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近年、有害なボイスチャットを報告するシステムが様々なところで導入されはじめていますが、依然として女性やマイノリティのユーザーは嫌がらせ被害にさらされ続けているというコラムが、海外メディアKotakuにて公開されています。
17歳のときからあらゆる差別や嫌がらせを受け続けた…
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Kotakuのシニア編集者であるアリッサ・メルカンテ氏は、2007年に発売された『Halo 3』をきっかけにオンライン対戦ゲームの世界に飛び込みました。しかし、当時17歳だったメルカンテ氏にとっては、レイプの脅迫、性差別発言、性的嫌がらせなどありとあらゆる敵意を頻繁に浴びせ続けられたといいます。
『Apex Legends』や『オーバーウォッチ2』などの対戦ゲームの多くで勝利を目指すにはボイスチャットによる連携が不可欠であるといえます。しかしながら、依然として特に女性にとっては恐怖で有害な場所であるといいます。
ゲーム業界では過去35年間、白人でストレートの男性がコアプレイヤーであるとされています。ゲーム研究者のPS Berge氏が主張する所によると、そこから外れた人、特に女性やノンバイナリー、トランスジェンダーの人々は、ハラスメントを経験する可能性が高いといいます。
もちろん男性ユーザーがハラスメントを受ける例も無視できませんが、やはり対戦ゲームシーンにおいて少数であるとされる女性は、男性が多いコミュニティでは疎まれ、差別的な扱いを受けることも多いようです。中には自身が女性であることも隠しているという例も聞かれるため、性差別的な構造は深刻と言えるでしょう。
本稿では割愛しますが、Kotakuの記事内では様々な女性プレイヤーによる差別被害の実例が語られています。
求められるゲーム側の対策
こういったユーザーによるハラスメントに対し、最近ではゲーム側が対策する例も増えています。例えば『コール オブ デューティ ウォーゾーン』ではユーザー報告を元に『VALORANT』ではボイスチャットを記録して暴言を自動検出する取り組みを進めています。
Xboxにおいても先日不適切なボイスチャットを即時にキャプチャして報告できる新機能が発表され、今後数千タイトルに対応してリリースされる予定であるとしており、業界として有害VCに対する対策が推し進められています。
しかしながら、この報告が機能していないと感じる人も少なくない模様。実際に報告しても、それが実った回数は数えられるほどしかないという声も見られます。また、『Apex Legends』などボイスチャット記録機能がついていないタイトルもあるため、VCで受けたハラスメント被害を報告・証明する手段がないことが指摘されています。
ユーザーが有害なVCを行わないという文化を作り上げること、有害なVCを行った人物に相応のペナルティが生じること、ゲームを提供する企業側がしっかりとした対策を行うことなどは今後必須となってくるでしょう。そして何よりも、「どのような立場の人にも普通にゲームを楽しむ権利がある」ということは当たり前であるという認識はすべての人が持つ必要があります。