
1970年代から80年代のアーケードビデオゲームの歴史を紹介するブログ「The Arcade Blogger」。本ブログにて、ATARIのアートワークと歴史を綴った書籍「Art of Atari」の著者・Tim Lapetino氏が体験した貴重なアーケードゲームにまつわる“驚くべき奇跡”が紹介されています。
超貴重なゲーム機体がゴミとして捨てられていた!?
ブログによると、Tim氏がシカゴ郊外にある家族の家を訪ねていたところ、姪が自転車で映画「トロン」のようなゲームのようなものが数ブロック先の道端に置かれていたと話したといいます。トロンを題材としたアーケードゲームは2作発売されており、どちらも高い人気を誇った、現在でも貴重なゲームであることが紹介されています。
姪の情報を基に、Tim氏が親族とともに車で向かったところ、そこには1983年にMidway Gamesから発売されたアーケードゲーム『Discs of Tron』の筐体(Environmental Discs of Tron)が置かれていたというのです。それも驚くことに、筐体は近隣住人が最近ゴミとして出しており、収集業者が大きすぎるために「分解してゴミに出してほしい」と張り紙をして引取拒否状態だったとのこと。

Tim氏はすぐに筐体の保護を考えて友人に「300キロ以上ある筐体を安全に運ぶ方法」を尋ね、兄弟が必要な道具を調達している間に筐体が捨てていた家を訪問。住人によると筐体は昔からガレージに置かれていて処分したかったとのことで、Tim氏の引き取りたいという申し出を喜んで承諾したようです。ただ、その入手経路などは明らかになっていません。
その後は兄弟が調達してきた台車に筐体を載せ、約20分の時間をかけて数ブロック先の家まで運び出したとのことです。


手に入れた『Discs of Tron』は、ほぼ無傷の完動品だった!
こうして奇跡のような出会いで入手した『Discs of Tron』。Tim氏は友人のコレクターを呼んでさっそく筐体のチェックを行います。その結果、非常に保存状態がいいアートワークであること、全てのパーツがオリジナルのものであることなどが判明しました。筐体の一部アートワークが欠けていた状態のようですが、Tim氏は複製品を注文し、今後オリジナル版を探していくつもりということです。
内部のコインカウンターは3,000カウント未満で、底部からはテストレポートの紙が出てきたことから、記事内ではおそらくシカゴの地元ゲームセンターで当時テストされていた機体ではないかと推測。すべてのチェックを終えゲームのスイッチをいれたところ、見事に『Discs of Tron』が起動。今はTim氏はもちろん、彼の子どもたちもこの貴重なゲームを楽しんでいるということです。




なお、Tim氏は現在、映画「トロン」および関連ゲームの40周年を記念するイベント「LIGHT CYCLES: 40 Years of TRON in Games and Film」のプロジェクトに携わっています。この奇妙で驚くべき出会いは、プロジェクトに関わったからこそ起きた奇跡なのでしょうか。

