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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2021年10月19日にPine StudioよりPC(Steam)向けに発売された『Escape Simulator』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Escape Simulator』とは
Pine Studioが手掛ける本作は、その名の通りいわゆる“脱出ゲーム”です。プレイヤーは密室の中にある手がかりを探したり、アイテムを組み合わせたりしながら、巧妙な謎を解いて密室から脱出することを目指します。
本作にはあらかじめ15種類の密室が用意されています。しかし、それをクリアして終わりではありません。内蔵されているエディターを使えば、プレイヤー自身が密室を設計して世界中のプレイヤーと共有することも可能です。もちろんその逆に、世界中のプレイヤーが作成した密室で遊ぶこともできます。密室の自作こそが本作の醍醐味であり、本編と言っても過言ではないでしょう。
本作は協力マルチプレイに対応しています。三人寄れば文殊の知恵という言葉の通り、一人では解けない謎もフレンドと協力して挑めば解決の糸口が見つかるかもしれません。なお、本作は日本語に対応しており、脱出の手がかりもしっかり日本語に翻訳されています。
『Escape Simulator』の実内容に迫る!
本作にあらかじめ用意されている15個の密室は、“エジプト迷宮”(古代遺跡)、“宇宙漂流”(宇宙船)、“エッジウッド邸”(洋館)という3種類のシチュエーションに分かれています。それぞれ5個ずつある密室は初めからすべて解放されており、好きなものから挑戦できます。
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しかし、一番最初は基本を理解するためにチュートリアルからプレイすることをお勧めします。チュートリアルは操作説明パートと密室脱出パートに分かれており、本番で必要となるノウハウを短時間で教えてくれます。操作方法は直感的で、覚えることは多くありません。移動以外はほとんどマウス操作だけで完結します。
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チュートリアル後半で登場する密室を簡単に紹介しましょう。プレイヤーは子供部屋らしき場所に閉じ込められています。なぜ、こんな場所に閉じ込められているのかは皆目見当がつきません。理由はどうあれ、そこに密室があるから脱出するのです。
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どうやら、この部屋から脱出するには鍵が必要です。しかし、周りを見渡してもそれらしきものはありません。部屋には所狭しとおもちゃが転がっており、そのほとんどは手に取ったり動かしたりすることができます。
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部屋の一角に三角形や四角形の積み木と、いかにもそれが収まりそうな穴が空いた箱を見つけました。クリックして積み木を手に取り、さらに箱も手に取って組み合わせてみます。残念ながら、なにも起きません。マウスドラッグで箱を回転してみますが、結果は同じです。箱はいったん諦め、他の場所を調べることにします。
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ベッドをよく調べると、枕が動かせます。マウスドラッグで枕をずらしたところ、その下から鍵が見つかりました。これが部屋から脱出するための鍵でしょうか。鍵を手に取り、部屋にある唯一の扉に使ってみます。チュートリアルといえども、さすがにそこまで甘くはありませんでした。そこで、次はこの鍵が使えそうなアイテムを探します。
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穴の空いた箱のそばで車のおもちゃを見つけました。車体の上部にはなにかが差し込めそうな穴が空いています。いかにも怪しいこの車を手に取り、枕の下で見つけた鍵を差し込みます。予想は見事に当たり、車のドアが開いて中から別の鍵が出てきました。
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今度こそ本物の扉の鍵です。鍵が回転して扉が開き、ようやく脱出に成功しました。
ここまでがチュートリアルです。本番ではさらに謎が複雑に絡み合い、一筋縄では脱出できなくなります。
本格的な謎解きに挑戦
いよいよ本番の脱出に挑戦です。作品の性質上、あらかじめ謎の答えを知っているとプレイする際の面白さが半減します。すべての謎は紹介しませんが、自力で謎に挑戦したい方は次の章まで読み飛ばしてください。
次に挑戦するのは“エジプト迷宮”の最初の部屋です。狭い部屋の三方には扉が、一方には謎のダイヤルが存在します。当然ながら、最初はどの扉も開きません。
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この部屋には数々の謎が隠されていますが、ここでは連続した謎を一つだけ紹介します。それはこの謎のダイヤルです。
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部屋の中にはスーツケースがありました。主人公の持ち物でしょうか。中を開けると、エジプト学の本に双眼鏡、虫眼鏡、ブラシ、コテといった考古学に必要な道具が入っています。まずは一つずつ手に取り、詳しく調べてみましょう。
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エジプト学の本を開くと、エジプト数字の読み方が書いてありました。なにかのヒントでしょうか。このような情報は画面の好きな場所に固定して、他の謎を解くときの参考にできます。いちいち手動でメモを取る必要はありません。
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他の道具に変わったところはありませんでした。次はダイヤルの周りを調べましょう。足元に目を移すと、なにやら砂をかぶった箱が置いてあります。いかにも怪しいので、先ほど手に入れたブラシで砂を落としてみます。
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砂の下からなにかの模様が浮かび上がりました。どこかで見たことがありますね。本に書いてあったエジプト数字でしょうか。
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さっそく本を参考にして数字を読み解くと、どうやら“3426”を表しているようです。
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ここまで来ればあと少しです。例のダイヤルは横に4個並んでおり、各面にはサイコロの目のような点が描かれています。4個のダイヤルが4桁の数に対応していて、点の数が各桁の数字を表すとしたら……。
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ビンゴです。ダイヤルを左から3、4、2、6の順番にセットしたところ、蓋が開いて中から鍵が出てきました。これでようやく謎が一つ解けました。
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このような形で謎解きが進行していきます。最初に述べたように、これはエジプト迷宮の“最初の部屋”に仕掛けられた謎の一つに過ぎません。他にもさらに難易度の高い謎がいくつも用意されています。
密室を作ってみよう!
