最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は、2022年7月13日にRockGameからリリースされたPC版(Steam)『Urbek City Builder』を紹介します。
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『Urbek City Builder』は開発をEstudios Kremlinoisが担当、ボクセルスタイルの都市づくりが楽しめる、見下ろし視点のシミュレーション・ストラテジーです。何もないMAPにプレイヤーが一から都市設計を行い、住民のためのライフラインを整えつつ拡大と発展をめざしていくスタイルで、類似作品としては『SimCity』シリーズや『Cities: Skylines』が挙げられます。
『Urbek City Builder』ならではの特徴は、既報の通り「お金の概念が無い」点です。利用できるのはMAP上の天然資源と労働力(=人口)など30種以上のリソースのみ。多くの都市経営シムに見られる「住民と企業からの税収」「近隣エリアとの貿易」といった経済の部分をスッパリそぎ落としており、もっと気軽に簡単に“映える理想の街づくり”に着手できるのが本作の長所と言えます。
操作性はシンプルで直感的、チュートリアルの出来はやや不満が残る
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新規でゲームを始める際はMAPサイズ・天然資源の量・河川の有無と大きさ・砂漠エリアの有無などを選択。慣れないうちは狭いエリアで練習を…と、MAP「Small」を選ぶとむしろ少ないリソースで綿密な都市計画が要求される高難易度に。1つ1つの設定項目で難易度にどの程度影響するのか、総合的なゲーム難易度を「Difficulty●●%」で表示してくれるため、単にEasy/Hardといった表記より初心者にもわかりやすくなっています。
画面右下に表示されるチュートリアルではカメラ移動や視点の切り替え、UIの表示/非表示といった基本操作をまず学び、続いて最初のミッション「人口100人」達成を目指し、いよいよ都市づくりの実践へと進んでいきます。
建築は「Houses」「Farms」「Industry」など画面下部のタブをクリック、各ジャンルの中から建てたいものを選び、マップ上でクリックするだけの簡単操作。経営シム系ゲームの経験者であれば、特に説明文を読まずとも直感的にプレイ可能でしょう。
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ただ、1点残念だったのは画面上で操作への“誘導”が弱かった点です。「次に●●を建築しましょう」「▲▲の情報を確認しましょう」といった指示に対して、例えば対象のアイコンを光らせる、カーソルや枠で強調するといった、ビギナー向けの誘導は序盤だけでも欲しかったです。
街づくりの制限はかなりゆるめ、あとはプレイヤーのアイディア次第
冒頭で「簡単に“映える理想の街づくり”ができる」と述べましたが、いくつかの制限もあります。とは言え、その制限はかなりゆるゆる。住宅は道路から3ブロック以内でなければ建築できませんが、逆に「3ブロック以内」の条件を満たしていれば、どれだけ密集させて建てても問題なし。一軒一軒が道路にきちんと面している必要がありません。その他にも一部の工業系は周囲に最低6個の倉庫がないと機能しない、大学の近くには高校が必須といった程度の規制ですし、もし失敗しても建物を破壊すればリソースは戻ってくるのでトライ&エラーも気軽です。
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筆者はデザインセンスに欠けているせいで、碁盤目状の単調な都市ばかり作っていましたが、規制の緩さをいかした見た目重視の映える街にぜひ挑戦してほしいです。
自分の街が成長していく様子をノンビリ眺めて楽しめる
最初は質素な木造の「Wooden hut」が並ぶ街並みも、食料や水力発電といったライフラインを整えるにつれ「Village House」や「Welthy village house」へ、むきだしの道路も交通量が増えればきれいに舗装された「Nice road」へと、勝手にアップグレードしていきます。もちろん、ただ人口が増えれば良いわけではありません。「5ブロック以内に食料品の店がある」「3ブロック以内に住人が最低30人いる」「街全体にスポーツ施設が最低3カ所ある」などなど、建築物ごとに異なる複数の前提条件を満たさねばなりません。すべての条件がそろった瞬間、該当エリアの建物が次々オシャレな外観に変化していく様子を眺めるのは、なかなかの満足度です。
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『Urbek City Builder』はお金や住人の年齢といった要素をカットすることで、“理想の街づくり”部分に注力して遊べるシミュレーションです。人口減や交通渋滞の解消、犯罪率などに頭を悩ませる必要がない分、物足りないと感じるプレイヤーもいると思いますが、週末や隙間時間を利用し「かわいい箱庭」を作って気軽に遊びたい人には向いているタイトルです。残念ながら現時点(2022年7月18日)では日本語未対応で、そこそこ長文の説明もゲーム内ではあるため、日本語対応や日本語化MODの登場が望まれます。
開発元によれば5つの異なるバイオーム、200以上の建物、1000以上のユニークなボクセルモデルの実装が予定されており、この先もまだまだ楽しませてくれそうです。
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対応機種:PC(Steam)
発売日:2022年7月13日
記事執筆時の著者プレイ時間:5.9時間
価格:1,730円 7月21日まで10%オフ 1,557円