気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Mizoriot CreativeとFun2 Studio開発、PC向けに2月15日にリリースされたサバイバルアドベンチャー『台北大空襲 Raid on Taihoku』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、台湾で話題になった同名ボードゲームをベースにしたサバイバルアドベンチャー。第二次世界大戦末期、アメリカ軍の空襲を受ける日本統治下の台北を舞台に、記憶を失った少女 林清子と台湾犬のクロが過酷な戦禍を生き抜いていきます。少女が記憶を取り戻す旅の中で、プレイヤーは生き残った人々の悲しみや葛藤に遭遇し、選択がもたらす結果に直面することとなります。日本語にも対応済み。
『台北大空襲 Raid on Taihoku』は、2,800円で配信中。


(日本語で回答いただきましたので、最低限の編集で掲載させていただきます)
――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
KJMizo Gamesの創設者、KJと申します。弊社はボードゲームから始まり、歴史や興味深いコンテンツのテーマに重点を置いております。弊社のゲーム、『Far East War1592』は韓国で販売されており、『ハラグロパティスリー』は日本とアメリカで販売されています。そして、最も有名なのは『台北大空襲』で、台湾でかなり人気があると思っています。これは第二次世界大戦中に日本の植民地であった台湾が爆撃されたことを描いたゲームです。元々はボードゲームでしたが、現在は小説、マンガ、ビデオゲーム、舞台劇など、様々な形になっています。
僕が一番好きなゲームは『龍が如く』シリーズです。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
KJ今年は台北大空襲が起こってから78年目にあたります。台北大空襲は、1945年5月31日に発生し、100機以上のアメリカ軍爆撃機が日本統治下の台北を空襲し、1日において台湾史上最大の死傷者数を出した空襲です。戦後世代の多くの人と同様に、歴史的要因や教科書の記述不足のため、台湾の若い世代の多くはこの歴史的出来事を知らず、中には日本が台北を空襲したと勘違いしている人もいます。僕たちは、ゲームという形でこの歴史を再現し、プレイヤーに奥深いストーリーや楽しさを体験してもらいたいと思っております。
少し個人的な話になりますが、僕の祖父も空襲を何度も経験し、その時のことすべてを僕に話してくれました。祖父は亡くなってしまいましたが、このような方法で祖父を追悼したいと思っています。
――本作の特徴を教えてください。
KJ本作は台湾視点の初めての第二次世界大戦ゲームであり、日本の植民地だった台北の戦前の美しいシーンを再現しつつ、感動的なプロットとなっています。人と犬の両方の主人公を操作し、空襲から逃げるシーンもありますよ。

――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
KJ本作をリリースする前、ゲームテストを行いました。その結果、女性プレイヤーがより感情的に打たれることがわかりました。第二次世界大戦の歴史に興味があるプレイヤーや、台湾と日本の過去の関係に興味があるプレイヤーを歓迎します。ターゲット層は、歴史に興味があり、ストーリー主導のゲームが好きなプレイヤーです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
KJ下記の作品は、発想の参考となっております。
アニメ:「火垂るの墓」「この世界の片隅に」
ゲーム:『This War of Mine』『Valiant Hearts: The Great War』
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
KJやはり影響はありました。作業をいきなり全部オンラインにして、今までにない形式で仕事を続けるのは、僕たちにとってもかなりの挑戦でした。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
KJはい、大丈夫です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
KJプレイヤーの皆さまの体験を非常に重視しております。台湾人と日本人では視点が異なるため、今知っている歴史とはまったく異なる新しいストーリーになるかもしれません。本作を通じて、両国の過去の絆を理解できることを願っております。
――ありがとうございました。


本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。