SCP財団公式twitterは、近日中にSCP-173の画像を削除することを発表しました。
今回の発表に至った経緯については、クリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0下でのライセンスにおいて元から微妙な立場にあったSCP-173が、大本の画像である日本人アーティスト加藤泉氏の作品「Untitled 2004」が持つ独自の意味やビジョンを上書きしてしまっていることや、加藤氏からの「商業利用しない限りの使用許諾」から逸脱し、SCP-173により利益を得ようとする人々の増加などを理由として挙げました。
そして、そのような現状から加藤氏の作品を切り離すよう努力する道義的・法的義務が財団にあり、また加藤氏から撤去の要請があったのではなくクリエイティブ・コモンズの精神に則っての自主的な決定であるとも説明しています。
SCP-173の作者Moto42氏の「公式のSCP-173が存在するのではなく、皆がSCP-173の姿を想像してほしい」という意向を汲み、SCP-173の画像を差し替える予定は現時点では無く、またその意向に沿ってSCP-173のイメージを再想像するためのアートコラボギャラリーを作るイベントを開催しています。
既にゲームに登場してしまっているSCP-173のこれからは?
SCPを題材にしたゲームは数多くあり(それらの殆どはもちろん無料で配信されています)、当然それらにはSCP-173が登場する作品も多数あります。今回の決定により、既に公開されているSCP題材ゲームの開発者も、SCP-173のデザイン変更のアップデートを行う必要に迫られるのでしょうか?ひとまず様々な登場タイトルを振り返ってみましょう。
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『SCP-Containment Breach』は2012年というかなり早い段階で制作されたためSCP-173の見た目はアレンジを加えずそのまま使われており、そのマルチプレイヤーバージョンの『SCP: Containment Breach Multiplayer』でも同様です。
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またitch.ioでは『SCP: The Round Table』や『SCP-Area 19』といった作品で、アレンジなしのSCP-173が登場します。
もちろん、SCP-173に関わる問題は長らく指摘され続けていただけに、見た目にアレンジを加えて登場させている作品も多数あります。『SCP: Escape Together』ではシンプルな人形風のデザインで登場し、『SCP: Nukalypse』では着崩れしたきぐるみのようなアレンジが加えられ、また『SCP: Secret Laboratory』では目や全体の色といった記号はしっかり残しつつ、異形の怪物らしさを強調した姿となっています。
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そして変わり種として『SCP: Doki Doki Anomaly』では、美少女化したSCP-173の姿が確認できます。見た目やジャンルといったインパクトも含め、色々と判断に困る所が多いですが……。
数多くのゲームに多大な影響を与えてきたSCPの代表とも言えるSCP-173に関する財団の大きな決断が、これからのSCPやそのフォロワー作品にどのような影響を与えるのかは未知数です。ひとまずは、これからのコミュニティによる再想像などの展開を瞬きせずに見守りたいと思います。