SteamがAI利用タイトル容認に舵を切る―違法なコンテンツなど問題には適切なチェックで対処狙う | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

SteamがAI利用タイトル容認に舵を切る―違法なコンテンツなど問題には適切なチェックで対処狙う

PCゲーム最大手がAIコンテンツの利用作品の受け入れを開始。

ニュース ゲーム業界
MR.Cole_Photographer/Moment/ゲッティイメージズ
  • MR.Cole_Photographer/Moment/ゲッティイメージズ

Valveは、大手PCゲーム配信プラットフォームSteamにて、AI技術を用いた作品が配信できるようになったことを発表しました。

違法性はしっかりチェック

Valveは昨年6月、AIを使用したゲームを登録しようとした開発者にSteamでの販売を拒否。学習元が不明瞭なAI生成コンテンツを拒否する姿勢を示していました。一方、AI生成作品の排除が最終目標ではないとも述べており、今後の対応に注目が集まっていました。



そしてこの度、AI技術を利用した作品の配信が可能に。ただしそれなりの前提条件が用意されており、Valveにゲームを提出する際のコンテンツアンケートにAIに関する開示セクションが追加されます。

開示が求められるのは、大きく分けて2つ。あらかじめ生成したコンテンツを使用する「事前生成」はアート、コード、サウンドといったあらゆるコンテンツはAI生成のものが使えますが、違法なコンテンツや権利侵害コンテンツが含まれないこと、ゲームがマーケティング素材と一致していることを示さなければなりません。コンテンツは非AIコンテンツと同様に審査され、ルールが守られているかもチェックされます。

ゲームプレイ中にAIコンテンツが生成される「ライブ生成」では、事前生成と同様のルールに従うことはもちろん、違法なコンテンツを生成しないためにどのような対策を講じているか記入する必要があります。加えて、ライブ生成ゲームでは違法コンテンツが生成された場合プレイヤーが簡単に報告できる新たなシステムがゲーム内オーバーレイに追加されます。

この決定はAI分野の現状およびリスクに対するValve側の理解の深まりと、AIを使用する開発者たちとの対話を経た現時点での結論であるとのこと。これにより多くのAI技術使用ゲームがSteamで配信できるようになります。

なお、AIにより主要コンテンツである画像の量産が容易に行なえ濫造が危惧される、アダルトオンリーの性的内容を含むタイトルは、ライブ生成(その場でコンテンツを生成するもの)を利用していた場合リリースできません。

他ストアはどのような対応に?

AI技術を使用した作品の配信可否については、ストアによって対応がまばらです。SteamのライバルであるEpic GamesストアではAI技術使用作品を全面的に受け入れることがCEOのティム・スウィーニー氏により表明されています。

一方国内大手ダウンロード販売サイト・DLsiteでは、AI生成作品はゲームおよびノベル作品のみの取り扱い。申請は各月1作品まで、写実的な作品NG、紹介文に明記必須など販売までの条件を定めています。しかしながらその制限にも関わらずAI生成作品を含む多数のタイトルがリリースされ続けています。

ストアによってスタンスのことなるAI作品ですが、大手であるSteamが受け入れを始めたのは大きな出来事です。低予算にならざるを得ないゲームブック状のテキストアドベンチャーなどについては大きな力となることでしょう。しかし悪用されることはないのかなども含めて、今後の動向に注目が集まります。


※UPDATE(2024/1/10 13:23):AIコンテンツの利用禁止事項にまつわる本文内容を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。

《みお》

超雑食の若年ゲーマー みお

2021年3月よりフリーでゲームライターをしています。現在はGame*SparkとIGN JAPANで活動し、稀にINSIDEにてニュース記事を執筆しています。お仕事募集中。ゲームの趣味は雑食で、気になったものはクラシックゲームから新しいゲームまで何でも手を出します。主食はシューター、ADV、任天堂作品など。ジャンルやフランチャイズの歴史を辿るのも好きです。ゲーム以外では日本語のロックやアメコミ映画・コメディ映画、髪の長いお兄さんが好きです。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

ニュース アクセスランキング

  1. エクスペリエンス新作は2DフィールドハクスラRPGとDRPG!『モンカルファンタ 勇者と水晶の少女』『デモンキルデモン:黄泉1984(仮題)』新情報公開

    エクスペリエンス新作は2DフィールドハクスラRPGとDRPG!『モンカルファンタ 勇者と水晶の少女』『デモンキルデモン:黄泉1984(仮題)』新情報公開

  2. なんでも作れる工学サンドボックス『Plasma』Steamで無料化―“商業的に失敗”でサポート終了のため、注目を集めても難しいインディー財政事情

    なんでも作れる工学サンドボックス『Plasma』Steamで無料化―“商業的に失敗”でサポート終了のため、注目を集めても難しいインディー財政事情

  3. 「ゲームの主流を再定義する」なんて言ってない―『ラスアス』ニール・ドラックマン氏が海外ソニーインタビューの内容を否定

    「ゲームの主流を再定義する」なんて言ってない―『ラスアス』ニール・ドラックマン氏が海外ソニーインタビューの内容を否定

  4. シリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops 6』最新実写トレイラー「The Truth Lies」公開!リリース初日にXbox Game Pass追加も決定

  5. 『龍の国 ルーンファクトリー』男主人公「スバル」、女主人公「カグヤ」が公開!和風な新武器「弓」や「呪符」を使って戦う“大地の舞手”

  6. 『マインクラフト』生みの親Notch氏新作ローグライクダンジョン探索ゲーム『Levers and Chests』ボクセルアートが目を惹く新たなスクリーンショット公開

  7. ゲームと暴力事件発生率の関係性とは?米大学が研究結果を発表

  8. PS VR2対応ゲーム『Skydance’s BEHEMOTH』発表!2024年秋公開【State of Play速報】

  9. 『スーパーマリオ ワンダー』3,499円、『龍が如く7外伝』2,299円など、ゲオ オンラインのセールソフトが更新! 1,000円以下のPS4ソフトも豊作

  10. 『Kerbal Space Program 2』開発元の行く末にやはり暗雲が…親会社CEOは閉鎖否定も社員のレイオフが開始へ

アクセスランキングをもっと見る

page top