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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”をモットーに、ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」。
今回はMoonlit S.A., Kuba Wójcikが開発を、Green Man Gaming Publishingがパブリッシャーを担い、2022年2月9日(日本時間)にリリースされたプラモデル制作シミュレーター『Model Builder』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Model Builder』とは?
本作は様々なプラモデルをPC上で組み立てることができるプラモデル制作シミュレーター。プレイヤーはランナーからのパーツ切り出しや筆やエラブラシを使っての塗装などができるほか、デカールの貼り付けや写真撮影も可能。シミュレーター系のゲームながら、プラモを作ることでストーリーを進めていくキャンペーンモードや、模型をショーケースに飾る要素もあるようです。
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実は筆者は10年以上、本作で主に取り扱われるようないわゆる「スケールモデル」を中心にプラモデルを作り続け、今では複数の模型雑誌から依頼を受けて作例も担当する熱狂的なプラモデルファン。直近ではGame*Sparkでも、3Dプリンタで『Escape from Tarkov』のフィギュアを作ってみたりもしました。(編注:専門誌の作例を依頼で作る人は一般的には「プロモデラー」ですねハイ。なお、『EFT』フィギュアの塗装記事も近日公開予定です)
そんなプラモデルファンが、「プロであれ、絶対にはまります!」をストアページで謳った『Model Builder』をプレイしてみてどう感じたのか……ゲームプレイの様子を早速紹介していきましょう!
随所から感じられる開発者の「プラモ愛」
ゲームを開始すると地下に作られた自室が表示されます。自室からはプラモ制作が開始できる作業台や完成品を並べるショーケース、写真撮影ができるブースなど、様々な機能にアクセスできます。本項ではキャンペーンモードを進めていくので、チュートリアルに従って作業台に向かいます。
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プラモデルの制作に欠かせない作業台。ゲームの机はすごく綺麗で、まさにプラモデルファンの理想の机です。
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綺麗さはともかく、筆者の制作環境と塗料や道具、パソコンの配置が似ていてシンパシーを感じます。
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机を詳しく見ると塗料は現実の製品を基にしていることが分かります。筆者が使っている塗料にそっくりな物も。
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さらに良く見ると「AK」の文字が。これはきっと「AK interactive」という有名な模型用品メーカーの塗料ですね。
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まだまだ机が気になるところですが、まずはチュートリアル通りにキットを選び。
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箱を開け、組み立てに入りましょう。何と最初のキットは「HIRAKAWA」という架空の日本製キット。日本製プラモデルの多くは、初心者から熟練者まで世界中の幅広いモデラーに愛される存在であり、チュートリアルに最適なチョイスでしょう。「HIRAKAWA」という名は1941年創業の実在する老舗模型企業「HASEGAWA」を想起させます。
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組み立ては非常に簡略化されているものの、雰囲気があります。ナイフでランナーから切り離し、説明書を読んで組み立てる。というプラモデル制作の基本が詰まっています。
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ただし、本作では(スケールモデルでは使用せざるを得ないことが多い)接着剤やヤスリを使用した加工はオミットされており、切り出した部品を立体パズルのように組み合わせていく方式になっています。
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同様に、キット自体の造形の改造によるディテールの追加は行えません。現実同様にエッチングパーツ(プラスチックでは表現できない細かな表現を行うための金属パーツ)やパテを使用しての改造のほか、バリ取りやモールドの掘り直し、といった表面処理もしたかったところですが、わざわざゲームの中でまで苦行を背負う必要はないかもしれません……。
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サクサクと組んでいき。チュートリアルは完了。
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完成したプラモデルはショーケースに飾ることもできます。
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キャンペーンモードでは展示会や制作依頼を受けながら、モデラーであった祖父の足跡をたどっていきます。日本語のフォントに抜けがあるのか漢字が稀に表示されなかったりしますが、翻訳の質自体は高い印象でした。
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キャンペーンモードでは獲得した賞金や報酬で道具をそろえていくのも重要です。
塗装をしよう!
