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モバイル向けインテル第13世代Coreプロセッサーが発表されたのは今年の1月。ようやく搭載機が発売され始めたという状況ですが、既に次世代機の準備は着々と進んでいるようです。
現在、台北で開催中のアジア最大規模のICT見本市Computexにて、MSIが展示している新ノートPC「Prestige 16」がインテルの次世代CPU「Meteor Lake」を搭載しているのではと俄に注目を集めています。
注目集まる次世代CPU、その特徴は?
今回Notebookcheckによって報告された当該デモ機ですが、表示されている情報によれば16コア22スレッド。近年のインテルCoreプロセッサーは、マルチスレッド対応で高性能のPコアとマルチスレッド非対応で高効率のEコアを組み合わせた「big.LITTLE」構成となっていますが、今回のデモ機に当てはめるとコア数とスレッド数が一致しません。
というのも、インテルの次世代CPU「Meteor Lake」は6Pコア+8Eコアに加えて、SoC型の2コアを加えた構成となっているからです。
注目したいのは、この追加されたSoC型の2コアです。インテルによればこれらのコアはAIアクセラレーターとして機能し、動画での背景置換やブラー処理といったAIの強みを生かした処理を行うことでより省電力で高速な処理を可能とするとしています。
こうした従来型のCPUにAIアクセラレーターを搭載するのは、インテルだけではありません。半導体大手のAMDは、今年1月に「Ryzen 7000シリーズ・モバイル・プロセッサ」を発表し、この中でプロセスルールの微細化やZEN4アーキテクチャの適応のほか、「Ryzen AI」と呼ばれるAIアクセラレーターの搭載をとその特徴として挙げています。
インテルのAI重視の姿勢は、形としてはAMDを追従するもので今後のモバイル型CPUのトレンドとなるかもしれません。AI技術の進展著しい現在、これを重視するのは十分理解できるものではあります。
気になるモバイル向けCPUの今後。PCゲーマーには吉と出るか凶と出るか…
ただ気になるのは、こうした流れがPCゲーマーとしてどう影響するかです。現行モデルである13世代型Coreプロセッサーのモバイル向け最上位となるのは「i9-13980HX」で8Pコア+16Eコアの32スレッド。今回発見された展示機に単純に近いコア数スレッド数のものは、そこから数ランク落ちた「i7-13700HX」「i7-13650HX」となります。
もちろん、世代更新に際し、インテルは新しいプロセスルールである「Intel 4」(7nmプロセス)の適応なども特徴としていますが、これによる向上分やCPU構成の変更などが性能面にどう影響してくるかは、現時点では未知数と言えます。
また、ゲーミングノートなどではCPUのみならずGPUの影響も大きいことも考慮する必要があります。特に最近では一部の処理をGPUに負担させることで性能向上を図る技術が登場するなど、次世代CPUと高性能GPUとの組み合わせた時のシナジーも注目したいポイントではないでしょうか?
3種混合型のCPU設計は、スマートフォン向けのSoCではよく見かけるものです。処理性能と省電力性の両立は、こうしたスマホ用SoCとモバイル向けCPUで共通して求められているものではあり、ある意味で収斂進化の呼べるものではないでしょうか?
最新技術の受けての一連の変化、PCゲーマーとして引き続き注視していきたいところです。