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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2022年6月6日にWarGirl GamesよりPC(Steam)向けに発売された『私の小さな独裁者』(英題『My Little Dictator』)について生の内容をお届けしたいと思います。
『私の小さな独裁者』とは
WarGirl Gamesが手掛ける本作は、ブラックコメディと風刺に満ちたビジュアルノベルです。舞台となるのは第二次世界大戦。プレイヤーは大日本帝国をモチーフとするジパング国の士官「山本やまと」となり、歴史上の人物をモデルとする美少女たちと交流していきます。
本作の特徴は、単純に歴史上の人物を美少女に置き換えるだけでなく、当時の世界を政治・外交・軍事などの面からかなり本格的に描いていることです。ただし、舞台はあくまでも架空の世界。人名や国名はすべて現実世界とは別の名前に変更されています。例えば、ドイツは「ゲルマニア」に、アドルフ・ヒトラーは「アドロフィア・ヒトラ」にといった具合です。
歴史をネタにしたパロディやコメディも数多くちりばめられていて、第二次世界大戦の歴史に詳しい方なら元ネタを推測するだけでも楽しめるでしょう。
主人公のモチーフは日本人で、作品タイトルも日本語ですが、現在のところ日本語はサポートされていません。
『私の小さな独裁者』の実内容に迫る!
ゲームを開始すると、戦闘パートの難易度選択を経てプロローグが始まります。
舞台は北アフリカアのキラカナ地方にある砂漠地帯。ゲルマニア・アフリカア軍団の指揮官で狐の耳を持つ少女“エルヴィナ・ロンメル”は、ヤークトティーガリン駆逐戦車の上に立ち、迫り来る敵軍を待っていました。
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これまで幾度も戦ってきた宿敵ベン・モンティ率いるブリタニア・ネズミ軍の兵力はゲルマニア軍の3倍。機動力に定評のあるロンメルでも逃げ切れまいとモンティは自信満々です。
砂漠で激突した両者の戦闘は熾烈を極め、多くの兵士が命を落としました。包囲され、逃げることを諦めた様子のロンメルに、モンティは降伏を迫ります。
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しかし、「砂漠の狐」の異名を取るロンメルは諦めていませんでした。稜線に隠れていたゲルマニア軍の駆逐戦車がブリタニア軍を攻撃すると、混乱のすきを突いて包囲を突破します。
ゲルマニア軍のパンツィー戦車はブリタニア軍のチンチラ戦車を速度の差で振り切り、狼狽するモンティを尻目に地平線の彼方へと逃げ去りました。
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ロンメルの完全勝利かと思われましたが、モンティも負けてはいません。即座に追撃を命じると、ゲルマニア軍に追いつきます。ロンメルは味方が逃げる時間を稼ぐため、モンティに一対一の勝負を挑みました。
対峙するロンメルにモンティは言い放ちます。「逃げるがいい、小狐。いつものように狩ってやるぞ」ロンメルは涼しい顔で答えます。「狐はネズミから逃げたりしない。食われるのはネズミの方だ!」
二人の対決はまだ始まったばかりでした。
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プロローグの冒頭はこうして幕を閉じます。歴史に詳しい方はすでにお気づきかもしれません。紹介したプロローグは、北アフリカ戦線におけるドイツ軍とイギリス軍の戦いをモチーフにしています。登場人物のモデルは、実際に「砂漠の狐」と呼ばれたエルヴィン・ロンメルと、モンティの愛称で呼ばれたバーナード・モントゴメリーです。
このように、カタカナで表記した単語にはすべて元ネタがあります。読みやすくするためにカタカナを使いましたが、英語のままの方が元ネタを推測するのは簡単かもしれません。例えば、キラカナ(Cyracana)という地名は、現実世界のキレナイカ(Cyrenaica)が元ネタになっています。
『私の小さな独裁者』のシステムに迫る!
プロローグが終わると舞台はジパングの首都エドーに移ります。主人公の「山本やまと」は最前線で肩に銃創を負って入院していました。そこに思わぬ人物が現れ、人生が大きく変わり始めます。
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本作のストーリーは基本的に一本道です。筆者が序盤をプレイした範囲では、途中のシーンで時々「誰に話しかけるか」「なにを話すか」といった選択肢が出る程度で、どの選択肢を選んでも大きな違いはありません。ストーリー分岐が存在する可能性はありますが、序盤では確認できませんでした。
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本作には戦闘パートがあります。JRPGのようなターン制のコマンドバトル形式で、パーティのメンバーにそれぞれコマンドを指示して進行します。こちらも序盤ではイベント以外の戦闘が発生しなかったため、戦闘システムの詳細までは確認できませんでした。
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記事の冒頭でも紹介した通り、本作は歴史上の人物を単純に美少女に置き換えただけのビジュアルノベルではありません。舞台を架空世界に移し、パロディやコメディを交えてこそいますが、第二次世界大戦当時の世界を政治・外交・軍事などの面からかなり本格的に描いています。
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例えば、ヒトラーがモデルの美少女アドロフィア・ヒトラの演説シーンでは、ヒトラーの政治思想や演説手法までもが詳しく描写されます。また、当時の日本の軍事戦略や軍部の対立が描かれることもあります。もちろん、同盟や条約といった外交関係にも実際の歴史が反映されています。
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プロローグで紹介したように、フィクションとして描かれている部分も一見でたらめなようで、実はしっかりした元ネタがあることがほとんどです。名前こそ異なるものの、各国の地理や歴史は現実世界に準じて細かく設定されていますし、印象的なセリフを詳しく調べたら歴史的に有名なセリフのパロディだったこともあります。
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随所に歴史的な写真が挿入されるのも本作の特徴です。下の画像はジパングの歴史について説明しているシーンですが、どこかで見たことのある写真が使われています。同様に、歴史上の兵器や建造物の写真も数多く登場します。
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歴史描写に力を入れている本作ですが、シリアスな歴史の追体験ばかりが続くわけではありません。随所にコメディ要素がちりばめられていますし、豊富なBGMと軽妙な効果音が雰囲気を引き立てるのに一役買っています。もちろん、魅力的な美少女が登場するのは言うまでもありません。
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美少女だけでない本格派の第二次世界大戦ビジュアルノベル
本作は第二次世界大戦を舞台にした本格派のビジュアルノベルです。美少女が登場するのはもちろんのこと、舞台となっている架空世界は政治・外交・軍事などの面で現実の歴史を色濃く反映したものとなっています。
歴史を元ネタとした人名・地名の改変やパロディも多く、第二次世界大戦に詳しい方なら元ネタを推測するだけでも楽しめるでしょう。「ガールズ&パンツァー」や「ストライクウィッチーズ」といったアニメ作品が好きな方にもお勧めです。
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2022年6月6日
記事執筆時の著者プレイ時間:7時間
価格:2,050円