さて、ここからはプラモデルの醍醐味である塗装に入っていきましょう。以下からはキャンペーンモードを離れ、「サンドボックス」という全ての道具が解放された状態で進めていきます。
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制作するのは米軍のジープ。
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組み立てつつ、説明書に従って塗装していきます。説明書の塗料マークをクリックすると自動で塗料を選択してくれ、ストレスフリーで塗ることができました。もちろん、自分の思い通りの色に塗っても問題ありません。
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パーツごと、細部ごとに細かくベタ塗りすることができ、意外と手間はかかりませんでした。
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簡素化されたキット本体の組み立てや改造とは異なり、塗装工程では、凹部に塗料を染み込ませて立体感を強調しつつ汚しを行う「ウォッシング」や、塗料を凸部に擦り付けて強調する「ドライブラシ」といった内容を始めとした、基本的な汚し技法がゲーム内で楽しめます。
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今回、筆者は説明書通りにベタ塗りした後、エアブラシでカラーモジュレーション(面ごとにグラデーションを付け、立体感を強調しつつ、情報量を上げて絵画的な雰囲気を出す技法)に挑戦。思ったよりエアブラシを塗る範囲を大きくはできませんでしたが、まずは基本色より明るいハイライト色を薄く吹き。
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隅の方や車体の下部といった影になる箇所に暗い色を吹き、立体感を強調します。なんとなく雰囲気は出せたのではないでしょうか。
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汚しはスポンジで。残念ながらパステルやペースト系の汚し塗料はなさそうでした。筆者は実際のプラモデル制作では石膏と塗料を混ぜて泥を再現していたので、この点は少し残念です。
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デカールも貼り、ジープが完成しました!
写真を撮り、完成品を飾ろう!
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完成したら今度は、フォトブースにて写真の撮影です。昨今はSNS全盛期ということもあり、多くのモデラーがネット上にプラモデルの制作風景や完成したモデルの写真を投稿しています。写真撮影はプラモデル制作にとって重要なプロセスでもあるのです。
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背景や画角を変更しつつ自分だけの完成品を写真に残していきましょう。フェイスブックと連携すれば、ゲームから完成したプラモデルの画像をフェイスブック上に投稿できるようです。
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完成品を棚に入れ、角度を調整し、飾ります。ただ、今のところはショーケースの大きな範囲に1両しか飾れず、少し寂しい感じです。
まだまだ発展途上ではあるものの、プラモ制作の雰囲気を感じたい方にオススメ。
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本作はまだ作れるキットや塗料が少なく、発展途上である感は否めません。特に、塗料の混色が無く、使用できる色に限りがあるのには苦労しました。
ただ、本作をプレイしていると「あーこんな感じで作るなぁ」と感じさせる雰囲気が確かにあります。『Model Builder』を一言で表せば「知育的な面白さ」と表現できるでしょう。お菓子の中には、知育要素を含み、工程に従い様々な料理風の形状などをしたお菓子を組み立てるものがあります。それは本格的な料理ではもちろんありませんが、作る過程や料理を疑似的に楽しめるというものです。本作でのプラモデル制作も実際のプラモデルより大分カジュアルですが、パーツの切り出しや塗装など作っている雰囲気を楽しむことができました。
モデラーであった祖父の謎を追うストーリーなど、ゲームならではの要素も楽しめる本作。「プラモデルを作るのは怖いけど、プラモデル制作の雰囲気を感じたいなぁ」と思う方に是非プレイしてみて欲しいゲームです。
本作をプレイして、実際にプラモデルを作りたくなったら……
買いやすかったはずの有名アニメロボプラモは手に入らず、昨今人気の“KAWAIIを取り入れた”美少女プラモのたぐいは……というハードコアゲーマーの貴方!そうそこの貴方です!本作で多く取り上げている戦車や戦闘機、艦船といった「スケールモデル」全般は比較的難易度が高く、まさにハードコアゲーマー向けの歯ごたえあるジャンルです。(いやほんと、ゲームがきっかけでも、もっとスケールモデルに触ってくれる方が増えると嬉しいです)
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本作をプレイして「やっぱり本物のプラモデルに挑戦したい!」となったら、模型雑誌を読んでみるのがオススメです。いきなり我流で作ってもなかなか上手くいかないものですが、模型雑誌には様々な技法や道具の紹介、実際の歴史に基づく資料が紹介されています。手前味噌ですが、そんなスケモの世界に入門するならば「月刊モデルアート」がオススメ。筆者もかつてお世話になり、今では雑誌内で作品を作っています。
筆者は最新のモデルアート3月号ではオースチン装甲車の作例を担当しています。『Model Builder』をプレイしつつ、慣れてきたら現実のプラモデルも是非!
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2022年2月9日(日本時間)
記事執筆時の著者プレイ時間:3時間