7月も末の夏本番ということで暑い日が続いていますが、気になっていたタイトルが発売されたという知らせを聞くと、なんだか胸の内が熱くなってきます。そうして家庭用ゲーム機やパソコンの電源を入れた途端、排熱が部屋に立ち込めて温度計の目盛りが最低5度は上がるのも、もはや毎度のことになってしまいました。
というわけで前回、体験版のプレイ内容を紹介した『Grand Emprise: Time Travel Survival』の製品版が配信ということで、今回は本作を改めてプレイしていきます。序盤の詳しい内容については、すでにある体験版プレイレポをご覧ください。
ご存知『Grand Emprise: Time Travel Survival』とは!?
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本作は、インディー開発者のTbjbu2氏が開発したサバイバルアドベンチャー。広大なオープンワールドで繰り広げられる生存、手持ち型のタイムマシンを駆使して技術を持ち越す新感覚のクラフト体験が特徴の作品。もちろん、日本語にも対応しています。
体験版では、フィールドを自由に探索して素材を集め、道具や施設を作成していくクラフトといった本作の基本部分が楽しめる原始時代前後までの内容となっていましたが、製品版では制限なく最後までプレイ可能です。
あくまで体感ですが、体験版で見かけなかった新しい動物などもおり、原始時代においても微妙に変化しているような気がしました。
体験版からの進化をワンポイントで解説!
◆労働者の集結
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かねてより、Steamのストアページに記述があったコロニー建設の技術が植民地時代からアンロックされます。いろいろと手間のかかる素材の加工、食料やインゴットの生産を仕事としてNPCに振り分け、より効率的に探索やクラフトに集中できるはずです。
◆より便利に快適に進化する
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技術が進むにつれて巨大な施設だけでなく、プレイヤーの身の回りも進化していき、作業になりがちな素材集めの往復も高速で行えるようになります。はじめは手漕ぎの小舟だけだった乗り物が気球に変わり、空中を悠々と移動するのも夢ではありません。
◆恐竜王との和解
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前回のプレイレポでラプトル軍団を結成し、力による解決を訴えて滅ぼした宿敵ティラノサウルスですが、技術革新は彼らとの共存すら可能にしました。恐竜の他にも飼える動物が少なからずいるので、もっと動物の仲間が欲しいという方は探してみましょう。
クラフトを超えるコロニーブーム
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体験版のデータを引き継ぐ方法があるのか分かりませんが、せっかくなので今回は最初からプレイをやり直しました。原始時代、そして謎の大砂虫や剣士たちが襲い来るエジプト時代を経て、ついに製品版で解禁された植民地時代へ突入します。
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時空を超えて辿り着くと、これまた絵葉書っぽい絶景が広がる幻想的な白銀世界。巨大なシカやクマ、オオカミがいる感じからして北米イエローストーンあたりの国立公園を想起させますが、当たり前のようにマンモスがうろついているのでよく分かりません。
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この植民地時代は技術ツリーにもある通り、人間が住むコロニーを作って発展させていくのが主な内容になります。水辺に旗を立てて住居も設置し、入植者に仕事を与えて働いてもらい、コロニー運営それ自体が技術ツリーの進行のカギとなっているのです。
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ここから少しシステムが複雑になるので戸惑う方もいるかと思いますが、これまでプレイヤーが自分で行っていた素材の加工、食料生産をNPCが代わりにやってくれます。
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新しい技術としてパンが解禁され、まず小麦の栽培、収穫した小麦を臼で製粉して焼き上げると完成という流れ。こう言うと難しく聞こえますが、それぞれの施設に住民を割り当てておけば責任を持って仕事に励み、この雪原地帯でも小麦は無限に高速に育つので、焼き肉と同等の回復量を誇るパンが次々と出来上がっていく様はまさに工場でした。
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コロニー住民もプレイヤー同様に食料を消費しますが、これら安定した生産体制により、今後はもう空腹に怯える必要はありません。ベッドの数だけ住民を召喚して人数を増やせるので、理論上、何百人という規模のコロニーを作り上げることもできるでしょう。
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製品版をプレイしはじめて早々、この植民地時代におけるコロニー運営に思いのほか熱中してしまい、その他の作品でもメインストーリーを忘れてサブ要素の経営にのめり込むことが多かった筆者としては、かなりのキラータイトル。
ゲームデザインの性質上、家具などもなく最低限の設備しか用意されていませんが、アップデートによるコンテンツの追加などがあるとすれば、コロニー特化の内容を期待したいところです。
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押し寄せる自動化の波
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本作には、原始時代や植民地時代のような本格的な拠点を作って活動するステージと、一本道のイベントが用意された中間の小ステージがあります。だいぶ時間をかけて終えた植民地時代の次に中世っぽい時代を通り、そうして訪れたのが産業時代です。
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荒野のド真ん中に放置されて始まった新しい時代では、ついに電気が登場。植民地時代のコロニー住民に汗水たらさせて生み出した様々な金属を持ち込み、全自動で石炭を掘りまくる採掘機を建設し、それを燃料とする発電機を設置します。
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現代の恩恵である電気というものは大変に素晴らしいものであり、この時代におけるクラフトは電気を必要とする代わりに、各施設は手間のかかるプロセスを省略して素材を加工することができます。相変わらず原料そのものはプレイヤーが都度、集めて投入することになりますが、ついに銃が作れるようになったのは相当な進歩と言えるでしょう。
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ピカピカに光るステンレス製のシルバースライド、15発もの弾丸を連続で撃てる性能もあり、ようやく剣や弓矢といった原人装備からも卒業。いきなり背後から恐竜にどつかれた場合はさすがに厳しいですが、弾さえ当てれば大抵の敵は撃退できます。
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さらに、ナイロンという驚異の化学繊維を手に入れたことで気球を作成。植民地時代に作っておいた個人装備のパラグライダーの方が汎用性はありますが、気球は高度を含めて空中を自由に移動することができ、そこからパラグライダーで滑空することで高速移動することも可能です。
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もっと技術を進めて施設が充実すると、石油を原料にしてプラスチックというハイテク素材を無限に大量に自動で生み出せるようになります。産業時代の中で突如として巻き込まれた謎の戦車戦、氷河に囲まれた極地での船作りと並行して、コロニーの総力を結集して複葉機を完成させるに至りました。
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この飛行機は助走なしで瞬時に最高速度に達し、滑走路がなくても船上やジャングルの奥底でも離着陸できる高性能。ちなみに、気球や手漕ぎボートなどの乗り物は素材に分解して他の時代に持ち込むことができ、飛行機は分解こそできないものの、材料さえあれば同様に持ち越して使用できると思われます。
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あくまでクラフト要素、コロニー運営はゲーム進行の手段としての立ち位置であり、全体的にはアドベンチャーの性格が強い本作。しかし、競合タイトルが数多いるサバイバルジャンルで“時空移動”という全く異なる概念を組み合わせた構想力、開発者のセンス、前衛的な着眼点といった部分も含めて注目に値する作品です。
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スパくんのひとこと
てっきり、戦車をクラフトしてティラノや騎士団を相手に蹂躙するのかと思ってたけど、イベント限定ってのはガッカリだったスパ……。あと、明らかな調整不足は否めないから、そういうのも含めて今後に期待って感じスパね!
タイトル:Grand Emprise: Time Travel Survival
メーカー:Tbjbu2
対応機種:PC
筆者がプレイした機種:PC(Steam)
発売日:2023年7月27日
記事執筆時の著者プレイ時間:10.6時間
価格:2,300円