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ベラルーシの独立系メディアNasha Nivaは、マルチプレイヤー戦車ゲーム『World of Tanks』を手掛けるWargamingの最高事業開発責任者であるNikolai Katselapov氏が、ベラルーシKGBによって「テロ活動支援者として認定されていた」と報道しました。
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これはベラルーシ共和国刑法第290条第1項「テロ活動への資金提供」に該当する人物として、12月30日付けでベラルーシ関税省より公開された「テロ活動に関与する個人のリスト」に追加された人物の氏名・父称・生年月日が、Wargamingの共同創設者の個人データと一致することから判明したものです。
とはいえ、ベラルーシ現政権下におけるこうした認定は単に「政治的な攻撃・圧力」として扱われることが多いようで、同氏が実際にテロ活動を支援したかどうかは不明です。独立系メディアであるNasha Nivaも、2022年1月27日よりベラルーシ内務省から「過激派組織」との認定を受けています。
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本件においては、元々ベラルーシの会社であり首都ミンスクにスタジオを所有していたWargaming(現在はキプロスに本社を設置)が、ロシアのウクライナ侵攻開始後の2022年3月31日に「事業運営の戦略的見直し」としてロシアとベラルーシでのライブゲーム事業から完全に撤退。同社が2011年に買収したロシアを拠点とする、LestaStudioに移管したことが背景にあると考えられます。
Katselapov氏はかつて「最も影響力のあるベラルーシのビジネスマン」の一員と評されていました。またWargamingは「ベラルーシで最も裕福なIT企業である」とも呼ばれていた経緯から、「国内最大のゲームスタジオの撤退により被った経済的損失に対する報復措置ではないか?」との見解もあります。
あるいは、ベラルーシ現政権に対立する野党指導者の数人がテロリストとして既にリストに記載されている関係から、「Katselapov氏は母国の野党組織に資金を譲渡したのではないか?」との推測も出されています。ですが、現時点での詳しい背景は不明です。
本件に関するWargaming、またはKatselapov氏本人からのコメント等は、記事執筆時点では確認されていません。