本作には密室を自作するためのエディターが内蔵されています。エディターはSteamワークショップに対応しており、自作した密室を公開して世界中のプレイヤーに遊んでもらうことができます。その逆に、誰かが作った密室に挑戦することもできます。
ここではまず始めに筆者が作成した密室を紹介し、次にその作成過程を説明します。
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部屋の中には様々な調度品が存在し、テーブル中央にあるティーポットの脇には“Drink me”(私を飲んで)と書かれたメモが置かれています。反対側の壁には小さな扉。例によって鍵がかかっていて開きません。
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ティーポットを手に取るとその下から金の鍵が現れます。鍵を小さな扉の鍵穴に入れると扉が開いて脱出成功です。残念ながら、体が縮んだりはしません。脱出ゲームと呼ぶにはあまりに簡単な密室ですが、例としては十分でしょう。
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次に、制作過程を説明していきます。まず、あらかじめ用意されたオブジェクト一覧から扉を選び、壁沿いに配置します。縮尺を変えて、見た目を小さくしました。
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鍵穴にオブジェクトを差し込むための“スロット”を配置し、さらに鍵と関連付けます。これで、鍵を鍵穴に差し込めるようになります。
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鍵をテーブルの上に移動したあと、上にティーポットを載せて隠します。さらにその脇に白紙のメモを置いて、エディターに付属しているお絵かき機能でヒントを手書きしました。
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最後に、鍵が鍵穴に入った時点で脱出とみなされるように設定し、その他の調度品を配置しました。実際に脱出できるかテストプレイして、おかしな挙動を修正すれば完成です。簡単そうに見えるかもしれませんが、実はわずかこれだけの密室を作るのに、試行錯誤も含めて1時間半掛かっています。
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部屋に配置したオブジェクトには細かいプロパティ(属性)が設定できます。基本的なプロパティには座標、回転、拡大率、物理特性、当たり判定、親子関係、テクスチャがあり、この他に特定の条件下で実行される挙動を指定することも可能です。
このようにエディターは非常に強力で、細かいところまで作り込むことができます。しかし、大きな弱点もあります。記事執筆時点ではチュートリアルや説明書がまったく存在しないため、最初はかなりの試行錯誤を余儀なくされるでしょう。また、エディターの一部はまだ日本語に翻訳されていませんでした。
フレンドと協力マルチプレイ
本作には協力マルチプレイモードもあります。マルチプレイは専用の部屋を作成して行う形式で、ランダムマッチングはありません。ボイスチャット機能もないので、ゲームとは別にボイスチャットツールを併用する必要があります。また、簡単なアバターカスタマイズ機能が用意されています。
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マルチプレイ中は複数のプレイヤーが同時に同じアイテムを調べたり、操作したりできます。誰かが手に持ったアイテムを皆で調べながら、ああでもない、こうでもないと議論するのは新鮮で楽しい経験でした。
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また、一人では行き詰まってしまう難解な謎も、皆で挑戦すれば解決の糸口が見つかります。一方、複数人で手分けして別々に謎を解いていると、どこまで最終目標に近づいたのか全体像がわかりづらい場面もありました。ボイスチャットを利用して、常に連携を取りながら謎解きを進めるのがお勧めです。
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自作した密室もワークショップに公開すればマルチプレイに利用できます。自分の作った密室から出られずに悩むフレンドを、同じ空間で見守ることも可能です。なお、記事執筆時点では自作の密室は不特定多数に向けての公開となり、フレンドだけに公開することはできませんでした。
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脱出ゲームが無限に楽しめる作品
本作は密室からの脱出が無限に楽しめる可能性を持ったゲームです。あらかじめ用意された謎を解くだけでなく、密室を自作し、世界中のプレイヤーと共有できるのが最大の魅力です。
一方で、記事執筆時点では自作のための環境が十分に整っているとは言えず、本格的な密室を作るにはある程度の試行錯誤と慣れが必要です。他のプレイヤーが作った密室で遊ぶこと自体は難しくありませんので、腕に覚えのない方はワークショップで面白い作品を探すことから始めるのが良いでしょう。
脱出ゲームが好きな方、脱出ゲームを作りたい方、皆で謎解きがしたい方にお勧めです。
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2021年10月19日
記事執筆時の著者プレイ時間:4時間
価格:1,520円(10月27日までは10%オフの1,368円)