最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2023年2月3日にTHQ NordicよりPC(Steam)向けに発売された『SpellForce: Conquest of Eo』について生の内容をお届けしたいと思います。
『SpellForce: Conquest of Eo』とは
Owned by Gravityが手掛ける本作はファンタジー世界を舞台にした『SpellForce』シリーズの最新作です。リアルタイムストラテジーゲームやロールプレイングゲームが有名な同シリーズですが、本作はターン制の4Xストラテジーゲーム。舞台は『SpellForce』シリーズと共通で、プレイヤーは魔術師となり亜人間や魔物の軍隊を率いて他の魔術師と戦います。
4Xとは次の4つの要素を含むストラテジーゲームを指す言葉です。本作は他の4X作品に比べてストーリーに重きを置いているのが特徴で、単に領土を拡張して敵を殲滅するだけではなく、プレイ中に起きる多彩なイベントがゲーム展開に起伏を生み出します。イベントには非常に多くの選択肢が用意されており、自分の戦略に応じた決断が求められます。
未知なる領域の探索……eXplore
自勢力の領土の拡張……eXpand
拡張した領土の開発……eXploit
敵対する勢力の殲滅……eXterminate
本作は戦略マップと戦術マップを切り替えながら進行します。通常は世界全体を表す戦略マップで軍隊を動かし自分の領地を広げていきますが、敵の軍隊と接触すると戦術マップに切り替わり、戦闘を解決するともとのマップに戻ります。いずれのマップもリアルタイムではなくターン制で進行するため、次の一手をじっくり考えることが可能です。
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『SpellForce: Conquest of Eo』の実内容に迫る!
それでは実際にプレイしていきましょう。本作は現時点で日本語に対応していないため今回は英語でのプレイとなります。また、筆者はシリーズ初体験なので従来のシリーズ作品とは用語が異なることがあるかもしれませんがご容赦ください。
最初に行うのは主人公となる魔術師の選択です。魔術師はアルケミスト、ネクロマンサー、アーティフィサーの3タイプから選びますが、専門分野をカスタマイズして自分好みの魔術師を作ることもできます。
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魔術師のタイプに加えてスタート地点と難易度を選べばゲーム開始です。今回のプレイでは魔術師にアルケミスト(錬金術師)を選択。スタート地点はゴールデンフィールズ、難易度は標準のままにしました。
ゲームを開始するとさっそくイベント発生です。
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戦略マップが表示され、ここからがゲーム本番です。マップの中央には魔物がいて、そのすぐ近くに「師匠の塔」と書かれた建物が見えます。
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この魔物は敵ではなく自分の配下でした。戦略マップ上では複数のユニットが集まって「スタック」と呼ばれる集団になっており、移動も戦闘もスタック単位で行われます。この魔物もスタックのひとつで、その中には魔物のほかにゴブリンが2ユニット含まれていました。
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ゲーム開始時はこのスタックが自分の動かせる唯一のコマです。スタックを目の前の塔に移動させると新たなイベントが発生します。
ここでマップが切り替わり戦闘チュートリアルが始まりました。戦術マップの地形は戦闘の発生した場所によって決まり、今回の舞台は塔の中です。
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戦闘は敵味方が交互にターンを実行し、どちらかが全滅するまで続きます。各ユニットには毎ターン3回分の行動力があり、移動や攻撃、特殊なアビリティの使用にはいずれも行動力が必要です。行動力を残して防御するとユニットの周囲にZOC(Zone of Control、支配領域)が発生し、側面攻撃や機会攻撃に影響します。
戦闘は手動でユニットを動かして解決するだけでなく自動で結果を出すことも可能です。スタック同士が戦闘に入ると最初に結果予測が表示されるので、その時点で手動か自動かを選択します。結果予測の精度は高く、筆者がプレイした範囲では予測された損害を回避するのは簡単なことではありませんでした。
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戦闘に勝利すると再びイベントが発生します。
ゲームはこのように戦略マップでのスタック移動と戦術マップでの戦闘解決を行き来しながら進行していきます。その間に大小さまざまなイベントが挿入され、時として厳しい選択を迫られるのです。
人生は選択の連続
イベントの選択肢の実例を紹介しましょう。さきほどのイベントの結果、塔の近くにゴブリンの野営地が出現しました。この野営地にスタックを移動させると次のイベントが発生します。どうやら野営地のゴブリンたちは略奪品を巡って争っているようです。このイベントには2つの選択肢がありました。ゴブリンを奇襲するか、このまま様子を見るかの2つです。
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筆者は様子を見ることを選びました。しかし、運悪くゴブリンに見つかってしまい、野営地のゴブリンが一斉に武器を抜いて向かってきます。すると、今度は3つの選択肢が表示されました。立ち向かうか、挨拶するか、魔術を使ってみせるかの三択です。ただし、魔術を使うにはマナと呼ばれる貴重な資源を消費しなければなりません。
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考えた末、やはりここは魔術でゴブリンを驚かすことにしました。するとゴブリンが慌てて逃げ出したではありませんか。これで一件落着かと思いきや、またもや選択肢が表示されます。ゴブリンを逃さず追撃するか、逃げるに任せるかの選択です。
ゴブリンを逃してやると、その中の一人が自分は師匠に仕えていたシャーマンだと名乗って仲間になりました。このように本作のイベントは一回の選択で終わるとは限らず、結果が出るまで繰り返し決断を迫られます。イベントと選択肢の種類は非常に多く、メインストーリー以外にもマップ上にはさまざまなイベントが出現します。
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塔を継ぐもの
主人公は師匠の塔を受け継いで本拠地とし、塔を中心に自分の領地を拡大していきます。領内では資源収入が得られるだけでなく、戦闘発生時に強力なボーナスを獲得できます。塔そのものも研究室や工房といった部屋を建設して拡張可能です。塔にはレベルがあり、レベルが上がると領地が広がります。
