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「中華ゲーム見聞録」第121回目は、コウロギ同士を戦わせる中国の伝統競技「闘蟋」(「蟋」はコオロギ(蟋蟀)のこと)をテーマにした育成シム『沈黙的蟋蟀』をお届けします。
本作は蓬莱飛魚工作室によって、2023年7月20日にSteamで配信されました。
「闘蟋」の歴史は古く、唐の時代から始まったといわれています。もともと宮中の女性たちがその鳴き声を聞くためにコオロギをつかまえ、小さな虫籠に入れて飼っていました。ところが、オス同士を同じ籠に入れるとケンカを始めることから、その闘争本能に気付き、やがてコオロギ同士を戦わせる遊びへと発展していきます。
いかに良いコオロギや虫籠を手に入れるかで、長安の富豪たちは大金を費やしていました。また賭けも行われ、人々は闘蟋に熱狂しました。現在でも闘蟋は続いており、愛好家たちによる大会なども開かれています。
本作はそんな中国の伝統競技である「闘蟋」をテーマに作られたコオロギバトル育成シム。ありそうでなかった作品ですね。一体どんなゲームなのか、早速プレイしていきましょう!
コオロギを育成しよう!
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ゲームを開始すると、小烏亀という少年が遊び方を教えてくれます。本作のゲームの流れですが、まずやらなければならないことはコオロギの入手です。プレイヤーは最大で16匹まで同時育成可能。コオロギは戦うたびに能力が落ちていきますので、最初の内はできるだけ数を集めておいたほうがいいでしょう。
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「コオロギ市場」ではランダムで6匹のコオロギが販売されています。良いコオロギがいない場合は、お金を払ってリロードすることも可能。また市場レベルを上げることによって、店に並ぶコオロギの質を高められます。ちなみに本作の通貨単位は「虫資」と言います。
それと画像のコオロギはイラストではなく、3Dモデルだったりします。マウスでドラッグすると、いろいろな角度からコオロギを眺められますね。結構見ていて可愛いです。
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コオロギを購入したので、早速バトル開始。コオロギには「攻撃力」「防御力」「命中率」など8種類のパラメータがあります。ただし正確な数字を見ることはできず、「高・中・低」の3ランクで表現されるだけです。相手のコオロギと比べて、有利なパラメータが多ければ戦いを挑むのがいいでしょう。
それとコオロギは大きさ(重さ)によって「大・中・小」に分けられており、おなじ大きさの相手としか戦えません。これは現実の闘蟋も同じで、戦う前に秤を使って計量を行います。試合前のボクサーみたいなものですね。
コオロギバトル開始!
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バトルは全自動。プレイヤーは戦う前に、「茜草」と呼ばれる筆のような物で、コオロギのどこを刺激するかを選ぶことができます(画面下の3枚のカードから1枚を選択)。刺激する部位によって、攻撃力や防御力などパラメータが上下します。自分のパラメータを見て、最適な選択をしましょう。
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バトル開始!コオロギたちが戦う場所は「闘盆」と言い、長い筆のようなのが先述した「茜草」です。これで刺激すると、コオロギの闘争心を引き出せます(戦い始めたら茜草は引っ込めます)。闘蟋の勝敗は、どちらかのコオロギが逃げ出し、戦意喪失した時点で試合終了。逃げ出した時に茜草を使ってバトルに戻すことも可能です(戻らなかったら敗北)。現実の闘蟋では、名人の作る茜草は、闘争心を失ったコオロギをも復活させるとか。
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最初の一撃で相手のコオロギがひっくり返り、あっさり勝利!ここで相手からファイトマネー(虫資)をもらうかどうかの選択です。もらわなかった場合、相手を「虫友」とし、交友を深めていくことができます。最初のミッションで「虫友10人以上」というのがあるので、虫資を受け取らないでおきましょう。仲良くなっていくと、チームを組むこともできます。
コオロギキングを目指せ!
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コオロギバトルにはランクがあり、勝ち進んでいくと、より強敵の集うリーグに挑戦できるようになります。現在はまだ初級リーグですね。頑張ってコオロギキングを目指しましょう。
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コオロギは店から買うだけでなく、自分でつかまえに行くこともできます。草むらをクリックして、運よくコオロギがいればゲット可能。既定のクリック回数を超えると、コオロギが確率で逃げ出してしまい、ミニゲーム終了となります。消費アイテムを使うことで、探索範囲を広げたりもできます。
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「郊外」コマンドでは、3つのランダムイベントから一つを選べます。コオロギやアイテムがゲットできたり、バトルが発生したりと様々な内容。イベントにはそれぞれ、その内容に見合った行動力が必要です。一日を終了させれば行動力が回復します。
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お金が貯まってきたら、「援建」コマンドで市場やコオロギ協会、学校などに献金しましょう。名声や虫友との親密度が上がったりします。ただ結構な金額がかかるので、先にコオロギの方へ投資した方がいいかも。果たしてコオロギキングになることができるのか、続きはぜひ自身の手でプレイしてみてください。
ありそうで無かった闘蟋シム
ありそうで無かった中国伝統の闘蟋をゲーム化しているという点で、かなり興味深い作品でした。実際の闘蟋に必要な道具も使われていますし、コオロギの動きもなかなかリアルで面白いですね。
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考えてみたら、闘蟋の「草むらでコオロギを探す」「コオロギ同士を戦わせる」といった流れは、ある意味リアルで『ポケモン』をやっているようなものですね。昔の闘蟋愛好家たちは郊外へ足を運んで、草むらを掻き分けながら「コオロギゲットだぜ!」とかやっていたのでしょう。
闘蟋に興味のある方はぜひ本作をプレイしてみてください。それと大修館書店から出版された「闘蟋―中国のコオロギ文化」は、著者の瀬川千秋氏が実際に闘蟋協会の会長に弟子入りした話もあっておすすめです。
タイトル | 沈黙的蟋蟀 |
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開発・販売 | 蓬莱飛魚工作室 |
対象OS | Windows |
通常価格 | 1,700円 |
リリース日 | 2023年7月20日 |
対応言語 | 中国語(簡体字) |
ストアページ |
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字・繁体字を日本の漢字に置き換えています。