにも敵を探すにも「どの部屋で誰を見た!」という目撃情報が大きな価値を持っています。それならば、いっそのこと見づらくしてしまうのはどうだ?というのがこの縛り。
Windowsに標準搭載されている「カラーフィルター」機能でグレースケール画面にすることで、各クルーを色ではほぼ判別不可能な状態にしてしまいます。
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もちろん、ゲーム開始前にはアバターを調整してそれぞれ個性的な外見にして臨みましょう。プレイヤーは普段より真剣に画面の名前を凝視することになりますが、キルされて真っ二つになってしまった死体は被害者が増えるほど誰のものか判別不可能になっていくこと間違いなし。インポスターはとにかく嘘をつきまくれば案外押し通せるようになるかもしれません。
オリジナル役職も自分たち次第で何とでもなる!
ということで、今回は大人気の「宇宙人狼」こと『among us』の難易度調整を考察してみました。
色々とゲーム内でもイジる要素はありますが、ゲーム性のかなりの部分がプレイヤーに依存しているのでまだまだアイデア次第で楽しみ方は増えそうな予感がします。
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「第三勢力」のルールにしてもMODはPC版しか使用できませんが、「こっそりランダムにひとりを選び出す手段」と「全員の協力」さえあればスマートフォン版やスイッチ版でもオリジナルの役職を追加して遊ぶことは可能です。
人数制限もあるので「前の試合で一番活躍したと認定された人が次の試合でゲームマスターとして画面共有でルールを見守る」など、ローカルルールをドンドン発達させてみて下さい。
とは言っても筆者もまだまだクルーとしてもインポスターとしても初心者に毛が生えた程度の腕前。私が提案したルールが受け入れられずに追放されることも考えられますので、今後も快適に宇宙を旅するためにも皆さんのアイデアもお寄せ頂けますと幸いです。