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本日2022年9月15日から開幕となった「東京ゲームショウ 2022」。Game*Spark編集部も朝から幕張メッセに集結しました。
数年ぶりのリアル開催となり、久しぶりにプレスセンターへと足を運ぶと……プレスセンター入り口前で、警備員に止められて困っている様子の海外からの女性参加者が。
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筆者が様子を見ていると、どうやら事前登録をせずにここまで来たようです。「どうやって入ったのだろう……」と思いつつ、つたない英語で何があったのか聞いてみました。
すると日本語が返ってきたのですが、登録については知らない様子だったのでプレス受付窓口まで案内することに。案内する途中で好奇心から「どちらのメディアの方ですか?」と聞くと「Eurogamerです」との返答が。
マジか。有名メディアじゃないか。すごい!と雑談を交えつつ、無事に登録も終了。プレスセンター前まで入ることができたのは、ドイツパビリオンのパスを持っていたからだったのです。
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丁寧に日本語でお礼を言ってくれる彼女に筆者はこう切り出しました。
「あの、インタビューさせてもらっていいですか?」
海外メディア「Eurogamer」のアナさんにインタビュー!
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ということで、ドイツから来られたというアナさんにインタビューをしました!
――自己紹介をお願いします。
アナさん 私はアナといいます。今日はドイツのジャーマンパビリオン内のブース「black screen records」の手伝いをしています。色々なゲーム音楽のサウンドドラックをレコードで作っていて、日本のレコードを作ったりもしています。インディーゲーム音楽も制作しているので、音楽で日本のインディーゲームもサポートしたいと思っています。
――東京ゲームショウには初めていらしたのですか?
アナさん 日本には3回来ていますが、東京ゲームショウは初めてです。
――初めてですと、プレス登録は難しいかもしれないですね。東京ゲームショウに来た印象はいかがですか?
アナさん 今日はまだ人が少ないですが、一般デーはものすごい数の人が来ると聞いています。
――今年は久しぶりの開催ですから、大勢来るかもしれませんね。好きなゲームをおしえてください。
アナさん 『VA-11 Hall-A』『ゆめにっき』『Ib』ですね。ジャパニーズホラーが好きです。
――『Ib』はニンテンドーダイレクトでも発表があったので楽しみですね。東京ゲームショウで気になったゲームはありますか?
アナさん 『Melon Journey: Bittersweet Memories』が面白そうでした。
――Eurogamerではどんなことをされていますか?
アナさん エディター(編集)を担当しています。Eurogamerでは、ゲームの記事以外に、ハードウェアやゲームプレイを記事にしています。メンバーが多くないため、なかなか日本のインディーゲーム記事を作れなくて残念です。日本からいただくプレスリリースは、英語の翻訳という点で難しいところもあります。
――本日はありがとうございました。東京ゲームショウを楽しんでください!
続いて、ドイツパビリオンのターラ氏にもインタビューをしました。ドイツと日本がゲーム産業で結ばれるにはどうすればよいか? 日本のインディゲームに感じることなどをお聞きしました。
――自己紹介をお願いします。
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ターラさん 経済環境保護省のターラです。ドイツパビリオンはこれまでに4回出展していて、私自身は2019年以来の訪日です。
――久しぶりの日本の印象は?
ターラさん 不思議な感覚があります。同じ日本のはずですが、自由に行動しづらくなっていて、観光ができないと感じました。
――そのような中での東京ゲームショウの印象と、ドイツパビリオンの出展目的についてお聞かせください。
ターラさん 東京ゲームショウがこのような規模で開催されたことは、喜ばしいと思っています。ドイツパビリオンでは、日本のドイツ企業間のマッチング促進や、ドイツでの日本のゲーム会社設立などを支援しています。私としては、日本のゲーム会社がドイツの会社と協業できるかを調査に来ています。
――協業の中で、特に難しいと思っていることについて教えてください。
ターラさん まだ調査中ですが、日本とドイツでは言語の壁があると思います。文化の壁はあまりないように思いますが、日本のインディーゲームクリエイターは海外を意識するというマインドセットがないように思いました。
――それはどういったところから感じられたのでしょう?
ターラさん 海外とのやりとりが少ない点や、国外に出ようとする雰囲気が感じられないところです。これは「日本が島国だから」という影響もあるのあかもしれません。日本のゲームは独創的で、多くのドイツ人が日本のゲームに興味があると思います。
――日本のゲーム会社は、国内市場の次に北米市場や中国などアジア市場を意識した行動をとるケースもあるので、そう感じられるのかもしれません。ドイツのゲーム市場規模について教えてください。
ターラさん 規模は世界で5位、欧州では1位の規模です。数字で言うと、100億ユーロ規模(約1兆4千億円)日本のゲーム市場が2兆円ですので十分な規模だと思います。また、コアなゲーマーは英語を使いますし、開発者の多くも英語を使います。
――なかなかの規模があるということですね。言葉の壁もありますが、日本のインディーデベロッパーは、ドイツの誰に相談してよいのか分からないということがあるように思います。
ターラさん ドイツでいえば、ゲーム協会があります。また、我々にご相談ください。英語のパンフレットも用意しています。
――最後に、日本のインディークリエイターに向けてコメントをお願いします。
ターラさん 日本のインディーゲームクリエイターには、グローバルな考えを持ってほしいです。日本に興味を持っている人は多いので、期待しています。
――ありがとうございました。
まったくの偶然からドイツパビリオンへの取材を行うことになりましたが、ドイツのゲーム市場規模や日本のインディーゲームクリエイターへの少しビターなメッセージを受け取ることができました。アナさんもターラさんも日本に対し好感を持っていて、楽しいインタビューになりました。
しかし筆者としては、インタビューの中で伺ったターラさんの見解は少し古いようにも感じました。日本のインディーゲームクリエイターがドイツのgamescom2022 Japan Pavilionに出展するなどの動きもみられるようになっており、決してグローバルな考えをもっていないことはないと思います。ただ、その量はまだ少ないといえるかもしれません。
ドイツ市場で自身のゲームを試してみたいインディーゲームクリエイターは、ドイツパビリオンを訪れてみてはいかがでしょうか。通訳さんもいらっしゃいますよ!