塔では新たなユニットを雇えます。雇うのに資源は必要ありませんが、ユニットを維持するには資源を毎ターン消費します。そのため、むやみにユニットを増やし続けることはできません。
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資源はゴールドとマナの2種類があり、この他にオールファイヤと呼ばれる特別な資源が登場します。オールファイヤはマナに変換して使えるほか、魔術の研究や習熟にも必要になる重要資源です。マップ上には資源の供給源が点在していますが、資源は収集し続けているとやがて枯渇してしまいます。
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主人公が師匠から受け継ぐのは塔だけではありません。グリモワールと呼ばれる魔術書も受け継ぎます。この魔術書は何ページもある巨大な本ですが、最初はほとんど読むことができません。新たな呪文を習得するにはそれぞれ何ターンにも及ぶ研究が必要です。
一度習得した呪文は魔術書から自由に選んで使用できます。しかし、そのためには十分な量のマナを事前に投入しておかなければなりません。呪文の研究や準備速度の向上には重要資源のオールファイヤが必要です。
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今回選択した主人公は錬金術師なので錬金術も使用可能です。錬金術は複数の素材から薬などのアイテムを作り出すクラフト機能で、一度作成に成功したアイテムは素材さえ用意すれば簡単に作れるようになります。
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魔法使いの弟子
ストーリーを進めていくうちに、師匠がオールファイヤを利用する秘法を発見したこと、そのせいで秘法を隠してきたサークルなる魔術師集団から攻撃されたことがわかってきました。そんなある夜、師匠の弟子を名乗る男が塔に現れます。男はサークルが拠点としている塔から師匠の研究を取り戻してくれと頼んできました。
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ここでも選択肢が現れましたが、男を信じて手を貸すことにします。男はナルキスと名乗り、魔術師見習いとして仲間になりました。見習いは特別なユニットです。非常に強力な上にスタックを率いる能力があり、マップ上に小屋を建てて領地を広げることもできます。
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さっそくサークルの塔に乗り込もうとスタックを移動させていたところ、自分の塔のすぐ横に突然敵が出現しました。討伐せずに放置していた盗賊の隠れ家から敵が飛び出してきたのです。そのとき味方はすべて塔の攻撃に向かっていて、自分の塔を守るものは残っていませんでした。
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しかも、追い打ちをかけるようにサークルの塔からいかにも強そうなゴーレムが2体接近してきます。絶体絶命のピンチですが、幸いこのゲームはターン制。落ち着いて戦略を練り直すことにしました。
少しでも自分の塔の近くにいるスタックから足の速いユニットを選び出し、速く移動できるスタックを作って急行させます。それだけでは心配なので、覚えたての呪文で空飛ぶクラゲのような魔法生物を召喚して塔の守りに加えました。敵の領地の内部まで攻め込んでいたスタックは自分の領地に撤退させ、ゴーレムの接近に備えます。自分の領地の中で戦えば戦闘時に強力なボーナスがつくからです。
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この戦略は功を奏しました。塔に侵入を試みた盗賊は急遽引き返したユニットとクラゲの返り討ちに遭い、ゴーレム2体も自分の領地で迎撃したおかげでなんなく撃破できました。ダメージを負ったユニットは回復呪文で治療し、数ターン後には再び敵の塔を攻める準備が整っていたのです。
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二つの塔
いよいよサークルの塔に攻め込むときが来ました。何者かが塔を守っていますが、外からでは正体がわかりません。そこで、さきほど召喚したクラゲを偵察に向かわせることにしました。このクラゲは空を飛べるので地形の影響を受けずにマップ上を移動できるのです。
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塔に突入したクラゲを待っていたのは見たこともない強敵でした。もともと強くないクラゲは遠距離からの特殊攻撃を受けて行動不能になり、わずか数ターンで全滅してしまいます。しかし、そのおかげで敵の弱点がわかりました。次の戦いこそが本番です。
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クラゲの次に攻め込むのはナルキス率いる精鋭ゴブリン軍団です。戦闘が始まると、敵は再び特殊攻撃でゴブリン1体を行動不能にしました。しかし、クラゲのおかげでこの特殊攻撃が一度しか使えないこと、他に遠距離の攻撃手段を持たないことがわかっています。
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そこで、敵が接近戦を挑もうと近づいてきたところをゴブリン3体で一斉に取り囲みました。ZOCで移動を封じて遠距離攻撃でとどめを刺す作戦です。ところが、敵は攻撃力も防御力も並外れて高く、思うように体力を減らせません。
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敵の猛反撃を受けて包囲が崩れかける一幕もありましたが、無事強敵の撃破に成功。師匠の研究を取り戻すことができました。果たして、その中には想像もしていなかった呪文が隠されていたのです……。
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ここから先は実際に『SpellForce: Conquest of Eo』をプレイしてお確かめください。
ストーリー重視のファンタジー4Xストラテジー作品
本作はファンタジー世界を舞台にしたストーリー重視の4Xストラテジーゲームです。ストーリーを重視しているという点ではRPG的な側面もありますが、ストラテジーゲームの土台となる戦略的・戦術的要素がしっかり作り込まれているので安心してプレイできます。
筆者は本作が『SpellForce』シリーズの初体験でしたが、世界観を知らないことでストーリーが理解できないということはありませんでした。物語を読み進めていけば自然に世界観が理解できる作りになっています。
4Xストラテジーゲームが好きな方、ファンタジー世界が好きな方にお勧めの作品です。
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2023年2月3日
記事執筆時の著者プレイ時間:15時間
価格:3,960円(2月11日までは3,168円)