■親友を差し出す決断は、国の命運を左右する事態へと発展──分岐により物語がうねり、大きく変化する『トライアングルストラテジー』

独自性の高いビジュアルや、歯応え満点のバトルも本作の魅力ですが、国家間の争いを端とする重みのあるドラマも見逃せないポイント。しかも、プレイヤーの行動次第で物語が分岐し、様々な展開が楽しめます。
戦乱の大地「ノゼリア」には、「聖ハイサンド大教国」と「エスフロント公国」、そして2国に挟まれている「グリンブルク王国」の三国があり、グリンブルク王国に属するウォルホート家の次期当主「セレノア」が本作の主人公。彼とその仲間たちが、ウォルホート家や王国を守るため、様々な決断と戦いを乗り越えていく姿が描かれていきます。

その決断の中には、苦渋を強いられる場合も少なくありません。先行体験版では、王国の第二王子であり、セレノアの親友でもある「ロラン」を公国に差し出す──といった分岐があり、厳しい世界の一端を早くも味わわせてくれました。
無論、差し出さない道を選ぶことも可能ですが、その場合は公国の大軍との戦いが待ち受けています。誰だって、親友を差し出すのは望みません。しかし、その想いだけで、ウォルホート家の存亡を懸けていいのか。悩ましい問題だけに、その答えはユーザーの間でも大きく分かれることでしょう。

今回プレイしたのは、第7話でロランを差し出す判断を下した分岐からの第8話。ロランの処刑が決まったところで体験版は終了しましたが、今回の先行プレイではその後の展開が語られます。
製品版で実際に遊ぶ時の楽しさを奪ってしまうので、物語の詳細については伏せますが、本作の大きな特徴のひとつである分岐が、ここから更にどのような広がりを見せてくれるのか。その点について、簡単ながら触れていきます。

とある事情から、ロランの処刑はしばし見送られることに。ですが、その理由は決して喜ばしい内容ではなく、弱者が強いられる状況が続きます。

そして、教国に属するソルスレイ率いる軍勢が、ウォルホート領に向けて挙兵。対する公国も兵を出し、三者が入り乱れる戦いが間近へと迫りました。

現状としては、主人公らは公国側に身を置いているので、公国の兵と共に教国と戦う立場。しかし、ロランの処遇などを踏まえると、このまま公国に従っていても未来があるとは思えません。

この難局に際し、「信念の天秤」による投票が始まります。このまま公国に従うか、教国と通じて反旗を翻すか。こうした命運を左右する分岐は、この「信念の天秤」を介して選択・決定します。

分岐の悩ましい点は、さきほど触れた第7話の展開も含め、「明らかにこっちの方が良い」という選択ではないところです。どちらにもメリットとデメリットがあり、いずれかを選択しても一抹の後悔や不安が残る絶妙なバランス。そのため、プレイヤーはもちろんですが、主要キャラクターたちもそれぞれ意見が分かれます。

こうした意見に耳を傾け、信念を持って説得するのが、本作における分岐のやり方。相手が納得できる考えを示し、時には事前に入手した情報も活用しながら、プレイヤーが考える意見に賛同してもらえるように促します。

この時の会話選択は特に重要で、安易な返答では相手の心に響きません。例えば、ロランの身を案じ、「一刻も早く助け出したい……」といった選択肢がありました。親友を思いやる心配りのように見えますが、この台詞を選んだところ、ロランを差し出した我々が考えていいことではないと一蹴。まさにぐぅの音も出ない指摘で、説得も当然失敗しました。

意見の交換が終われば、命運を定める投票を行い、その結果に従います。プレイヤーがどれほど望んでも、最終的には投票の結果に従わなければならないのも、本作のユニークな点。思い通りの道を歩むためには、説得力のある根回しが不可欠です。

今回のプレイでは、教国の手を借り、公国に刃を向ける道に決まりました。この決定が、ロランを救うのか。それとも永遠の別れを決定づけるのか。ひとつの決断が、新たに不確定な未来を生む──こうした連鎖もまた、『トライアングルストラテジー』の醍醐味なのでしょう。

第7話で「親友を引き渡すか否か」の選択を迫られ、続く第8話では「公国と教国のいずれにつくか」という厳しい判断が突きつけられます。物語が大きく変ずる選択が立て続いており、果たして物語全体でどれだけの分岐が用意されているのか。更なる広がりを見せるであろう物語と世界に、こちらの期待も大きく膨らむばかりです。

今回は、実際の体験を通して味わったプレイ感や、分岐によって物語が大きく変化する『トライアングルストラテジー』の特徴を新たな具体例と共にお伝えしました。こうした本作の魅力に惹かれた方は、今後の動向や発売日を楽しみにお待ちください。