コーエーテクモゲームスは、和風ホラーアドベンチャー『零 ～月蝕の仮面～（つきはみのかめん）』をニンテンドースイッチ/PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに2023年3月9日発売予定です。
本作は、Wiiを対象として任天堂株式会社より2008年に発売された同名作のリマスター版。幼い頃に神隠しにあった少女たちが失われた日の記憶を求め、“ありえないもの”を映し、封じ込めるカメラ「射影機（しゃえいき）」とわずかばかりの懐中電灯の光を頼りに手に隠された真実に迫ります。
リマスター版では、主要キャラクターモデルを新たに作成するなど、現行機種に合わせて大きくグラフィック品質を向上。また、新要素として「フォトモード」を追加したほか、おなじみのコスチューム要素もラインナップを変更し、オリジナル版とはまた異なる雰囲気での探索を楽しむことができます。
本稿では、リマスター版『零 ～月蝕の仮面～』のインプレッションをお届け。今回のプレイはSteam版を使用しています。
かつて神隠しに遭った少女たちは思い出の地へ
『零 ～月蝕の仮面～』の物語は、主要キャラの月森円香と麻生海咲の2人が島にある“朧月館”を訪れるシーンからスタート。ここでは「序ノ蝕」として、円香を操作しながらゲームの基本操作を学んでいく、いわゆるチュートリアルが進行します。
この章の会話で、彼女たちがかつてこの島で神隠しに遭った5人の少女であること、そのうち2人が亡くなっていること、彼女たちに当時の記憶がないことなどが語られます。そして気がつくと海咲の姿はなく、すぐ近くには彼女の持っていた懐中電灯が落ちています。
本作で重要なのが、この懐中電灯を使用した探索要素です。マップ内の色々なところに調べられるオブジェクトがあるのですが、その中で隠されているアイテムや資料を見つけ出すには、この懐中電灯の光を当てなくてはならないのです。
円香編は、館内のとある部屋の中で発見した「射影機」で怨霊と戦った後のイベントで終了します。この先はシナリオによって異なる主人公を操りながら、かつて神隠しが起こった朧月島（ろうげつとう）の秘密を解き明かしていくことになるのです。
ちなみに、序ノ蝕でもさまざまなシーンで霊たちが登場してプレイヤーを驚かせてくれます。筆者は序盤の遭遇でびっくりしすぎてスクリーンショットを撮るタイミングがずれてしまいました。臆病者。
「射影機」で霊退治！目指せベストショット（？）
本作のキーアイテムである「射影機」は、撮影することで霊を撃退できる力を持つ不思議なカメラです。霊との戦いではこの「射影機」を構えた状態で相手をファインダーに捉えて撮影することでダメージを与えられます。ストーリーが進めばさまざまな効果を持つレンズや新たな機能が追加されるほか、アイテムで性能を強化することもできます。
また、“ありえないもの”を映し出す「射影機」で怪しげな場所を撮影することで、ストーリーに重要なヒントが示されることも。過去の記憶もなく、島中に霊たちが住み着いている状況で、まさしく「射影機」は主人公を助けてくれる最高の相棒とも言える存在です。
「射影機」を使用した戦闘は本作の醍醐味です。さまざまな移動や攻撃パターンを持つ霊を見極め、カウンターや溜め攻撃で大ダメージを与えたときは非常に爽快。もちろんカメラなので、撮影した写真はゲーム内に一時保存されます。お気に入りのベストショットはぜひとも保存しましょう。
なお、主人公によっては月の光で霊を撃退する「霊石灯」というアイテムを使用することも。各主人公で装備品の強化項目は共通していないため、十分な探索を行ってアイテムを集めることも大切です。
コレクションも充実！恐怖に負けず島を探索しよう
本作の舞台となる朧月島には、最初に訪れる館以外にも病院や灯台などさまざまなロケーションが存在し、ほぼ多くのエリアが施錠や閉鎖されている状況です。各章では閉じられた場所を開くために、マップを探索してアイテムを探したり、謎を解かなければなりません。
