Nightdive Studiosが開発を手掛け、Prime Matterから5月30日に発売されるサイバーパンクFPS『System Shock』リメイク版。1994年に発売されたオリジナル版の雰囲気やゲーム性をそのままに操作性やインターフェース、音声などを改善したフルリメイク作品です。Kickstarterキャンペーンの開始からは7年近く経過しており、発売を待ちわびていたというファンの方も少なくないのではないでしょうか。
ちなみに、商業的にはそこまでの大ヒットではなかったものの、高い評価を得ただけでなく後のFPSにも多大な影響を与えたとされる本作ですが、残念ながら筆者にはオリジナル版のプレイ経験がなく、両者を比較したレポートをお届けすることは叶いません。とはいえ、オリジナル版未経験者としての視点から本作の冒頭数時間のプレイ体験をまとめていくため、同じくオリジナル版未経験という方はもちろん、オリジナル版プレイ済みの方も是非最後までお付き合いください!なお、執筆にあたってはSteam版をプレイしています。
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「SHODAN」の倫理プロテクトを解除せよ!
ニューゲームで開始するとまずは難易度選択画面が現れます。ここでは、戦闘、ミッション、サイバー、パズルの4項目について3段階から難易度を設定できる模様。どの程度の難しさなのかが分からないのでここは全て2に設定して進めてみることにします。
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難易度選択を終えるといよいよゲームがスタートします。サイバーパンクな雰囲気街をカメラが駆け抜けていき、集合住宅のような場所に立つ男へと視点が切り替わりました。操作できるようになったので部屋を駆け回りながらあちこち調べてみることに。大抵のものは右クリックをすれば反応してくれるようです。
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シダテル・ステーションなる宇宙基地で人材募集が行われているという放送を聞きながらパソコンに触れてみると、何かのダウンロードを試みているような画面が。と、次の瞬間には武装した部隊が部屋に突入!何事かと呆気にとられているうちに拘束されてしまいました。
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どうやら主人公は何かを盗もうとしていたハッカーのようで、拘束された状態でエドワード・ディエゴという人物から解放と引き換えに依頼を持ち掛けられました。依頼の内容は、ステーションのAIである「SHODAN」の倫理プロテクトを解除するというもの。取引に応じた主人公でしたが、作業を終えるとすぐに眠らされてしまい......。
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目を覚ますとそこは薄暗い怪しげな場所。とりあえず周りを調べて武器となるパイプやUI表示に必要な周辺機器を取得していきます。そうこうしていると無線の内容からこの場所はシダテル・ステーションで、「SHODAN」に問題が発生しているらしいということが分かってきました。
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怪しげな人物の言いなりになって倫理プロテクトを解除したせいでは…...?という疑念が浮かばなくもないですが、事態を収拾すべく動き出した主人公。辺りを捜索すると暴走したロボットに襲われたであろう人々が倒れており、ただ事では無さそうです。
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探索を続けているとキーパッドのついた扉を発見。パスワードが必要なようなので手がかりを探しているとそれらしきメモを発見しました。本作ではこのように断片的なメモや無線、オーディオログなどでステーションで何が起きたのかが語られていきます。
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入手したパスワードで無事に扉を突破すると......扉の奥からミュータントが出現!服らしき残骸をまとっている所を見るとステーション乗組員の成れの果てなのでしょうか。有無を言わせず襲い掛かってきたのでパイプで反撃。倒した後はアイテムを漁ることができます。
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その後、「SHODAN」からの無線が。ここから「SHODAN」を止めるための手がかりと他の階層への移動手段を求めて本格的に探索を進めていくことになります。
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探索の流れ
さて、ここからは序盤のエリア探索がどのように進行していくのかについてお伝えします。基本的に階層ごとに探索を進めていくことになりますが、1つの階層だけでも広さはかなりのもの。また、立体的に入り組んだ構造をしている場所も多く、マップはその場所に向かわないことには表示されないので、最初は勘を頼りに好きな方角に進んでいきましょう。
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探索を進めていると開かない扉など進めない場所に遭遇することもしばしば。キーパッドやパズルなどが周辺にあることもありますが、キーカードをどこかで拾ってこないといけない扉もあります。どのキーカードでどこの扉が開くかはマップを見ただけでは分からないので、記憶しておかないと全ての扉を回るはめになることも……。場合によってはメモを残しながらプレイした方がいざという時に困らずに済むかもしれません。
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メモやオーディオログはストーリーを知ることができるだけではなく、探索のヒントが得られることもあるので見つけたら積極的に拾っていきましょう。また、特に使い道がないジャンクアイテムも分解してリサイクルに出すと、武器や回復アイテムの自販機で使えるコインと交換してもらえるので、インベントリに余裕があれば積極的に拾っておくと後々役立ちます。
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近接攻撃がメインである敵は、注意深く対峙すれば銃器を使わずともノーダメージで倒せるのですが、地雷を設置したり、ガスをまいたり、飛び道具で攻撃したりしてくる敵はかなり厄介です。探索で手に入る回復アイテムの数が少な目だった印象もあり、油断するとあっさりやられてしまうことも少なくありません。筆者の設定した難易度では、死んでしまうと最後にセーブした状態に戻されてしまうため、数十分のプレイが水の泡になってしまうことも......。幸いワンボタンでクイックセーブが可能なため、それを把握した後は頻繁にセーブしながら進めていました。
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なお、セーブ問題は探索を進めていると改善されます。蘇生ベイを発見し起動しておくと、死んだ場合もセーブデータが巻き戻ることなく蘇生ベイから再開することができました。とはいえ、何度も倒されて蘇生ベイから復活を繰り返していると、弾薬や回復アイテムなどのリソースが不足してしまうので、手動セーブも活用しながら進めていきましょう。
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最後に、探索中に遭遇する大きな要素であるサイバースペースを紹介しましょう。サイバースペースとは、エリア内に存在するターミナルから侵入できる仮想世界で、現実世界で通れない場所のロックを解除することなどが目的です。いかにもサイバー空間といえる派手な演出が特徴で、襲い掛かってくる幾何学的な敵を倒しながら進めていくのですが、上下の区別なく完全に全方位を向くことができるので、どこを向いているのかが分からなくなり迷ってしまうこともしばしば。また、体質によっては3D酔いしてしまう可能性も考えられるので、注意して挑みましょう。
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終わりに
一部の文章が改行のミスで見切れてしまっている、文字が小さすぎて読みづらいことが多いなどのローカライズ上の問題に加え、1日プレイしなかっただけで道に迷ってしまうほど複雑なエリアや、小さなスイッチやキーカードなどを1つ見落としただけで進めなくなりノーヒントで探し回ることになるマップ構成など、気になった点もいくつかあります。
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とはいえ、ローカライズの問題以外はオリジナル版に忠実であろうとした結果であると思われるので、そう考えると当時プレイできなかった筆者のようなプレイヤーに再体験の機会を与えてくれる作品であるともいえます。実際、あちこち歩き回った末に先に進む方法を理解できたときの達成感は相当なものでした。
昨今のゲームではあまり見られない不便さを多く持ち合わせていますが、その分魅力も強く感じられます。ストレスを排したゲームで溢れる今だからこそ、そのような体験をしてみたいというプレイヤーには強くおすすめできる作品です。
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スパくんのひとこと
令和に現れた硬派なゲーム!苦労の先にはここでしか味わえない達成感が待ってるスパ!
タイトル:『System Shock』
対応機種:PC(Steam/GOG.com/Epic Gamesストア)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2023年5月30日
著者プレイ時間:5時間
価格:4,999円/39.99ドル