本作の探索要素はマップである程度のヒントが出るほか、鍵を入手した場合は対応した扉が示されたりする親切なシステム。謎解きはパズルや数字合わせ、暗号解読などさまざまな種類がありますが、じっくりと考えれば難しくはないくらいの難易度です。
マップ内にはゲーム内の重要なヒントだけでなく、探索を助けてくれるアイテムも隠されています。アイテムには体力回復や撮影時に強力な攻撃を与える「フィルム」、装備の強化に使用する「欠片」などが存在しています。一部のアイテムは、灯籠（セーブポイント）で戦闘時に獲得したポイントと交換も可能です。
探索中にはさまざまな場所で突然現れる「浮遊霊」なども登場します。これらの霊はこちらを襲うことはなく、撮影することでリストに登録されるいわゆるコレクション要素。一部の霊は一瞬で消えてしまうものもいるので、探索は油断することなくカメラを構えるようにしましょう。
また、マップ内の至る所には「鬼灯人形」と呼ばれるオブジェクトが隠されていることも。人形は棚に飾られているだけでなく、箱の中にあったり、特定の角度で視点を変えないと見つからないものなど、非常にバラエティ豊富に隠されています。集めることで“なにかいいこと”があるかもしれないので、こちらも是非探してみましょう。
美麗グラフィックで恐怖も倍増！
リマスター版ではキャラクターモデルを新たに作り直したほか、ムービーのブラッシュアップや高解像度化で臨場感が高められ、陰影など光の表現も大幅にパワーアップ。マップが細やかに描かれることで、ホラーとしての臨場感が増しただけでなく探索もやりやすくなっている印象です。
その中でも特筆したいのは、美麗なグラフィックで描かれる霊たちの恐怖です。怨霊だけでなく突然現れる浮遊霊も精細に描かれ、登場演出も凝ったものが多く、油断しているとつい驚いてしまいます。ゲーム中では特定の条件で怨霊の姿が変わることがあるのですが、こちらも演出と相まって非常に不気味で迫力満点です。
もちろん、このリマスターされたグラフィックは戦闘だけでなくストーリーの臨場感や説得力も高めています。島内のとある施設で不気味な実験が行われていた様子や館の各部屋の描写、ムービーの美麗なキャラクターたちなど、さまざまな場面でホラーゲームとしての魅力をたっぷり楽しめるのです。
さらに、本作を彩る「コスチューム」要素も非常に充実しています。今作のために多くの新しい衣装が登場し、可愛いものやセクシーなもの、思わず吹き出してしまいそうなものまで多彩に用意されています。公式サイトでは、特典として付属する衣装なども紹介しています。気に入った衣装でゲームが遊べるのも本作の醍醐味ですね。
また、リマスター版の新規要素「フォトモード」にも注目です。フォトモードでは被写界深度や明るさなどの設定はもちろん、フレームやさまざまなキャラクターを呼び出して一緒に撮影ができます。キャラクターにはコストが設定されているので一定数しか呼び出せませんが、可愛い写真から心霊写真まで色々と撮影可能ですよ。
ここまで紹介してきた『零 ～月蝕の仮面～』リマスター版。2008年に発売された名作が当時の面白さを損なうことなく、より美しく、より洗練されて15年ぶりに登場しました。かつて起きた惨劇の記憶を思い起こす物語と緻密な演出に彩られた恐怖、そして爽快感のあるバトルはやりごたえ抜群です。
現行機種に合わせたオプション設定も多く、コントローラーでもキーボード/マウスでもとても快適にプレイ可能です。特にキーボードではキーコンフィグも可能なので、PCで初めて遊ぶという人でも自分なりの遊びやすい設定で楽しめます。
『零 ～月蝕の仮面～』は、ニンテンドースイッチ/PC（Steam）/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに2023年3月9日発売予定。現在は予約注文を受け付け中です。
